コクと旨味の秘密 (新潮新書 135)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101359

作品紹介・あらすじ

「ネズミはビールにキレよりもコクを求める」「赤ワインに醤油を垂らすとコクが増す!?」「男性生殖器と口の中には深い関係がある」「牧場のミルクが美味しい科学的根拠」「甘味無しの世界は殺伐としている」-。ビール、ラーメン、吸い物、カレー、あらゆる食物で感じられるコクとは一体何なのか。その正体を科学者の目で探ることで見えてきた美味しさの秘密。「コクの構造」が今明らかに。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれた衝動買い。
    予想以上に科学的に書かれた堅い本だったので好感が持てました。
    もっと“五感”を大切にしなきゃと思えた一冊でした。(2010.8.25)

  • 分かっているようで、その正体については曖昧にしか捉えていなかった『コク』。

    なるほど!と納得できた。

  • 久々の「ネタ本」シリーズ。日本人が美味しさの表現方法の1つとして使う「コク」というものが何なのか?を様々な観点から考察した本。正直いってバカげているが、その突き抜け感が最高に良い。

    日本人にとって「コクがある」という表現はあまりにも乱用されすぎている。食品の美味しさを表現する時に、濃いめの味付けがされているものや、味わい深いものに対してはおしなべて「コクがある」と表現されることが多いが、実際問題コクの意味を正しく理解して使っている人は殆どいないと思う。旨味があることの総称としてコクという表現を使うが、そのコクの正体に迫ったというかなり挑戦的な内容だ。

    とはいえ、著者は食品・栄養化学を専門としているので、本来はコクや旨味よりも食物の栄養価について詳しい専門家といえるのだが、この2つが密接に絡み合っているという点が非常に面白い。

    著者曰く、コクは3層構造となっており、中心部をなす「コアーのコク」と、その周りを取り囲むように「第二のコク」「第三のコク」があるという。

    コアーのコクは、「糖分」「脂肪」「ダシ(旨味)」の2つであり、それらは全て生命にとって重要な栄養素を含んでいる、これら3つの要素のうち単独あるいは複数の組み合わせによってコクは成り立っていると著者は見ている。動物実験でも他の栄養素には固執しなかったにも関わらずこの3要素だけには固執する性質が見られるようで、人間にとってはまさに無意識に、本当としてコクに惹かれている、というわけである。面白のは、コレ以外の成分、たとえば塩分や酸味には、動物実験のマウスも執着しないという点。味を整えるのに塩やお酢を使ってもコクを深めることにはつながらない。

    食品の美味しさを追求していくと最終的に必ずこの3要素に行き着くことは料理人や食品関係者の間では常識中の常識だそうで、料理に深みを与えるためには、砂糖か油かダシを足すのは必然。もし著者の言う通り、コクが生物学的に欲している
    ものだとしたら、我々が塩分や香りがやたら強い欧米の食事を日本人が好まないのは、日本人がよりコクに執着的であり、生物として飢餓の期間が強かったのかもしれない。

    第2のコクとは「食感、香り、風味」だが、これは人類が経験的に学習した第一のコクにつながる「連想」でしかない。それ単体ではコクとは呼べず、第二のコクは第一のコクとつながってはじめて意味を成す。たとえばとろみや粘り、甘い香りなどといったものだが、この分類をきちんと分けている点はかかり面白い。
    そして更にその外側にある第3のコクとは「精神性の世界」。味という枠を飛び出して、たとえば「コクのある演技」「人生のコク」といった表現の世界を指す。この食品と直接結びつかない世界にも定義を置いている点も面白かった。

    他にもエピソード形式でいろんなお話を織り交ぜて語ってくれる本なので非常に読みやすい。薄いので一気に読み切ってしまったのだが、本来読みたいビジネス系・自己啓発系・史実系の合間にこの手のネタ本を挟むと脳がほっこりする。
    他にもいくつか似たようなネタ本を積ん読してあるのでまた機会を見て読んでいきたい。

  • 古都丞美先生 おすすめ
    12【専門】491.3-F

    ★ブックリストのコメント
    「コク」という言葉はよく使われますが、その現象は非常に複雑な要因が絡み合っており、絶妙なバランスを取ったときに発生するものです。「おいしさ」と密接に関わる「コク」の背景を多角的に理解する参考になります。

  • 食や、おいしさを構成するさまざまな要素の中から、‘コク’に目を向け、科学的知見を中心に詳しく解説した内容。その‘コク’という観点でいうと、長く親しまれている食事にも合点がいき、とくに日本の伝統的な調味法は優れたものであり後世に継承すべきものだとしている。欧米式の‘油によるコク’も含め前向きな見解を中心としているが、その一方で欧米式の食事の流入による日本食の淘汰も懸念しており、とくに第三層のコクに関しては幼少期からの食生活に左右されるもので、失われてからでは取り返しのつかないことになるように思われる。大人だけでなく子供の時期から、それと同時に子供だけでなく大人ももっと食への認識を深めて質の高い食文化に触れるべきだとしている。
    最後の章の今後の食についての大胆予言はウィットに富んだものだったが、似たような現象が実際に加工食品業界で起こっていることもあり、あながちフィクションとして軽視することが出来ないように思えるし、筆者もそう思っているかもしれない。食の変化を時代の流れによる当たり前のこととしてないがしろにするのではなく、時には立ち止まって見直すことも大切だ。

  • アイバンのラーメン→amazonオススメでラーメンの本→その関連で、この本


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    【要約】


    【ノート】

  • 日経新聞での連載で興味を持ちました。

    コクや甘味はエネルギーとして認識するから
    美味しいと感じるし止められなくなるのだと納得しました。
    効率の良いエネルギーを摂取するための本能なんだなと。

    読みやすい文章で、味覚や脳について知ることが出来ます。
    最後の章の近未来のコクは面白い発想でした。

  • 「コク」という、分かるようで分からないもの、好きだけど正体不明のものを、科学的に分析してみよう、という一冊。

    *ネズミも人間もコクのある食事は共通して食べ過ぎてしまうようです。人間の食事はおいしすぎるのかも知れません。

    *私たちがコクと感じているものは、エネルギーが確かめられているものと言えます。ノンカロリーでコクがあるものはありません。

  • 新書文庫

  • これまで曖昧に使っていた「コク」という言葉を見つめ直せた。
    実験の話、生物学的な話が興味深い。

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著者プロフィール

龍谷大学教授

「2017年 『談 no.108』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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