国家の品格 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 1154
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101410

作品紹介・あらすじ

日本は世界で唯一の「情緒と形の文明」である。国際化という名のアメリカ化に踊らされてきた日本人は、この誇るべき「国柄」を長らく忘れてきた。「論理」と「合理性」頼みの「改革」では、社会の荒廃を食い止めることはできない。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである。すべての日本人に誇りと自信を与える画期的提言。

感想・レビュー・書評

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  • 2005年に話題になった本です。
    タイトルは存じてましたが、今になって初めて読みました。

    この年末年始、ゴーンさんの海外逃亡や中東で再び戦争が始まりそうな情勢といったニュースが飛び交うタイミングで、この本を読む機会を得たのは「なにかの巡り合わせなのかな?」と思うほど、本書で著者が懸念する事態と、現在の世間の騒がしさの背景にあるもののシンクロ感があり、いろいろと考えさせられる内容でした。

    著者は、私の母と同じ昭和18年生まれ。母の世代の方の語り口調で唱える世界観と考えると、やや極端な言い回しかな?と感じられる書きっぷりも、私としては受け入れられる内容でした。

    時より恐妻を自虐ネタとして書いておられますが、ネットで拝見するご夫婦のお写真は、大変に仲が良さそうで、シャレが過ぎて筆が滑っているようなところが微笑ましくもあります。

    2020年になって、本書が出版された2005年当時よりも、著者が懸念する方向へ日本は突き進んでしまっているのではないかなと、この本の最終章でありタイトルでもある「国家の品格」を読んで、考えさせられました。

  • 国家の品格。タイトルがいいよね。笑
    しかし、民度として今の日本に品格なんぞ感じない。
    電車でダラダラ携帯ゲームをする人ばかりのこの国に、再度「品度」ってものが何たるかを教えなければいけません。

    【感想】
    合理・論理ではすべてをカバーできない。
    大事にすべきは、日本古来からの感覚である
    『情緒と形』を大切にするべきだ。
    武士道を思い出し、日本人は日本人のように思い、考え、行動して初めて国際社会の場で価値を持つ。

    大まかに言うと、この主張が本書の大筋。

    ・自然に対する繊細な感受性
    ・無常感、もののあはれ
    ・四季の変化を愛おしむ心
    ・懐かしさ
    ・家族愛、郷土愛、祖国愛

    筆者の主張は偏りすぎだと思いつつ、確かにこういった感覚は大切にしないとなぁ・・・
    確かに小学校から英語をさせたり、経済の勉強とか株式投資の勉強をさせること自体は良い事だと思う。
    ただ、それはベースの五教科をしっかりと身につけた上で、っていうのはとても納得。
    まだ子どもいないけど、子どもできたらしっかりとそこんとこ教育したいな。
    家族愛、郷土愛、誇りとか、そのへんも。

    また、個人的に会津藩の教えが良かったので引用。

    【会津藩の教え】
    1.年長者の言うことに背いてはなりませぬ
    2.年長者にはお辞儀をせねばなりませぬ
    3.虚言を言うことはなりませぬ
    4.卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ
    5.弱いものをいじめてはなりませぬ
    6.戸外で物を食べてはなりませぬ
    7.戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ

    ・ならぬことは、ならぬものです

    今自身で制作中の「十戒」の参考にします!

  • 今頃やっと一昔前のベストセラーを読んだ。それほど色褪せてないし今でも十分な説得力がある内容だった。情緒と形こそこの国に相応しい品格の礎だと断言している。頷ける箇所も多い良書だった。

  • 筆者が現在の日本が如何に危機的状況にあるかを憂い、その打開策として古くは武士道にあるような「情緒と形」といったような道徳を身につけて国家としての品格を高める必要性を述べた。
    品格を高める上では、自ら母国の文化や伝統、歴史、言語といったものをきちんと理解しておくことの重要性にも触れられている。このことは、真の国際人となるためにも必要である、とも。

    歴史学(及び人文学系学問)をやることの意義について考える上で、一つの道筋が示されていよう。

    国際化の名の下に幼少期より英語教育を行うなど米追従の姿勢に反感を覚える私としては、
    より多くの人々に読んで頂きたい一冊として紹介したい。

  • 情緒と論理が大事だという主張はよくわかるが、日本人が素晴らしい、と取り立てて言うのは何故なのか分からない。確かに歴史上にも、記録に載らない人々にも素晴らしい人物はたくさんいたと思うけど、それは日本に限ったことではない。日本人、と言っても多様化している。一言で括るのは意味がない。日本に住んでいる人、というくらい。国家の品格って、タイトルが変だと思う。(私は無政府主義ではありませんが!)

  • 【速読】前に「B層」を読んだことを下敷きに。現代は「美徳・教養」を兼ねた「日本人論」新書が売れるんですね。「B層」で志向される日本人像と本書のはだいたい同じでして、そして両者に共通するのは理由はないけど「多くの人が共感できる」話題を幾つも用意していること。著者のボヤキです。「教養」を問うけど新書そのものでは「教養」が身につかないというパラドクス?それともこれが新書のあるべき姿なんでしょうか。てことで内容には触れませんけど、これならオレグの武士道の話の方が、ずっとためになります。

  • (2006年頃読んだ直後の感想です)
    『国家の品格』(藤原正彦/新潮新書)について、「論理的におかしい文章が山ほどある」とか、「事実誤認や誇張のカタマリだ」とか、そういう野暮なことを指摘するのは、もういいやと思う。それより、この本が200万部も売れた理由のほうを考えてみたい。

     この本のいいところはどういうところ? ネット書評で惜しみなく★★★★★をつけている気前の良い皆さんに聞いてみよう。まず、平易でわかりやすい。読んでて「そうそう、まさにその通りだ」と思える。日本人であることに誇りを持てるようになる。そして、読んで元気になれる。すばらしい効果だ。まさに五つ星にふさわしい! では、その効果の源泉はどこにあるのか?

     この本が「わかりやすい」というのは、たとえば水戸黄門が「わかりやすい」のと似ている。あらかじめスジが決まっている時代劇のように、読者側がすでにそう思っていることを、さまざまな事例を出してスッキリ言い放ってくれるから「わかりやすい」のだ。
     この本が「心地よい」のは、『キャンディキャンディ』と同じ理由による。少女マンガの王道は「そのままの君が好き!」だ。リクツなんてどうだっていい。論理には限界があるのさ。好きになるのに理由なんていらない! 著者はみんなのアタマをなでて「そのままでいいんです」と言ってくれたのだ。
     この本を他人に勧めてまわる人がいっぱいいる。中には配ってまわる人もいるという。きっと「まさに自分の思ったとおり!」の本だから、みんなにわかってほしいんだね。占い師の決まり文句に、こういうのがある。「あなたは懸命に努力しているのに、周囲の人はわかってくれないんですよね?」 みんな「そう、そうなんです!」と大きくうなずくそうである。

     水戸黄門と少女マンガと占いである。最強だ。これより強力なおもてなしなんて思いつかないほどだ。読者はこの本を読んで、爽快感と慰安と勇気をもらう。こんなにお得な本はナイではないの。
     こう考えていくと、この本は確かに「リクツ」の本ではない。はっきり「セラピー」の本である。「あなたに心地いい言葉を言ってあげる」……スピリチュアルな江原某の本とか、美容の天才な齋藤某の本とかと、おなじなのだ。
     そしてこの本は、まさにそのように作られたものだという。雑誌の記事などでは、まず最初に結論が決まっていて、それにぴったりくることを言ってくれる人を探すものだ。この本は「ちょっと愛国心とかはやってるから、読者にキモチイイこと言ってくれそうな人はいないかなぁ……」と編集部が調べるうちに、講演などで注文通りのことを言っている著者を発見し、その講演原稿を手直しする形であっという間に作り上げたそうである。(かなり情報ゆがめてますか、スミマセン、でもそんなふうに聞こえたのです、リクツじゃないのです)
     そもそも講演というのは、カネを払って聞きに来た客を、たのしませてナンボである。言うなれば芸人といっしょ。めんどくさいことをしろとか、おまえらは頭が悪いとか言っていては、次のお座敷がかかるものか。客をもちあげておだてていーい気分にして帰すのが優れたスピーカーに決まっている。藤原先生は、ものすごく優秀な芸人さんなのである。

     ちゅうわけで、『国家の品格』はすばらしい娯楽本である。さすが200万部も売れる本は、売れるだけの理由がある。ちょっと心配なことといったら、この本を正しく「娯楽」として消費するのではなく、「本気」にしちゃうイタイ人が、ごくごく少数出ちゃったらこまるなぁくらいのものである。
     なぜなら、この本はひとつの取引を持ちかけているからだ。リクツ抜きに癒し、励まし、自信と誇りを持たせてあげる。だって、ただ日本に生まれただけで、あなたはすばらしい歴史と感性をその身に備えているのだから。その代わりに、リクツ抜きでこの国を愛しなさいと。
     果たしてこの取引、お得だろうか。考えない代償というのは、だいたいにおいて高く付くような気が私はするのだが。まぁ、そんな後先考えない取引に応じてしまう人は、この本を「娯楽として」読んでいる人にはいないだろうと思うのだが…………。

  • 不覚にも泣いてしまった。著者は数学者で論理についての持論、日本人の特質、文化、美意識から私たちにメッセージをおくっている。天才の生まれる風土について、国語言語が国家であり独自の文化であること、国際人に必要なのは国語力をつけることで中途半端な英語力ではないこと。あとは論理的で合理性をすすめるアメリカ民主主義の閉塞感を打開することができるのは日本の武士道精神や情緒であるというのも面白い。論理的であることが正しいと言えない理由を、論理展開の出発点の確からしさに論理展開時の確立との積で考える発想は流石に数学者らしく美しい。現在の鬱屈した閉塞感を打ち破るエネルギーのある書で、自国の文化をよく知らず日本語の勉強をおろそかにしている私達には必読の書といって良い

  • タイトルからのイメージは、難解な文章が並ぶ難しい本かなと思ったのですが、なんとなく手にとってみました。
    文章そのものは講演された内容に修正・加筆をされたものなので、すらすらと読めます。
    最近、神社に関する話を聞くことが多いもので、戦後の学校教育で失われたものや「もののあはれ」を感じる心をはじめとする日本人が持つ繊細な情緒を見直そう、大切にしようと説くお話は大きく頷くものでした。

  • 気象台に勤めながら観測所での経験を生かした山岳小説で人気を集め、昭和を代表する作家として活躍した新田次郎。本書はその次男であり、東大卒の数学者でありながらエッセイストとしても人気の藤原センセイが世に出したベストセラー。経済優先という欧米型の論理と「合理性」が幅を利かす21世紀においては、情緒と伝統を重んずる日本の「品格」こそが世界を救うという画期的な提言が話題を呼んだ。著者自らが「品格なき筆者による品格ある国家論」と称する通り、舌鋒鋭い批判の中にも独特のユーモアが溢れており、思わず声を上げて笑ってしまう。今の日本に必要なのは論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神と説き、特に昭和から平成にかけて失われた「国家の品格」を一刻も早く取り戻そうと説いた書で、このあと二匹目のどじょうを狙った「品格ブーム」の火付け役にもなった。ベストセラーという言葉にアレルギーを持つ読者にもすっと腑に落ちる、おススメの一冊。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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