「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 485
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101977

感想・レビュー・書評

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  •  なんかあると審査、検査を強化しよう、となる。また間接業務が増える。いまに間接業務だけになってしまうのではないだろうか?著者の言われるとおり「日本の建築物の安全性を支えてきた」のは「会社の信用と技術者の倫理」(p.80)なんですよね。文系の間接業務じゃない。

     まあそうはいっても信用だの倫理というのは文明だから、なかなか一朝一夕には対策が取れない。そこで、本書も背後にある社会の要請ってものをよく考えろ、というメッセージになっている。「常識が大事だよ、常識が…」というわけだ。著者は「本来、人間が持っているはずのセンシティビティ」(p.103)という表現をされている。まあ要するに、よく考えろよ、ということなんですね。だけどよく考えても報われないんだよね。それでも考えろ、と。そういうわけだ。

     読みどころはやはり実例が書いてあるところ。バカヤローという表現はとっていないが、困ったことがありますよ、という実例を使った文脈が面白いです。

     専門家のバカヤローという文脈がある。法律家ってのは生活にはたいして役にもたたない。そういう専門家だから、面倒なことは法律家に丸投げしていた。それでよかったし、法律家も少ないから偉かった、重宝された、というわけだ。win-winですね。著者は「巫女のようなもの」(p.130)だったとしておられます。

    縦割りのバカヤローという文脈もある。法律は個々にあるけれども、背後の価値観ってのはつながっているんだから、「タコツボの中に入ってでてきません」(p.138)というのは困りますよ、というわけだ。例えば企業法にしたって「企業に関する法全体を体系化して『面』でとらえるということ」(p.139)が大事とのこと。その通りですね。専門家ってのはその専門のオブジェクトのほうをキーに考えるんだよな。それをあてはめる相手の側の体系にあてはめないんだよなあ、と思いました。このくだりは賛同しました。しかし、面で捉えるには実体経済に近づかなければならないですよね。そこがイヤなんでしょうね。専門家の人は。そもそも実体経済がイヤだから専門家になった人が多いんじゃないのか?これは私の邪推。

     すぐ間接業務に持ち込むっていうところで、法令遵守ってのも、これもまた、わが国を覆う文系の禍いの一つだな、と解釈しました。

  • 何でも法にすればいいというわけでもない。むしろ、何でも法にするから現実と法令の離隔が生じる。(2009.05.13)

  • 新潮社
    郷原 信郎


    むずかしかったなーw
    普段新聞を読まない俺にとってはねw


    物事には多面性があって、
    ありき論や、善悪とか正誤とか、それだけで考えるのは幼いことですよー。

    っていいたいんだと思う笑

  • 「未熟な」法治国家である日本で、法令のみを守るだけでよしとする風潮に警鐘を鳴らす。
    「なぜ」は色々な事件によって詳しいが、「ではどうすれば」にもうちょっと...という感じ。

  • 意外なタイトルの本、でも書いていることはナットクできる。

  • 発売当初に購入して中途半端なままだったので、読み返してみたんですが、改めて再読すると新たな発見というものがあります。視点が変わったり、気付かなかったところが浮き彫りになったり。読書自体が自分の成長の目安になったりするんでしょうね。

    (+)
    ・『会社法と労働法の関係』P135
    会社は株主のものという考え方が一般的に認知されだした現在、労働者(つまり社員)はその利益獲得に必要な労働用益であり、その労働契約の相手方であるという考え方。会社はだれのものかという前提にたった「会社法」と雇用や労働者保護を目的とする「労働法」は相互に密接に関連している


    ・『法の背後に何があるのか?〜社会的要請と法令遵守〜』P100
    法の背後にある社会的要請と、法令遵守の精神で締め上げた自らの守備範囲への意識の歪みがいわゆるテキサスヒットが生まれてしまう原因になってしまう。
    →自分がかつてそうだったと反省。意識するあまり、潜在的に法令遵守がインプリンティングされることによって、手がでなくなる可能性がある。


    (−)
    途中からコンプライアンス論からマスコミを暗に批判しているような内容にも見える。またフルセットコンプライアンスについては、どうしても5W1Hのような漠然とした話に終始して、実態例にそぐわない気がしてならない。



    【「法令遵守」が日本を滅ぼす】
    郷原 信郎 (著)
    出版社: 新潮社 (2007/1/16)
    ISBN-10: 4106101971
    ISBN-13: 978-4106101977
    発売日: 2007/1/16

  • 6月4日購入。

  • 良い本と思う。文章も平易な表現でわかりやすい。中身もタイトルそのまま。

  •  タイトル負けした内容。
     特に目新しいことはない。しかし、事実関係荷は問題ないので、毒にも薬にもならない感じか。

  • この手の本色々読んだが・・・ふむふむと納得させられる点があったことではこれが一番かも。5つ星あげちゃいます。

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著者プロフィール

郷原 信郎(ゴウハラ ノブオ)
郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表
1977年東京大学理学部卒業。83年検事任官、公正取引委員会事務局審査部付検事、東京地検検事、広島地検特別刑事部長、法務省法務総合研究所研究官、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官兼教官などを経て、05年桐蔭横浜大学法科大学院教授、06年弁護士登録、08年郷原総合法律事務所(現・郷原総合コンプライアンス法律事務所)開設。09年名城大学教授。2012年関西大学特任教授。
『青年市長は司法の闇と闘った』(KADOKAWA、2017年)、『告発の正義』(ちくま新書、2015年)、『検察崩壊~失われた正義』(毎日新聞社、2012年)、『第三者委員会は企業を変えられるか~九州電力「やらせメール」問題の深層』(毎日新聞社、2012年)、『組織の思考が止まるとき~「法令遵守」から「ルールの創造」へ』(毎日新聞社、2011年)、『特捜検察の終焉』(飛鳥新社、2010年)、『検察が危ない』(ベスト新書、2010年)ほか著書多数。

「2019年 『初級 ビジネスコンプライアンス 第2版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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