邦画の昭和史: スターで選ぶDVD100本 (新潮新書 224)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102240

作品紹介・あらすじ

時代と共に変遷してきたヒーロー像、あるいは気品と淑やかさを持ち合わせていた女優たち。大衆は何に憧れ、何を求めてきたのか。直木賞作家であり大の映画通である著者が、魅力あふれる銀幕スターを軸に厳選した名画100本を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 2007年7月20日、初版、並、カバスレ、帯無し。
    2014年7月1日、白子BF。

  • スカパーで日本映画チャンネルを観ているので読んだ。よかった。

  • 作家・長部日出雄さんの邦画ガイドブックであります。
    映画は監督で観るものといふ定説に拘泥しますと、抜け落ちる作品が多数出てしまふといふのださうです。そこでサブタイトルで「スターで選ぶ」と謳つてゐます。

    タイトルは「邦画の昭和史 スターで選ぶDVD100本」ですが、平成の映画も含まれてゐるし、DVD100本といひながら未DVD化の映画も選んでゐます。
    さらに、「スターで選ぶ」の部分も、吉村公三郎・小津安二郎・溝口健二・成瀬巳喜男といつた監督論が飛び出して徹底されてゐません。
    要するに、タイトルで内容を表してゐるのは「邦画」の部分だけですかな。

    選ばれる映画はおほむね順当なものでせう。もちろん100人ゐれば100通りの選定が考へられますので、あくまでも長部氏が選ぶ100本であります。読者としては、細かいところに目くじらを立てず楽しむのが良い。
    基本的に映画を娯楽として捉へてゐるのが良いですな。分かりやすい。次のやうな部分は、大いに首肯するものであります。

    「...ある時期から邦画の一部の現場に、観客に解りやすくするのは通俗的で、解りにくくするのが芸術的、映画というのは監督の思想(そんなもの、きみにあるのかね?)を伝えるための手段で、スターを綺麗に撮ることなど二の次、三の次、あるいは問題外という不可思議な迷信が蔓延しはじめた。(中略)批評家の一部も、解らない、といったのでは沽券にかかわるから、意図不明な難解な作品ほど、ことさらに褒めそやす。
     無視された観客が、映画館から去って行ったのは、理の当然であった」

    そんな長部氏でありますから、東宝ゴクラク座も大映カツライスも躊躇無く選ぶ。愉快であります。この種の本では、さういふ「通俗映画」を選ぶと、それこそ「沽券にかかわる」として、頭から無視されるのが通例でありますからなあ。
    しかし本書で、私が一番共感したのは、『五番町夕霧楼』において、佐久間良子の唇が格好良いと述べ、「この唇を目にするだけでも一見の価値がある佳作」といふ部分であります。本当にその通りなんですよ...

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-185.html

  • 小津安二郎を見るきっかけに

  • たとえば田中絹代の邸宅をわざわざ訪れてその広大さ(今はなき松竹大船撮影所の全盛期より大きい敷地面積)を確認して、その眺めから「アメション女優」と批判されて家の崖から飛び降りて自殺しようかと思いつめたという情景を再構成するなど、自分の体に刻みこまれた日本映画史。

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著者プロフィール

長部日出雄(おさべ ひでお)
1934年9月3日 - 2018年10月18日
青森県弘前市出身の小説家、評論家。故郷である津軽についての小説、エッセイを多数刊行。
早稲田大学文学部哲学科中退。1957年『週刊読売』記者に。その後退職し、雑誌『映画評論』編集者、映画評論家・ルポライターを経て、作家になる。
1973年『津軽じょんから節』『津軽世去れ節』で第69回直木賞、1979年『鬼が来た-棟方志功伝』で第30回芸術選奨文部大臣賞、1986年『見知らぬ戦場』で第6回新田次郎文学賞をそれぞれ受賞。2002年『桜桃とキリスト もう一つの太宰治伝』により第29回大佛次郎賞・第15回和辻哲郎文化賞を受賞。紫綬褒章受章。
それ以外の代表作に『天皇はどこから来たか』『「古事記」の真実』など。2018年10月18日、虚血性心不全のため死去。

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