- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106101977
感想・レビュー・書評
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本質が書かれた 著者の鋭い本です
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コンプライアンスとは「法令順守」ではなく、「社会的要請への適応」と解釈すべきと作者は問う。
本来、何のために法律が存在するのか?単純に法律を遵守する事が社会の要請に応える事にはなっていないにも関わらず、「法令を守れば良い」、「法令に従って物事の是非を判断すれば良い」と単純化されていないか、作者は警笛を鳴らす。
文章も簡潔に非常に読みやすく、分かりやすい。おススメ。 -
細かい条文がどうなっているなどということを考える前に、人間としての常識にしたがって行動すること。そうすれば、社会的要請にこたえられる。
本来人間がもっているはずのセンシティビティというものを逆に削いでしまっている、失わせてしまっているのが、今の法令遵守の世界
組織が社会の要請にこたえるためには
1 社会的要請を的確に把握し、その要請にこたえていくための組織としての方針を具体的に明らかにすること
2 その方針に従いバランスよくこたえていくための組織体制を構築すること
3 組織全体を方針実現に向けて機能させていくこと
4 方針に反する行為が行われた事実が明らかになったりその疑いが生じたりしたときに、原因を究明して再発を防止すること
5 法令と実態とがかい離しやすい日本で必要なのが、1つの組織だけで社会的要請にこたえようとしても困難な事情、つまり組織が活動する環境自体に問題がある場合に、そのような環境を改めていくこと
組織が何を目的とし何を目指しているか、その実現に関して何が問題になっているかを、全構成員が理解、認識すること -
コンプライアンス=法令遵守としてしまい、形から入り、形で終わっている今の世の中、会社、組織に警鐘を鳴らしている本。
筆者はコンプライアンス=「組織が社会的要請に適応すること」と定義していると書いてある。長いから広がらない、とあるが、個人的には辞書にこの意味が載るような簡潔な日本語が作られれば、と思う。明治時代にはそうしてきたはずだ。
法律やルールを守っていくことは大事なことであるが、それは何のために、誰のためにやっていくのが大事なのか、記者会見で頭を下げれば終わりというわけではない、と改めて考え直すべきなのであろう。 -
官製談合などを引き合いに、立法事実を軽視した法運用がいかに社会にマイナスに作用するか、また昨今の企業不祥事で散見される、無自覚な「法令遵守」だけをして本質的な原因追求をしないために、類例が何度も繰り返されているのではないかと警鐘を鳴らしています。
また、本質を見失ってしまうのは、官僚やマスコミの行動が弊害になっているからという指摘は同感ですが、根拠についての記述がいささか弱かったかなという印象です。
「法令遵守」=「コンプライアンス」ではないという説明に著者の主張が凝縮されており、「コンプライアンス」の真の意味を問い直すのに、一読の価値ありでしょう。 -
かなり共感。日本の政経民の停滞感の原因がここにある。『よく出来た組織の陥る罠』が描かれている。
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守るべきものの先に何があるのかを考えぬままルールを敷いてしまったために歩みを止めた日本の現状を綴っている。少々難しくもあるが経済・経営に興味があるならお薦めしたい。
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現在起きている問題の本質を突いており、良書である。
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この手の本色々読んだが・・・ふむふむと納得させられる点があったことではこれが一番かも。5つ星あげちゃいます。
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まっとうな本。
コンプライアンスを言葉の武器にしてはならい。そしてまたバックラッシュを主張しているわけでもない。
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長崎で大活躍した郷原元検事の痛快な一冊。法の背景にある社会的要請を忘れて、細かな法令にこだわる”法令遵守”が大手を振って歩く最近の日本は、大間違いだと説く。
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社会の現状に照らし合わせた必要性からは乖離した法令をただ闇雲に遵守することで起こる弊害を、談合問題・ライブドア事件・村上ファンド事件・耐震強度偽装事件などの具体例をあげて説明している。法令本来の目的を見失い法令遵守が自己目的化したり、包括的規定に基づいて処罰するべき案件を形式犯として罰則を適用したりするために不利益をもたらしていることが多いという点を指摘しながら、法令の背後にある社会的要請に応えていくという日本型のコンプライアンスとそれに基づく組織づくりを提案している。面白くためになる本でした。