- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106100826
作品紹介・あらすじ
デフレの象徴と騒がれた激安の牛丼。低価格を可能にした要因は、牛肉ばかりでなく実はコメにこそあった。-"きらら397"、昭和六十三年に北海道立上川農業試験場で開発された、いわば究極の品種。大量生産ができ、安価にして良食味。それは「北海道で美味しいコメは絶対に無理」といわれた常識を見事に覆したブランド米である。その開発の裏には、品種改良に挑む研究者、あるいは地元農家の、不屈の努力があった。
感想・レビュー・書評
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ノンフィクション・ライターが書いたドキュメンタリー調の本。今や、各牛丼チェーン店の主力米である「きらら397」の開発秘話が主題。屯田兵は戊辰戦争に敗した士族の受け皿だったとか、北海道のコメ生産は、昭和36年には量では既に日本一になっていたとか、本論に至る以前に初めて知る事柄が多く、自分の無知を再確認できた。クラーク博士が来た頃は、北海道ではコメは作るべきではないという論調だったそうだ。何事もやってみなければわからないが、先人の努力と英知には敬服すべきだろう。
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コメのストーリーが一つのカタチとして、
頭の中に浮かぶようになった。
ここでは、吉野家の牛丼がなぜ280円にすることができたか?
という「謎」を明らかにしてくれている。
つまり、さまざまなコストダウンをはかる中で、
いかに牛丼にあったコメで、やすく導入できるか。
牛肉が輸入禁止になる前の吉野家の配送センターが、
まるで不夜城のように動き、
その配送センターの1日のコメの配送量が、40トン
金曜日と土曜日では、1日のコメの配送量が、50トンを超えるという。まさに、日本のコメを消費している産業だった。
確かに、牛肉の使用に関しては、アメリカのものを使用しているが、
よく食べるのは、結局はオコメなんだ。
と思いました・・・
ある意味では、牛丼屋さんは、日本のオコメ産業の担い手だということにということを理解しました。
その中で、注目されているのが、北海道のきらら。
今回の本は、北海道でいかにして美味しいコメができるようになったか、をくわしく育種の過程をレポートしているので、興味深かった。
新しい品種をつくることの熱意。
おいしいものをとどけたいという思い。
たゆまない努力をしながら、現実に報われることの少ない育種の作業
しかし、確実に前に進んでいる育種家達の努力。
牛丼に合うコメとは、というのを読みながら、
中国の黒竜江省でのコメのうごき。
中国で、いかに日本のコメを販売していくのか?
ということに、大きな示唆を与えるモノとなりました。
このような本が出版されていることに、
なにか、深い感動さえありました。 -
[ 内容 ]
デフレの象徴と騒がれた激安の牛丼。
低価格を可能にした要因は、牛肉ばかりでなく実はコメにこそあった。
―“きらら397”、昭和六十三年に北海道立上川農業試験場で開発された、いわば究極の品種。
大量生産ができ、安価にして良食味。
それは「北海道で美味しいコメは絶対に無理」といわれた常識を見事に覆したブランド米である。
その開発の裏には、品種改良に挑む研究者、あるいは地元農家の、不屈の努力があった。
[ 目次 ]
第1章 外食産業の主役となった北海道のコメ(吉野家四百店舗を支える配送センター 牛丼一杯二百八十円の秘密 ほか)
第2章 「北海道にコメは向かない」(お雇い米国人ケプロン コメづくりを否定した札幌農学校 ほか)
第3章 コメが北を目指した一世紀(二律背反の課題 至上命令、うまいコメをつくれ! ほか)
第4章 北限を越えたニッポンのうまいコメ(上川農試「暗黒の十七年」 賭け事に近い品種改良 ほか)
第5章 コメ育種の最新技術を見にゆく(さらに進化するコメ イネゲノムの解読完了 ほか)
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