貝と羊の中国人 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101694

作品紹介・あらすじ

財、貨、賭、買…。義、美、善、養…。貝のつく漢字と羊のつく漢字から、中国人の深層が垣間見える。多神教的で有形の財貨を好んだ殷人の貝の文化。一神教的で無形の主義を重んじた周人の羊の文化。「ホンネ」と「タテマエ」を巧みに使い分ける中国人の祖型は、三千年前の殷周革命にあった。漢字、語法、流民、人口、英雄、領土、国名など、あらゆる角度から、斬新かつ大胆な切り口で、中国と中国人の本質に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 非常に面白かった。
    海・多神教・貨幣的な豊かさを重要視する殷と、内陸・一神教・善や義など無形の善行を好む周の文化を著者はそれぞれ貝の文化・羊の文化と呼び、これとエリート層である士大夫の文化が組み合わさったのが現代中国であるとする。(財・貨・賭・買や義・美・善・養といった感じから殷周それぞれの文化が読み取れる)
    こういった文化的な背景を元に、殷周時代から現代に至るまでの中国の歴史を読み解いていくが、病院前に葬儀店があること・ニーハオトイレ・三国志のエピソードなどそれぞれの具体的な歴史の紹介もこれまた面白い。
    今後中国とは好むと好まざると付き合わなくてはいけなくなると思うが彼らのホンネ(殷の文化)とタテマエ(周の文化)という思想構造を知る上で本書は非常に有益な一冊になると思う。下手なKnowHow本よりも、本書のほうが中国人の行動を理解するうえにおいても有益なことは間違いない。

  • 中国人を貝文化と羊文化に分けて分析する。キャッチーなタイトルだが、京劇を研究してきた著者の感覚は中国で生活している自分の感覚に近い部分もあるなと思った。文化の中心の一つ杭州も何度も登場する。
    農耕民族は地面や草木や虫など生命がどんどん湧いてくる自然環境→多神教
    遊牧民族は空から大きな力がふってくる→一神教
    羊=遊牧民、西方西北の内陸部、一神教、無形の主義を信じる、孔子的、儒教的
    貝=農耕民族、東方東南地域、多神教、有形の財(お金)を信じる、老荘的、道教的

    東シナ海の油田問題をみると、こちらが黙っていれば相手は当然の様に中間のものに手を出す。縄張り感覚が違うからだ。
    タイムスリップ体験をしたければ中国へ行けば良い。飛行機で上海へ世界最速のリニアモーターカーに乗り、都会上海市内へ、そこからディーゼル車で地方内陸へ。どんどん鄙びていく。

    日本と中国の文化の交流は、直流(一方的)だった。日本人は水滸伝や三国志を知っている。しかし、中国人が紫式部や松尾芭蕉を好んで読むか?唐の鑑真和尚が死をとして日本に渡ったのは神道を学ぶ為ではなかった。日清戦争後は逆転。魯迅、蒋介石、周恩来は日本に留学したが、近代日本のリーダーで中国留学経験を持つものはいなかった。これからは双方交流が大事だと。果たしてなるのか、まだ疑問だ。


  • 中国社会で起きている表層的現象からの中国論ではなく、「中国人」の内面からその本質に迫った画期的な作品。中国を論じる本は数あれど、一冊だけ選べといわれれば、間違いなくこの本を推奨したくなるくらいの名著。中国というところは昔から変わらない。中華人民共和国は歴代中国王朝の一種なのだ。嫌中派も親中派も目からウロコが落ちること間違いなし。

  • 本音と建前
    その背景

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 貝の文化 羊の文化/第2章 流浪のノウハウ/第3章 中国人の頭の中/第4章 人口から見た中国史/第5章 ヒーローと社会階級/第6章 地政学から見た中国/第7章 黄帝と神武天皇/終章 中国社会の多面性

  • 978-4-10-610169-4 254p 2008.4.10 9刷

  • 貝の殷、羊の周という二つの文化が並存する社会から始まった中国。その起源も漢字に残されている。また、人口動態と王朝交代の関連性を議論しているのも面白い。目からウロコの読了感。

  • 人口動態と王朝交代を結びつけるのは新鮮だった。天下をとる→社会が安定して人口増加→人口が生産力を上回り混乱・人口減少→王朝交代→以下繰り返し。

  • ちょっと古いので、今の中国とはまたちょっと違うんだろうな。と思うところもありつつ、非常にスラスラ読みやすい本です。例えも分かりやすい。
    改めて、お隣の国が、大陸ならではの歴史背景をもった国民性なんだな。と。で、ありかながら、ホンネとタテマエを持つところなど、日本人と同じところもありつつ、欧米圏の人から見た中国人の人物観が、まんま日本人と同じやんけ。やっぱグローバルで見たら似てるんだなぁ。

  • これはおもしろい。一読を勧める。

    (著作)
    京劇 漢文力 西太后 漢文の素質

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著者プロフィール

明治大学教授
著書に『貝と羊の中国人』(新潮新書)、『漢文力』(中公文庫)、『絵でよむ漢文』(朝日出版社)、『京劇  政治の国の俳優群像』(中公叢書・サントリー学芸賞)、『本当は危ない「論語」』(NHK出版新書)、近著に『日中戦後外交秘史』(新潮新書・共著)ほか多数。NHKラジオ中国語講座の講師を歴任。

「2021年 『漢文で知る中国 名言が教える人生の知恵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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