漢字は日本語である (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102530

作品紹介・あらすじ

漢字のルーツはもちろん中国だが、現在日本で使われている漢字は、長い年月を経て、さまざまな日本式改良が施された、わが国独自ものである。中国にはない訓読を駆使し、送り仮名という画期的な発明を加え、見事に日本語のなかに組み入れたのは、まぎれもなく、日本の英知なのである。日本ではじめて、日本語のための漢字辞典という画期的辞典を編纂した著者による、日本語の素晴らしさを実感できる漢字の話。

感想・レビュー・書評

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  • 漢字のルーツはもちろん中国だが、現在日本で使われている漢字は、長い年月を経て、様々な日本式改良が施された、日本独自のものである。なぜかというと、中国にはない訓読を駆使し、送り仮名という画期的な発明を加え、見事に日本語の中に組み入れたからである。さらに、日本は和製熟語を作り出して漢字の利用範囲を大きく広げたと著者は述べる。
    和製漢語は多くが西洋の言葉を訳すために作ったもので、それまでに日本にはない概念や社会、人文、科学についての言葉を翻訳したものである。明治時代に西洋の書物を翻訳する際に、日本で漢語を作ったのである。その際に西洋の概念を英語やドイツ語フランス語などを音訳せず、漢語を造語したのである。
    このころ、中国の国勢が急速に衰えた。愛国の志士たちは隣国の日本が明治維新後まもなく資本主義の軌道に乗るようになったのを見て、 康有為、梁啓超を代表とする中国の一部のインテリが、 中国も日本に倣って維新することを主張し出した。これこそ、日本語「外来語」が中国に入り始めた最初だったのである。梁啓超はこのように模倣するとき、特に深く考えることなく、簡単に民主・科学・政治・経済・自由・法律・哲学・美学といった語彙を中国の読者に紹介したようである。これが意味することは、日本語「外来語」が中国にもたらされたのは、やむを得ない、自覚的ではない状況のもとで始まったということである。
    つまり日本人は中国から伝来した漢字を、様々な工夫によって見事にカスタマイズし、和製漢字だけではなく、訓読み、送り仮名も作り出した。これらの創意工夫によって、漢字は見事に改良され、日本語にふさわしいものに生まれ変わって、和製漢字として日本語の一部になった。

  • 漢字の歴史や字体。入門にいいかも。

  • 確かに漢字を調べるのに漢和辞典は不便だと思ってた。著者が編纂された新潮日本語漢字辞典は見てみたい。
    漢字に関する疑問に思ってたことも記述されてた。使える漢字と使えない漢字、その理由はややこしい。

  • Kindle版で一気に読んでしまいました。
    漢字は面白い。
    『新潮日本語漢字辞典』欲しい気持ちが高まります。

  • 漢字にまつわるあれやこれやの話。いかにもありそうな話から、なかなか物珍しい話題まで、読んでいて楽しくなる。文字でニュアンスが伝わるという漢字のメリットは言わずもがな、ほとんどの文章が、バソコンかスマホで書かれる現代は、難しくて覚えられないという漢字最大の欠点も克服したかもしれない。韓国がほぼ諦め、中国が簡体に甘んじている中で、漢字仮名アルファベットが混在した日本語は最強。

  • 漢字オタクが書いた漢字にまつわる雑学書。

  • 本著は一般的な漢字論といえるが、矢張り『新潮日本語漢字辞典』は画期的というより、白川静以来の快挙と申し上げたい。

  •  漢文を読むための漢和辞典ではなく、はじめて「日本語に使われている漢字を収録した漢和辞典」という『新潮日本語漢字辞典』。その企画者であり、新潮社の校閲部に勤務する著者が書いた、漢字にまつわるあれこれの話。
     学者が書いた本ではなく、校閲者が書いた本、という特徴はよく出ている。異体字の話や、人名漢字、常用漢字・JIS漢字の話など、おもしろいと感じる人がどんくらいいるかは置いておくとして、こういう視点で書いた漢字の本はたぶんなかった。
     目ウロコだったのは、漢字の部首がどう決まるのかということ。「問、聞、悶、閣、閥、閲」の6つの漢字で、〈すべて「門がまえ」かと思いきや、これがそうではない。「閣、閥、閲」は「門の部(門がまえ)」で正解だが、問は「口の部」、聞は「耳の部」、悶は「心の部」に属するのである。なぜこんな面倒くさいことになるのかというと、部首は基本的に、意符の部分を取ることになっているからだ。意符とは、漢字の意味を表す部分。これに対して、音を表す部分を音符と呼ぶ。〉つまり、「モン」と読む漢字の部首は音符が「門」であるから、「門がまえ」ではないという訳。くそー。そんなこと習ったかなぁ。これだけで、ずいぶん漢和辞典を引きやすくなるなぁ。
     あと、〈漢字は元来、どの部分を左に書こうが右に書こうが、上に書こうが下に書こうが、かまわなかった〉というのも「へぇ」。「峰」でも「峯」でもイイというのが、ほかのいろんな字でもあったわけで。そういえば横浜の書店「有隣堂」の「隣」の字、ホントは「鄰」という字なんだよね……とか。
     ぜんたいとしてすごくおもしろいかというと、オレは「ほどほど」だったんだけど、オレよりももっと漢字好きな人はすごくおもしろい本かもしれない。

  • 漢字を国語に取り入れ、訓読み、仮名遣いなどを巧に入れて現代日本語を完成してきた日本人の知恵は素晴らしいものがあります。韓国においてハングル文字のみになり、漢字が消滅しつつあると言うことは危機的だと思いますし、中国における訓読みのないことの不便さもきっと大変だろうと思うのです。そして日本で作られた言葉が中国に逆輸入され、それが、共産主義、共和、人民などの言葉もそうだというのは思わずニヤリとしてしまいます。後半は一転して日本の名前向けの漢字を決めていくその試行錯誤の愚かさ、一体日本人の過去の知恵はどこへ?と思わされますし、漢字の新JISコード対応のパソコン(ウィンドウズビスタ等)で逆転した運命(葛飾区と葛城市の逆転劇!)、新"潟"が当用漢字にあるにも関わらず、大"阪"、"熊"本、"鹿”児島などが入っていないと言う不可解さなど、実に楽しく読みました。当用漢字を決めた学者たちもいい加減なものです。

  • 第一章は新潮社の漢和辞典のPR(笑)。
    漢字についてのいろいろな個別的な知識も面白いだろう(が、類書でも読んだ話はたくさんある)。

    個人的には韓国語の漢字の字音語の割合が、6割程度という話が興味深かった(ちなみに日本は4~5割)。
    ただ、その数字だけが書かれていて、どのような調査なのか、いつの調査なのかなどがわからないのが残念。
    旧JISコードと新JISコード間の混乱については、他の本でも読んだが、この本の記述の方がわかりやすかった。

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