あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 974
レビュー : 146
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101250

作品紹介・あらすじ

戦後六十年の間、太平洋戦争は様々に語られ、記されてきた。だが、本当にその全体像を明確に捉えたものがあったといえるだろうか-。旧日本軍の構造から説き起こし、どうして戦争を始めなければならなかったのか、引き起こした"真の黒幕"とは誰だったのか、なぜ無謀な戦いを続けざるをえなかったのか、その実態を炙り出す。単純な善悪二元論を排し、「あの戦争」を歴史の中に位置づける唯一無二の試み。

感想・レビュー・書評

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  • 「大人のための歴史教科書」というだけあって、太平洋戦争の大まかな流れを知ることができます。「あの戦争は何を意味して、どうして負けたのか、どういう構造の中でどういうことが起こったのか」。これらを明確にすることが本書の目的と位置づけられています。太平洋戦争がなぜ起こり、なぜあのような悲惨な最期を迎えることになったのか。それらを知るには入門的良書と言えると思います。
    (読了:2006年8月30日)

  • 太平洋戦争を時系列に追いながら、その時々の日本の中枢部の判断や情勢を解説。

    僕は歴史に明るくないがよく理解できた。
    真珠湾攻撃やミッドウェー海戦など、情勢を決定づけていく事件の背景などは興味深かった。
    同時に、陸海軍の対立や、終着点、意義を見出せずに突き進んでいく危険性、戦略と戦局を取り違えるなど、大筋を見逃して重箱の隅をつつく姿は、日本的な企業や政治に今でも見られると思う。

  • 単純な善悪二言論を廃して、なぜ日本が太平洋戦争に突入したのか突き詰めるという著者の姿勢に興味をもって読んだ。

    どうしても、戦争の話になると感情論や個々の苦労話が先行してししまう。大局的にみて、なぜ日本があの戦争を原爆落とされるまで続けていたのか、っていう疑問に答えてくれる物はいままでなかったと思う。

    で、そんな感情的な話ではなくて、ロジカルにあの戦争の事を知りたくて読んだ本。しかし、僕が感じたのは、まさに"怒り"の感情だ。

    一部の軍人の思い込みやら、見栄のために、一体何人の人間が戦死したのだろう。(本にはたしか、戦中で310万人と記載があった)。
    細かい点を挙げればきりがない。知らされる内容に怒りを感じずにはいられなかった。

    他にも、自分の勉強不足やら何やら色々思ったことは多々あるけど、レビューとしてはこの辺で。

  • 2017.12.21 『本を読む人だけが手にするもの』からの選書。

  • 一読して、とても公平で真摯な視点で貫かれている点をまず評価したい。

    戦争責任については、正しいか間違っているかの2元論か、さもなければ事実のみを淡々と述べる教科書的な感じで書かれているケースが多いが、この本では、事実を踏まえ正しいことは正しいと言い、間違いははっきりと断罪しています。

    では、本作を読んでの私なりの太平洋戦争の総括をしておきます。

    太平洋戦争に至るまでにも多くの戦争を経験した日本軍は望外の勝利を得ることで、異常な自信過剰状態になってしまった。
    勝利とともに軍部の発言権が巨大化し、職業軍人として己の権力強化や予算の分捕りといった内部での権力闘争にも拍車がかかる。
    この時点ではかろうじて文民統制が機能したものの、2.26事件など軍部の暴力を背景とした脅しによって、声のでかいものが跋扈する下地ができる。
    また、本来協力し合うべき陸海軍の仲の悪さは、お互いの貴重な情報を隠しあうという大失態まで演ずる。
    日本の命運を握る戦争指導者たちは、内部の権力争いに疲れ、自身に都合のいい情報ばかりで立案された机上の空論によって戦術が決定されていた。
    こうした人の意見を聞かないという唯我独尊さは、米国との開戦の無謀さを指摘する常識論でさえ、「弱腰」「精神力で勝つ」などという理性のかけらもない感情論で、国運を左右する決定を強引に推し進めてしまう。
    こうなると、もはや指導者というよりも威勢のよさだけは負けない扇動者により国の舵取りされていたことがわかる。
    扇動者に必要なのは、国民をうまくだまして扇動することであり、この延長線上から、平気で嘘の報告をする大本営発表、軍部の悪口を許さない治安維持法や反戦を許さない言論統制をすすめるといった破廉恥さを臆面もなく発揮する。
    こうした扇動者だから、日本軍人には戦争捕虜規定があることさえ教えず、生き恥をさらすよりも死を選べという「玉砕」を強い、多くの命を無駄に奪った。
    この1点だけでも、軍のトップたちが天皇の名を借りて、兵隊の使い捨てを良心の呵責もなく行っていたことがわかるし、神風特攻隊や回天などの人間魚雷という発想も同根です。
    また国家存亡危急の際に、東条英機という2流の人材しか抱けなかったのも不幸で、彼の露骨な実情人事によって、無能な牟田口指揮官によるインパール作戦なども結局お咎めなしで終わらせているし、最後まで本土決戦を主張した狂気の人物が最高責任者だったのは日本にとって最大の不幸でした。
    彼は、信賞必罰という理性の最後の砦さえ崩壊させてしまったことで、軍自体に正義が働かなくなったという前線兵士への失望感と諦めが蔓延して、兵士や軍隊の士気は確実に下がったでしょう。(最近の似た事例では、省庁の文書隠しや改ざんを政府は強い指導力を発揮しないで傍観している)
    こうしてみると、太平洋戦争は、子供ができたから結婚という「できちゃった婚」ならぬ、戦争がやりたい(より正確に言えば、戦争に負けましたと認めれば国民から袋叩き似合う軍上層部が己の体面を気にして止めるにやめられなかった)軍部による「できちゃった戦争」という性格が強いように思う。

    さらに、作者は日本の本当の終戦記念日は8月15日ではなく、ミズーリ号での降伏文書調印が行われた9月2日であるべきという主張です。

    作者のあとがきでは、執筆動機が書かれています。
    「太平洋戦争を正邪でみるのではなく、この戦争のプロセスに潜んでいるこの国の体質を問い、私たちの社会観、人生観の不透明な部分に切り込んでみようというのが本書を著した理由である。あの戦争の中に私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。(中略)戦略、つまり思想や理念と言った土台はあまり考えずに、戦術のみにひたすら走っていく。対症療法に拘り、ほころびにつぎをあてるだけの対応策に入り込んでいく。現実を冷静に見ないで、願望や期待をすぐに事実に置き換えてしまう。太平洋戦争は今なお私たちのよき反面教師なのである」

  • 良書。開戦と原爆投下の理由が明確に書かれていて、かつ、概要がしっかりと書かれているため太平洋戦争を俯瞰的に捉えるには最適な一冊。どこかにフォーカスしているものではないため、より深く理解したいのであれば他の書籍を読めばいい。

  • 読むのが辛かったが、読むべき本として、最後まで読んだ。戦争は止めることができる。できないのは決心ができないため。その決心ができずに、原爆を被った。

  • 「本書は、太平洋戦争の戦史克明に追った訳ではないし・・・」(「あとがき」より)

    戦争批判を、
    (1)戦争の目的の不明さ(2)戦争指導の権限
    この2点から行っている。

    なかなか読み応えのある著作だった。

  • 日本が真珠湾攻撃に至った経緯とあの大戦の経過を改めて概観するには良い本。



  • うーん。説得力に欠ける。
    テーマとしては非常に良いんだけど、結論があまりにも投げやりな感が否めない。というか、結論になっていない。
    ただ、旧日本軍の機構制度、成り立ちについては体系的に書かれており、非常に分かりやすい。
    一般徴収兵と職業軍人、いかにして旧日本軍の兵士が生まれていったか、帝国陸海軍の機構についても分かりやすい。
    ただ、真珠湾攻撃に関してはあまりにも根拠に乏しい内容だ。米飛行場撃破の成功と記されているが、撃破したのは空の飛行場で、近接の燃料庫は図ったように攻撃していない。また、戦艦駆逐したとも記されているが、実際、撃破したのはもう廃艦にする予定のものであったはずだ。
    アメリカ側の史料は確認していないのだろうか。
    参考文献もなく、ある筋からの証言によりというあまりにもな内容でした。
    ま、帯の書評が塩野七生ってのが分かる気もするな。

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著者プロフィール

歴史家、評論家

「2019年 『昭和史 七つの裏側(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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