世間のウソ (新潮新書 99)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100994

作品紹介・あらすじ

ありもしない「民事不介入の原則」をタテに怠慢を極めてきた警察。「鳥インフルエンザで大量の死者が出る」と世間を恫喝しまくる困った専門家。「億万長者へのチャンス!」といいながら、一等の当選確率はわずか一〇〇〇万分の一にしか過ぎぬ年末ジャンボ宝くじ-。マスコミ、裁判官、ギャンブル、ニュース、そして超大国アメリカまで。世間を騙し、世論を誤らせるウソの数々。すべてのイカサマは、お見通し。

感想・レビュー・書評

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  • メディアを通して発信される情報を懐疑的に見る、そして、真実に辿り着くための考え方が学べました。

  • まずはウソの定義から始まり、世間で言われている問題を挙げながら、それを著者の視点で解説。つまるとこ、マスコミ・メディアで報じられている一元的な情報に惑わされるなということ。見方を変えれば、赤ちゃん人身売買も養子縁組になる。情報の本質を捉え、それを自分の考えで把握することが大切。つまりは多面的に情報を入手・分析し、考察しなければならない。

  • 宝くじを買って大当たりする確率よりも、宝くじを買った帰り道に車に轢かれる確率の方が高い。確実に1等2等、前後賞を当てる方法はあるが、それは30億円用意してユニットごと全部買えばいいと、なるほど納得の書。その言論は様々な物議をかもし出していて、切り口は一定の評価はできるが・・・。





  • 多岐に渡る内容を考察も論証も詳細にしないまま、列挙しているだけの内容の薄さに物足りなさを感じた。

    ただ、個々の内容とそれに横たわる筆者の考えは共感できる箇所が多々あった。情緒に支配され正確な判断の出来ない日本人・世間への不満が爆発しているのだが、それがとても正確な批判内容となっている点に、筆者への共感を覚える。


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    ・「可能性」という言葉は、「まだ何もしていない」相手への恫喝に過ぎない。


    ・動機や経過、精神状態ではなく結果で裁く。

    ある程度納得。
    ワイドショー化して、犯人の「心の闇」を暴く、といった茶番にはうんざり。

    ・「心の教育」を通じた「命の大切さ」を説く授業に意味などない。人殺し以外は分かっているのだから、
    教育者がすべきことは、
    “自分が傷つけられたと感じたときの、逃げる方法、予防線を張ること。”
    “犯罪を犯した結果、身内や地震に起こる不幸を教えておくこと”つまり“露見後の法的処遇と報道による極端な生活変化へのリアルな認識”
    しかない。
    つまり、性善説では教育はなりえない。

    これも、共感できる気がする。
    現実味のない犯罪ばかり発生し、犯人すら当事者意識が低下しているのは、メディアが悪いのではなく、
    犯罪の結果生じる不利益や不幸を犯人が認識していないから。それは悪さをしても誰かが守ってくれるという意識が増長して生まれると思う。
    これは、生徒を叱れなくなった教育現場がその傾向を助長していると思う。善悪の区別がつかない、というよりは、甘えが前提にある。

    ちなみに「殺意のサイン」も「怪しい車」も「心の闇」もみたことはありません。
    殺意が生じてもほとんどの人は押しとどめるはず、
    結局「殺意」は「実行」への大きな飛躍を果たして、認識されるだけであり、「殺意」が芽生えても未遂でも既遂でもなければ、それは本質的に殺意ではなくなることから、逆説的だが殺意のサインは存在しない。



    ・精神鑑定は「検証可能性と再現同一性がない」故に科学的ではないため、不要である。

    検査者に応じて、恣意性が生じる

    民事不介入の原則
    IAEAの監査

  • 報道や既成概念をあえて信用せずに、その裏側を探って述べてくれた本。痛快といえば痛快だし、皮肉っぽいといえば皮肉だし、理屈っぽいといえば屁理屈だらけだし、反社会的といえばそのとおりの内容だ。内容の真偽はともかく、表向きの通念に疑問を呈する姿勢を学ばせてくれる。また白のものを黒く言うための論理展開の勉強になるかもしれない。さて、「世間のウソ」と説いた本書にはウソはないのだろうか?信じるかどうかは読者しだいだ。--- 2008.05.23

  • 世の中の気に入らないこと、特にマスコミの安直な報道姿勢について、「言ってやったー」という感じの強い本だった。世の中に蔓延する嘘や常識は誰かの意図や責任逃れによって作り出された虚像であることを、実例を挙げて切れ味するどくすっぱり切っている。章によっては筋が読み取りにくかったり、話が無理矢理切り上げられているようなところもあるが、逆に「後は自分で考えな」というメッセージのようでもあり、それはそれでおもしろかった。大切なのは自分の視点を持って自分の頭で考えることである。テレビのワイドショーやら喚き上げるばかりの討論番組が大好きなうちの嫁に読ませてやりたい。

  • 「宝くじのウソ」は必読でしょう。読めば「あたりまえ」のことですが、やはり本としてきちんと読むと、ヤになります(苦笑)。

  • 4月21日購入。1日で読了。
    正論の人、日垣隆氏による現代社会問題論考集。宝くじ、鳥インフルエンザ、精神鑑定、自殺、虐待、部活、イラク戦争など、現代社会のあらゆる問題に対し、その根底から疑うという姿勢はさすがジャーナリストといった感じ。宝くじに当選するより交通事故に遭遇する確立のほうが高い、少年少女に精神鑑定する意味はない(もともと責任能力ないのだから)、部活動はもう指導要領に必須と規定されていないといった筆者の記述には驚かされることが多かった。それでいて、すらすらと読めたのでなかなか良かったと思う。

  • 新書のボリューム制限があってのことだろうが、全体として掘り下げが浅いまま、「言いたいことだけ言っておしまい」という感じでした。「○○はどうしようもない、このままじゃ…、、あ〜あ、知らないよ」という展開。前半部分が特にその傾向が強いため途中で読むのを止めようかと思いました。もちろんハッとさせられる部分もあったし、自分の先入観・固定観念を問い直す機会を与えてくれた部分もありました。

  • 世の中のありとあらゆる出来事を真実の目でみつめようという指南本。宝くじの事実から始まり世界情勢の嘘まで暴く本。観点はおもしろいが、内容が薄いのが気にかかる。これだけの情報量では到底説得力がでないのが残念だ。しかし、マスコミから流れる情報を鵜呑みにしないように指南してくれるという点ではおもしろい。

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著者プロフィール

1958年、長野県に生まれる。東北大学法学部卒業後、販売、配送、書籍の編集、コピーライターを経て87年より作家・ジャーナリスト。著書には、『そして殺人者は野に放たれる』(新潮文庫、新潮ドキュメント賞受賞)、『世間のウソ』(新潮新書)、『ラクをしないと成果は出ない』(だいわ文庫)、『情報への作法』(講談社+α文庫)など多数。

「2011年 『つながる読書術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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