海賊の掟 (新潮新書 180)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101809

作品紹介・あらすじ

ギリシア神話の昔から、大航海時代のキッド、ドレーク、あるいはカリブの海賊たち、日本でも藤原純友、倭寇、水軍、そして今日のマラッカ海峡に出没する略奪者に至るまで-古今東西、海のあるところ常に存在した海賊。国家や法律などの枠組みから抜け落ちた成らず者集団であったが、一方で必ず独自の掟を設け、驚くほど民主的な共同体を作り上げていた。映画やアニメの世界などでは窺えぬ、本当の"奴ら"の実態。

感想・レビュー・書評

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  • YY1a

  • 海賊というとパイレーツ・オブ・カリビアンとかワンピースだとか、ファンタジーを想像することも多いが、ここでは現実の海賊の現状や史実上の海賊について述べている。

    貧しい中でもなんとか暮らしていくために、ある地域の人々は海賊業を行う。実際に略奪を働いた人を逮捕したところで、次の海賊候補が外部からもやってくる。海賊を無くすには武力に対抗する武力だけでなく、根本的に人々の生活を豊かにしなければならないという難しさがそこにはある。
    史実の海賊にも触れているが、バイキング等は記述が少ない。逆に、日本の海賊については専門なのか割と丁寧に書かれていると思う。村上水軍の強さなんかは海賊とはいえロマンも感じるところ。ただ、生活の様子というよりは日本史の記述を少しかみくだいたような記述なのでこのあたりは読む人によってはちょっと辛い(眠い)かもしれない。

    個人的に発見だったのは、インドネシアにイスラム教徒が多い理由。世界史も再度学びたくなった。

  • 「黒髭危機一髪」の黒髭に、海賊のモデルがいたとは知らなかった。

  • キッド、黒ひげ、ドレーク、藤原純友などなど、古今東西の海賊の逸話を紹介。これだけで充分面白いのだが、本書が面白いのは、海賊が生まれる敬意に触れている点。
    国家が形成される過程で一定の秩序が生まれた結果、その枠組みから押し出された、もしくは自らの意志で飛び出した人々が海へいく。
    その理由は生活困窮であったり、主権の獲得であったり様々なケースがある。
    とくに印象深いのは、その秩序(特に封建制)からの脱却が背景にある為、思いのほか海賊コミュニティ内はある種民主的であること。
    海賊の掟というと、裏切ると殺される!とか漫画的には想像するが、実際は職務別の収入(=取り分)の既定や、戦闘などの有事に逃げた場合の罰則、さらには、その過程で障害を負った場合の保証(!)などを規定したものが海賊の掟になっているケースがあるという点。
    現在もマラッカを中心に海賊被害があるが、これも現在の秩序から押し出されて行っているという点では一緒。
    海賊の見方がかわる一冊。

  • マンガ『ワンピース』の紹介本の横に並べられていたので、『世界史をつくった海賊』 (ちくま新書) 竹田 いさみ に引き続き購入読了。
    どちらかといえば、こちらの方が断然面白い。現代の海賊から、世界史上の海賊、さらには日本の海賊も描かれている。海賊の元祖藤原純友から、村上水軍、松浦、九鬼水軍など日本の海賊は大航海時代のドレークやキャプテンキッドのような私掠船と違いどことなく『義』の香りがする。
    6000以上の島嶼からなる海洋国家日本において育まれた海賊の戦術が後に世界を驚かせる「智謀湧くが如し」秋山真之の戦術へと変化するさまを思い浮かべると、歴史の本当の重みを感じざるを得ない。
    海賊になるためではなく、海を愛した男たちのロマンを感じる一冊である。

  • 有名な海賊たちを紹介してる本。名前を知る程度にはちょうど良い。パイレーツオブカリビアンが少し違った視点で見れるようになるかもしれません。

  • [ 内容 ]
    ギリシア神話の昔から、大航海時代のキッド、ドレーク、あるいはカリブの海賊たち、日本でも藤原純友、倭寇、水軍、そして今日のマラッカ海峡に出没する略奪者に至るまで―古今東西、海のあるところ常に存在した海賊。
    国家や法律などの枠組みから抜け落ちた成らず者集団であったが、一方で必ず独自の掟を設け、驚くほど民主的な共同体を作り上げていた。
    映画やアニメの世界などでは窺えぬ、本当の“奴ら”の実態。

    [ 目次 ]
    第1章 現代に生きる海賊(海賊は実在する;マラッカ海峡とは)
    第2章 七つの海を股にかけた男たち(海賊の世界史;最強海賊列伝)
    第3章 日本の海賊(海を領地化した海上武装集団;室町後期から戦国時代、覇権を握った海賊たち;海賊の末裔;今日に続く後日談)

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 二〇〇五年三月一四日、マラッカ海峡。タグボート「韋駄天」(日本船籍・四九八総トン)は、シンガポール沖で、大型台船「くろしお1」に石油掘削プラントを載せ、ミャンマーへ向け曳航中だった。(プロローグより)
    現在存在する海賊、過去に海外や日本の海に生きた海賊についての話。
    女海賊の逸話も載っている。

  • 現代の海賊・世界の海賊・日本の海賊の三部構成。
    現代の海賊に関する記述は、時事問題でもありシリアスに読まねばならぬが、海賊の話題が、史実になった途端にロマン漂ってしまうのはなぜだろう。
    フック船長やカリブの海賊などのイメージが強いが、こうしたフィクションにも実在のモデルが存在するらしいし、過去においては(一部は現代でも)、海賊行為は必ずしも違法でも非倫理的でもないそうだ。また、日本の海賊史においては、海賊の海軍(水軍)の境界も微妙だったようだ。多くの海賊が一冊に詰め込まれていて、消化不良になるおそれもあるが、「海賊の掟」というシンプルで明快で収まりの良すぎるタイトルは良い。

  • 内容はそこまで詳しくはないですが、掟が載っていたから買ってみました。
    他の海賊の本に載っていることがほとんどだったので新しい情報はあまりなかったです。

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著者プロフィール

1962 年、千葉県生まれ。学習院大学経済学卒業後、金融機関勤務
などを経て、1991年より日本財団(日本船舶振興会)に勤務。現在、
広報チームリーダー。東海大学海洋学部非常勤講師。海上保安体制、
現代海賊問題などに詳しい。著作に『天気で読む日本地図』『海の
テロリズム』『日本の国境』など。

「2021年 『新世界 海賊の作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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