- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106101410
感想・レビュー・書評
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同期のエースたつさんが新書をオススメしていたので、久々に新書に手を出した。
英語よりもまずは国語だ
という内容に惹かれてメルカリにて注文。
ただ英語を遠ざける自分を正当化したいという不純な動機です笑
・論理のみによる意思決定、思考の批判がとても分かりやすく、痛快。特に帝国主義や企業の株主第一の姿勢は論理のみを追った故にたどり着いた正しくない考えであると思う。選挙の「一票の格差」とかも論理的には確かに差を埋めるべきだが、果たしてあんなに執着すべきだろうかとも思う。論理的に正しいことと、善悪ややるべきことは別次元の話なんだなと感じた。
・論理的にA→B→Cと正しく展開していく力以前に、
「正しいA」を選択することが重要。そして、それには基本的な教養や文化的素養、道徳的精神が必要となる。
日本は文学は万葉集から、数学は江戸時代から体系化されていて、かつ貴賎に囚われない武士道精神も古くからあり、正しいAを選ぶ力がある。
源氏物語や武士道、学問のすすめなど読んでみようかな
日本が誇る文学や四季が織りなす自然、感受性豊かで正直な精神などをもっと体得しよう
とこの本全体を通じて感じた詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おなじだけどなかなか面白い部分もある。
祖国とは国語に非常に近い内容であった -
「国際的な通用する人間になるためには、まずは国語を徹底的に固めなければダメです。表現するよりも、表現する内容を整える方が重要なのです」
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著者が日本という国の文化や信念を愛していることがすごく伝わってきた。納得できる部分もあったが、少し現実的ではないと思う部分もあった。これは自分が西洋的な考え方に染まっているからなのだろうなと思うが、中和点を探すことが大切なのではないかとも思った。
本当の国際人は国語を勉強しないといけないというところはなるほどと思った。ニュージーランドに短期留学したときに、着物を着て見せたり日本の文化を紹介したときに、移民の国だから独自の文化がなく、日本が羨ましいと言われたことを思い出した。
これは2005年の作品だが、著者は今どんな考えなのかが気になった。 -
2020年5月読了。
わかりやすい文章。
子供には英語より国語。同意見。
問題提起してくれるので時々読み返したい。
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論理の力だけでは限界があるので、武士道に通ずる「情緒」と「形」を重んずることで日本は「国家の品格」を守り高めるべきだ。この旨を、論理の世界の住人とも言える数学者が主張したということが、日本が抱える諸問題の根本を浮かび上がらせていると感じた。
また、筆者が2005年時点で憂いていたことが、実際に起こってしまっていると感じた。特に53ページに書いてある指摘は麻姑掻痒である。 -
<閲覧スタッフより>
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所在記号:新書||304.1||FUM
資料番号:20081278
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『自然への繊細な感受性を源泉とする美的情緒が日本人の核。』
【感想・考えたこと】
・日本文化は日本人が後世に伝えていかなければならない。
・日本の文化、伝統、歴史を愛するパトリオットになる。
・マスコミの影響の肥大化が三権分立に影響を与えている
・近年、論理性が重視されているが、出発点を誤った論理や、長い論理の危険性を心に留めて物事を考えなければならない。
【メモ】
○近代的合理精神の限界
・論理だけでは世界が破綻する。
理由
①論理には限界がある。必ずしも論理による結果が正しいとは言えない。
②最も重要なことは論理では説明できない
③論理の土台は情緒によって選ばれた仮説である。
④論理は積み重ねるほど精度が下がる
・民主主義の原点は、国民が成熟した判断をすることができる点にあるが、国民は永遠に成熟しない。
・三権分立(立法・行政・司法)は今や、マスコミの下にある。(世論はマスコミが操作している)
・平等ではなく惻隠を(弱者・敗者・虐げられた者への思いやり)
・自由、平等はフィクション。
○「情緒」と「形」の国、日本
・自然への繊細な感受性を源泉とする美的情緒が日本人の核。
・悠久の自然と儚い人生という対比の中に美を感じる能力がある
・人間というのは、何かに対して感性が研ぎ澄まされていると、必ずそれを言語化する生き物
・もののあはれ
・懐かしさを基本とした、4つの愛(家族愛→郷土愛→祖国愛→人類愛)※順番が大事
・パトリオティズムとしての愛国心を持ち、自国の文化・情緒・自然をこよなく愛し続ける。
自然の脅威→悠久の自然とはかない人生→無常感→芸術観
○武士道
武士道には、慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気、惻隠に加え、名誉、恥の意識も盛り込まれている
・武士道最高の美徳:「敗者への共感」「劣者への同情」「弱者への愛情」
○なぜ、情緒と形が大切なのか
・グローバリズムは世界をアメリカ化・画一化させ、社会・文化・教育を腐食させてしまう。
・21世期こそ、ローカリズムの時代にしなければならない。各国家に生まれた伝統、文化、文学、情緒、形を尊重し合い、育てていかなければならない。
・国際人とは、世界に出て、人間として敬意を表される人のことを指す。
・当面の人類の目標である「2度と大戦争を起こさない、大戦争に巻き込まれない」を達成させるために、日本は「卑怯を憎む心」、「惻隠の情」、「美的感受性」を世界に発信しなければならない。
○まとめ
・日本は、資源に恵まれておらず、優秀な人間を海外から獲得することは出来ないため、自前で頭脳を作らなければならない。よって、初等中等教育が命綱。特に、工業を発展させるために数学、物理学を強化しなければならない。
・天才を生む土壌3つ
①美の存在、②跪く心、③精神性を尊ぶ風土
・日本は異常な国であり続けなければならない。「世界冠する国柄」がいい意味で日本を異常たらせた。
・品格ある国家の指標4つ。①独立不羈(自らの意思に従って行動できる独立国であること)②高い道徳、③美しい田園(美しい田園があるということは、経済的に最も皺寄せを受けやすい農民にまで心が配られ、農民が安心して働いている国である)④天才の輩出
・日本人一人ひとりが美しい情緒と形をみにつけ、品格のある国家を保つことは、日本人として生まれたことの真の意味であり、人類への責務である。
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数学者である人が文章を書くのだから「論理」的なのだろうと思い込んだりするのだが、大事なのは「情緒」なのだそうで、ほとんど、「思い込み」が書き散らされていて、意表を突かれる迷著。
ところが、これが200万部を超えるベストセラーだそうで、いわば「反知性主義」の出発点を象徴するような本なのだが、多くの読者が、この本のどこを読みたがったのか、それを考えるのは無駄ではないかもしれない。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202002240000/ -
<閲覧スタッフより>
日本人を日本人たらしめるものは何なのか?そんな風に著者がこちらに問うてくることは正直ありません。はっきりと「これは良い」「これは悪い」と言い切る形のものばかり。しかし、それはある意味で、こちらにも考える余地があるということでもあります。日本を今一度見つめ直す良い機会かもしれません。
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所在記号:新書||304.1||FUM
資料番号:20081278
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2周目。ハードスキルよりソフトスキルの重視、グローバル化による画一化とそれを拒絶する個別化の同時進行は近年世界中で議論になりますが改めて日本も例外ではないと感じさせられます。特にもののあわれや武士道精神など、古来からの日本の文化はこのソフトスキルを身に着けるためにはこの上ない材料であることは私自身も確信しています。それ故、これからは日本の古典を通して日本の精神を育み将来祖国のために活躍できるよう、日々精進したいと思う次第です。
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数学者である藤原正彦氏の日本人論。著者の経験から西洋的論理主義を批判し、日本的な「情緒と形」の有効性が提唱されている。本書では敗戦によって失われた武士道精神の教育と、欧米的イデオロギー支配からの脱却が主張される。数学的視点から論理を量的に捉えるなど、独自の視点で近代的合理精神の限界を明らかにする過程が面白い。第三章では民主主義のポピュリズム的傾向を非難し「真のエリート」による抑制が主張されていたが、関連して読んだノーム・チョムスキー著『メディア・コントロール』と(対極的に)重なる部分があった。第四章以降では日本古来の「情緒と形」「武士道精神」について解説され、その役割と価値が説かれている。本書がベストセラーになり15年近くが経つものの、残念ながら日本人の武士道精神に復活の兆しは見えない。相変わらず横行している的外れな「国際人」の育成や、欧米追従型の国際貢献をやめ、今こそ国家の品格を取り戻すべきかもしれない。
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近代以降欧米が支配した教義、すなわち自由・平等・民主主義とは一線を画し、美しい日本人としての情緒、すなわち祖国愛や武士道(誠実、忍耐、正義、勇気、惻隠の情など)を重んじて国家の品格を守ることが日本人としての真の責務である、と説く。
個人的に気になるのは自由・平等・民主主義と美しい日本人としての情緒を二項対立的に論じている点。自由・平等・民主主義は、「未来」のことはいざ知らず、歴史的な時間軸における「現在」においては、人類の幸福を追求しうる最適解なのでは、と思う。
美しい日本人としての情緒を大切にすることによって、より理想的な自由、平等、民主主義を追求すべし、このことにより国家の品格が保たれるのでは、と感じる。 -
平成ベストセラーシリーズ
平成18年(2006年)
・1月 ライブドア・ショック
・3/3 第1回ワールド・ベースボール・クラシック開幕
・8/24 冥王星が惑星から除外
平成18年はトリノ五輪で荒川静香選手が金メダル獲得、WBCの日本優勝、中田英寿選手の引退と特筆すべきスポーツの話題が目立ちました。
そんな平成18年のベストセラー年間売上1位は藤原正彦著『国家の品格』(トーハン調べ)
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<目次>
はじめに
第一章 近代的合理精神の限界
第二章 「論理」だけでは世界が破綻する
第三章 自由、平等、民主主義を疑う
第四章 「情緒」と「形」の国、日本
第五章 「武士道精神」の復活を
第六章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第七章 国家の品格
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「民主主義」「自由」「平等」という美しい形をした論理(そして硬い)を、いびつな形でそして柔らかい現実世界に当てはめようとするからおかしな事になってしまう。硬い論理を無理やり押し込んでうまくはまらない箇所からは、論理に弾かれた人たちの悲鳴が聞こえてくる。
ではどうすればいいのか。それは、日本人が古来から大切にしてきた「情緒」で解決していこうよ、というのが本書の骨子です。
「筆者は数学者なのに論理を否定するなんて…」と思いましたが、それは本書で「論理的思考の欠陥」と言われるものが理由となります。
「AならばB、BならばC、だからAならばC」という論理があるとします。
これを「A→B→C」と矢印で表現すると、Aにはどこからも矢印が来ていない、思考者の仮説から生まれたもの。
つまり、どんなにB以降の論理が筋道立った素晴らしいものでも、Aの仮説が間違いである時点でその論理はおかしなものであるということ、これが「論理的思考の欠陥」。
だから論理の出発点である仮説Aを正しく選択することが大切、つまり仮説を生み出す本人の「情緒」が大切になってくるというのです。
「情緒」の育み方まで説明すると、とんでもない量になるので割愛します。興味のある方は読んでみてください。内容は濃いですが、新書なので文章のボリューム自体はありません。
そう。骨太の内容ですが、第4章はエッセイとしても面白い読み物だったので、藤原さんのエッセイを今後ぜひ読んでみたいと思います。 -
・心や日本語を勉強していない日本人がいくら英語が
話せるようになっても意味がない
→日本の歴史をよく知ろうと思う。
・「もののあわれ」「武士道精神」が日本人にそなわっている気品
→「武士道」+「サラリーマン」の本ってある?
・経済的に優位になっても、世界から尊敬されない
イギリスの経済の反映は、年十年も昔のことなのに、
いまだ、世界から尊敬されているのは、普遍的な秩序を
生み出した国だからだ。(議員内閣制、、、)
→家族写真を撮るなど。
・国の底力の指標→天才の輩出→その条件とは?
1.美の存在 :美しい田園風景
2.跪く(ひざまずく)心 :神、仏、武士道精神
3.精神性を尊ぶ風土 :文学、芸術、宗教
→美術館に行く。
・今のおかしくなった民主主義、世界を救えるのは、
この世界からみて「異常な国」日本である -
2019/3/16
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[展示]平成のベストセラー本特集:2006(平成18)年ベストセラー1位(トーハン調べ)