- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106102172
作品紹介・あらすじ
格差社会、少子化、教育崩壊…。メディアでは暗い話ばかりが喧伝されるが、日本は本当にそんなに「駄目な国」なのだろうか。戦後、一度も戦争をせず、努力の末、経済的繁栄を実現した。トヨタ、ソニー、カラオケ、マンガは言うまでもないが、日本人が考えている以上に日本は評価され、期待もされている。悲観していても何も始まらない。「日本の底力」をもう一度見つめ直し、未来を考えるための一冊。
感想・レビュー・書評
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BOOKOFF響ヶ丘店で見かけて気になったので購入。
政治家の本はその人の頭の中を覗いているようで読んでいて楽しい。2007年刊行の本なので今とは政治情勢も国際情勢も違うが、その政治家の基本的姿勢や考え方は追えるから読んで良かった。
前を向いた人だと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
麻生太郎と言えば、つい最近までは”吉田茂の孫の七光議員”というイメージしかありませんでしたが、国会議員で唯一と言ってよいほど、日本が世界をリードしている”漫画”について肯定的なイメージをもっている人だと思います。
暗い日本悲観論が横行するなかで、元気付けられる本でした。また、靖国神社が他の神社とは異なるものであることを初めて知りました。
以下は面白かったポイントです。
・日本は成功も失敗も進んでさらけ出すことが出す国である、日本の強みは以下の通り(p21)
1)ソート・リーダー(先駆者)
2)財政における自動安定化装置(累進課税制度)
3)国対国の関係に、上下概念を持ち込まない
・日本には全世界で稼動している産業用ロボット(85万台)の42%がある(p54)
・3J:ジャパニメーション、Jポップ、Jファッションは日本の強み(p59)
・宗教は、天国へ行く「機会」は平等と言っているに過ぎない(p88)
・今の中国に活力のある理由は、市場経済を導入し、「結果の平等」の建前を崩して、「機会の平等」へシフトしたから(p92)
・7万以上もあった町村数が、1889(明治22)の大合併で1万1859市町村、2003年に3181市町村、現在は1804へ減少(p110)
・2007年4月、日本海側に初の政令指定都市が制定(p121)
・国連安全保障理事会に、北朝鮮の暴挙に対する決議案を提出したのは、国連加盟以来、初めて、米英仏、デンマーク、スロベキアが共同提案国となる(p137)
・靖国神社は、神々を祭る本来の神社でないので、神社本庁に属していない。全国に52ある護国神社も同様の性格(p149)
・日本の陸自衛隊員は、イラク人道復興支援のために来たことをイラク人に確信させることができたのが、イラク派遣成功の要因(p178)自衛隊の給水車には、日本の国旗以外にも、「キャプテン翼」のロゴマークも貼ってあった(p60)
<<2009年5月記入>>
2009年5月現在首相である麻生氏が外務大臣であったときに書かれた本です、彼の評判は通常の世論調査では把握できないかもしれません。完全な対米追随でアメリカの評判をとった小泉氏とは異なるとは思いますが、彼の考え方もなるほどと思える部分がありました。
特に、靖国神社が他の神社と異なっていること(p148)は初めて知ったことでした。日本国の莫大な累積債務を取り上げて不安を煽るのは誰でもできることですが、日本の底力を政治家がこの本で述べてもらえると日本国民の元気付けられると思います。
以下は気になったポイントです。
・昭和中期まで日本の高度成長の陰に、公害に代表される環境破壊があった、日本はその反省を活かしてエネルギー効率が世界で最も良い国となった(p25)
・日本とは何か、という問いへの最後の答えは、「国対国の関係に、上下概念を持ち込まない国」である(p32)
・一緒に働きたいのは、高学歴者ではなく、「気持ちの良いひと」「波長の合う人」である(p66)
・格差拡大の第一の理由は、高齢化、次にデフレである(p96)
・三位一体改革とは、1)政府から自治体への補助金削減、2)国税から地方税への税源移譲、3)地方交付税の変更、である(p113)
・国、地方の公務員の合計が342万人で、それらの経費が30兆円、税収82兆円と比較すると経費が大きいことがわかる(p115)
・日本は不況と言われるが、貿易収支・経常収支ともに黒字なのは先進国中で日本のみ(p122)
・2006年、日本は国連安全保障理事会に、北朝鮮の暴挙(弾道ミサイル7発の発射)に対する決議案を上程した、国連加盟後50年で初めて安全保障理事会をリードした(p137)
・靖国神社には、遺灰・遺骨といった物質的な何かはない、あるのは精神的は抽象的なもの、日本人の「集合的記憶」である(p141)
・戦争遺族に対する給付を受けている人は、1982年当時は154万人であったが、2005年には15万人、戦友の人たち(恩給受給者)は、1969年のピーク:283万人から、2005年には121万人となっている(p147)
・靖国神社は、神々を祀る本来の神社ではないので、伊勢神宮以下の8万の神社を束ねる神社本庁に属さない、戦前は陸海軍省が共同で管理していた(p148)
・設立経緯、施設の性格を考慮すると、全国に52社ある護国神社と同じ性格を持っている、靖国神社が変わろうとする場合、護国神社と一体で行う必要あり(p149)
・日本の自衛隊はイラクのサワマで信用を勝ち得た、現地の議会、部族長の全てのところに、士官・部隊長クラスが挨拶に出向く、いわゆる根回しを周到に行ったから(p178) -
悲観的になっている日本を元気にする、愛国心溢れる一冊。
ただ励ますだけにとどまらず、国益を重視した麻生さんなりの政策案を除くことができ、説得力が増している。 -
十年以上前の本だが、日本の良いところを数々挙げているので面白かった。しかしながら最後に、著者がグローバリストの影響下にある記述があって興ざめ。曰く、これからはナショナリズムはもういらない、アジアも緩やかに連帯し、かつてのナショナリズム的な弊害を取り除いていくべき、とのこと。
一部では右派で国士のシンボルのように思われている著者の、本当の姿が垣間見られたという意味では納得。
内容的には面白かったので星四つ。 -
以前から麻生さんを支持しているが、やはり政治家は大きな夢とそれを実行する行動力、そして人に愛される人間性がある人になってもらいたいものです。
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麻生さんへの興味と長く政治活動を続けた人からみた日本の強みを学ぶべく手に取る。
閉塞感が漂うように感じられる日本について、日本が抱える様々な問題について触れながらもう一度日本の実情について麻生さんが自論を展開している。
トピックはさまざまであるが一貫して日本の未来について明るく感じられ、
日本人として誇りをもてるような内容を汲み取った。
その一方で現在の日本が改善すべき点についても言及し改善策を打ち出している点からも
本当に日本のことを思っているのだということを感じた。
取り上げていた問題
ニート問題・・・経済の観点からはもちろん労働人口の増加が望ましいが、多様化した社会において政府が個人の生き方に枠組みを提供する(負け組、社会のお荷物など)ことはいいとは思えない
少子高齢化・・・現代の社会においては豊富な知識、経験を有する労働力として高齢者は重要な役割をはたしている。人生においては高齢者は社会の目をきにすることなく、余生を楽しむべきである
靖国問題・・・自国を守った祖先を、胸を張って堂々と祀ることのできないことが不自然であること、分祀などを議論することは本質的には間違っているのではないかということ、そしてその問題は政府ではなく宗教法人で管理されていることから生じているのではないかということ
また日本が高く評価されている点で多くのソフトパワーを取り上げていた。
戦後復興の速さに始まり、欧米を追従しようとした明治初期からの富国強兵、発展途上国への支援、クールジャパンと称される日本のサブカルチャーなどなど。
つまり、長い歴史や習慣に基づいた知恵(知識、感性、考え方など)、またそれらから生まれたアウトプットが各国で高く評価されているということ。
また、それらを本当に理解している人はどれだけなのかということである。
「日本が持つサブカルチャーの強みを、日本人は理解していない」
という外国人の日本のサブカルチャーに対する引用があるように。
本の評価としては、民間の社長経験や外交経験豊富な麻生さんが個人的な見解や経験に基づいているといったいい面を含む反面、根拠に乏しいといったこともあり、日本の底力を取り上げるといった大枠を除いてはすこしまとまりにかける印象ももってしまった。
内容としても、日本の底力や今度日本がどうあるべきかといったことに関しては、わかりやすさなどを考慮してなのかそこまで踏み込んだ議論には及んでいないので、年配の方にしてみれば少し物足りないのかと思った。
それでも、一読の価値と期待を踏まえて★5つ。
個人的な感想
・日本に対する評価は外交官だけのものではなく、諸外国に関わるすべての日本人によるものであるのだなと改めて感じた
・日本が世界から高い評価を受け続けるために、少しでも知恵を磨いていきていこうと思った
・民間企業の社長経験などからも、民主主義社会の本質をとらえ、どのように対処していくべきかの考え方を展開していることも非常に説得力があった
なんとなく、雰囲気にのみこまれて日本を憂いている人に読んでほしい一冊。 -
世界における日本の立ち位置を再認識できたのは良かった。周辺国にとって「日本はアジアにおけるビルトインスタビライザー、つまり安定勢力として機能」し、自国については「日本は世界が全体として安全、平和なことに、自らの繁栄を託す国である。」と麻生さんは表現されていますが、この姿勢は、この先も日本が外交での選択肢を考えていく上で大切なスタンスだと感じます。そうなれば、ODAも単にバラマキと揶揄するのではなく、その観点から考えて有効なのか検討していくべきなのだろうと思えました。
日本の底力を語る第二章では、どこでも語られるような日本の技術やサービスの質に焦点を当てるのではなく、サブカルチャーやニートを議題にしているあたりは麻生さんらしさなのかなと思う。
特にニート問題に関しては、そのものよりもその前後にある「教育」と「社会」に着眼されています。
戦後、発展途上の日本において最も必要とされていた労働者やサラリーマンを量産する上では優れていた平準化教育も、職業や価値観の多様化、雇用の流動化が進んだ現代では錯誤したシステムになってしまっている。一方、その均一した教育の先には、先行きの全く見えない混沌とした社会が広がっている。
その狭間に立たされる彼らは、そうした構造が故に考えを突き詰めても答えらしい答えは見出せず、モラトリアムを再延長してしまう。そこに社会への参加の動機付けをいくら施しても問題の解決にはならないとの見解には非常に納得させられました。
政治家は言葉だけ。確かにそのイメージしかない。
でも、それに対して放つ「ビジョンとは大風呂敷である」
これはいい言葉だと思う。
負け犬根性が染み付いているのか、能ある鷹が爪を隠し過ぎているのか、日本は自分達を控えめに見過ぎた故に、ついには気付けなくなってしまった部分が結構あって、それらを掘り起こすには過剰なくらいの気構えも時には必要なのだろう。
しかし、本にすると面白く読めるのに、こと政治となると、なぜこれほど無味乾燥になるのかとも感じた。国民と読者は同じ人間なのに、同じ人間である政治家と著者は違う方向を見ているからという気がする。国民を見ない揚げ足取りの討論大会に辟易していることに早く気付いて欲しい。 -
以前、一部の若者に絶大な人気を誇る政治家と紹介されていた。その後、漢字も読めないバカな政治家と紹介されていた。また祖父が素晴らしい功績を残した政治家とも紹介されている。
その割に麻生さん本人の言葉で語っている内容を見たり、読んだりした記憶が自分にはなかった。イメージばかりで、麻生太郎とはどんな政治家なのか分からなかったが、日本を愛し国民を大切に思っている、そのメッセージが詰められた内容だった。
読み終わった後ならば、最後の言葉がすんなりと入ってくるだろう。 -
「日本はまことに不思議な国である。
敗戦後は一度も戦争をすることなく平和と安定を維持し、数十年に及ぶ努力の結果、世界史上でも希に見る経済的繁栄を実現した。
にもかかわらず、新聞を開けば、やれ格差社会だ、少子化だ、教育崩壊だ…と大騒ぎ。
テレビをつければ凄惨な殺人事件ばかりが報じられ、識者と称する人たちが、日本はなぜこんなにおかしくなったのかなどと語っている。
新聞やテレビを見ていると、まるで明日にでも日本が滅びそうな気がしてくる。
でも、ちょっと待っていただきたい。
日本は本当にそんなに駄目な国なのだろうか。そんなにお先真っ暗なのだろうか。」
これが根底に流れるテーマであろう。
読むと、元気が出るふしぎな本だ。
ニートに対する考え方、来るべき高齢化社会をどうするか、靖国神社とはなにか、自衛隊の活動の四つが大変参考になった。
素敵な本に感謝したい。 -
特定の人たちには閣下という相性で呼ばれている元総理大臣が書いた本。
元総理大臣が書いた本と言えば、小泉さんや橋本総理の書いた本なども呼んだことがあるが、それらと比べて幾分さっぱりした感じで読みやすい。
本の内容はタイトルの通りであり「日本がどれだけ凄い国か」ということ。
最近は政治家も日本は凄い国だなどとあまり言わなくなった。口を開ければ悪い話しばかり。それが事実だったとしても、癌患者に毎日病状を伝えるだけの医師など不要なのだよ。と思ってしまう。そんな中でこの本を読んだからか、政治家が日本の自慢話をしているのは新鮮に感じた。
日本が凄い国だという話し以外では靖国問題についても書いてある。
靖国を国営にしてしまうと言うアイディアは総理経験者の話しとしては面白い。実現可能性はさておき、そういうアイディアは政治家が積極的に出して欲しい。
繰り返すが、この本はとても読みやすい。
軽く読める。1、2時間ほどでさっとよめるのではないだろうか?
日本の元総理がどんなことを考えていたのか?そんなことをさらっと読んでみるのも良いのではないだろう。
最後に一つ。
今とは、過去から流れている時間の一点である。
未来とは今から先に流れる流れではなく、過去から今を経由して流れる流れである。
今だけを見て物事を考えるなかれ。
格差問題の話しを読んだときの私の思いである。