司法のしゃべりすぎ (新潮新書 103)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101038

感想・レビュー・書評

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  • 蛇足判決の解説にとても納得した。

    法曹界以外でも通じることが多いと感じる。

    結論に影響しない事実認定の作業に手間をかけすぎたり、えん罪に近いものを生じさせたりを自分もしているのではないかと、本書を読んでから常に意識するようになった。

  • 著者は執筆当時は現役判事でしたが、本書での主張を貫いて退官された元判事の方。裁判による判決の中で、判決の理由には直接関係のない「蛇足」が含まれることを徹底的に批判しています。英米法では、判決の中でも先例拘束性のある「レシオ・デシデンダイ(ratio decidendi)」と傍論である「オビタ・ディクタ(obiter dictum)」が峻別されていますが、日本の法体系でここまで徹底した議論を展開するのを読んだのは初めてです。ただ、「蛇足」は単なる「蛇足」にとどまらず、裁判の迅速化に反するのみならず、一人歩きをして訴訟制度の歪みを産み出し、民主的コントロールが弱い司法が立法権まで手を出してしまう危惧があるという主張は、ラディカルながらも考えさせられました。惜しむらくは、結論をあまりにも早い段階で提示してしまい、その後は論証を補足していくという構成なので、法曹の書く文章に慣れていない方は、最後まで完読するまでに飽きてしまうかもしれませんね。

著者プロフィール

同朋大学大学院人間福祉研究科・社会福祉学部准教授。臨床心理士。
名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程(心理学専攻)修了(文学修士、1982)。愛知県児童相談所に勤務(1983〜1999)。1999年より同朋大学社会福祉学部専任教員。家族援助論、児童福祉臨床研究などを担当。児童家庭相談、特に児童虐待防止ケースマネジメントを研究。
主な著書等:『児童虐待へのブリーフセラピー』(共著 金剛出版 2003)、『新生児医療現場の生命倫理』(共著 メディカ出版 2004)、「サインズ・オブ・セイフティ・アプローチ入門」(共著 そだちと臨床vol.2 明石書店 2007)。訳書として、『安全のサインを求めて』(ターネル、エドワーズ著 共監訳 金剛出版 2004)、『児童虐待を認めない親への対応』(ターネル、エセックス著 共監訳 明石書店 2008)

「2008年 『子ども虐待防止のための家族支援ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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