愛子さまと悠仁さま: 本家のプリンセスと分家のプリンス (新潮新書 230)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102301

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  •  「皇室」については、以前は「菊のカーテン」ともよばれるほどに世間から隠されたものであったが、現在はそうもいかずにだいぶ開かれてきているのではないかと思い、本書を手にとってみたが、どうも本書の「愛子さまと悠仁さま」についての「格差」(?)への不満のスタンスには違和感を持った。
     そもそも「天皇制」が「血脈と伝統」によって構成されている以上、「本家」と「宮家」に格差があるのは当たり前ではないか。
     本書は「本家のプリンスセス」と「宮家のプリンス」との待遇の差をいろいろとあげて、疑問を呈しているが、その疑問を正当化する主張は見当たらない。
     著者は、皇太子家の「東宮職は50人の人員を誇るが、秋篠宮ご一家の担当者は、わずか10人あまりしかいない」と嘆いているのであるが、「皇太子」は、「次期天皇」と定められた公的な職業なのであるから、補佐する人員が多いのは当たり前ではないかとも思える。
     本書にはその50人の担当者の役目の記載はないが、宮中行事関係の担当者も当然はいっているのではないか。
     むしろ、公的な役目がすくないであろう秋篠宮ご一家の担当者が10人もいることのほうに驚く。
     著者は「産経新聞社」の宮内庁担当者であったのであるから、当然「皇室」の内情には相当詳しいのだろうが、本書でそこを充分に紹介できているとは思えない。
     平成16年の皇太子のいわゆる「人格否定発言」は、当時日本国民に大きなショックを与えた。
     その発言を生み出した「皇室内の背景」はいまだに明らかになっていないが、結婚時に雅子さまに「一生全力でお守りします」とプロポーズした皇太子である。皇太子が、自らの誓約と皇室内部の何らかの軋轢との狭間で、ギリギリの選択と発言をしたようにも思えたが、その後、現天皇や秋篠宮からも支持を得られず、沈黙したようにも見えた。
     それらの日本国民であれば誰もが知りたいであろう皇室の内実についての切り込みも本書には全くない。
     皇室には「伝統」や「国民の支持」などの素晴らしい財産と共に、一般からは理解しにくい様々な「古い慣習」もあると思われるが、これらへの指摘もジャーナリズムの責務であろうと思うが、本書にはそれも見当たらない。
     批判精神を持たないジャーナリズムに、価値はあるのだろうか。本書は残念な本であるとおもう。

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