「猛毒大国」中国を行く (新潮新書 267)

  • 新潮社 (2008年6月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784106102677

感想・レビュー・書評

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  • 新書がいつのまにか 週刊誌のような 読み物化しているような感じを受ける。
    その時々の話題に対して 緊急に出されるという 安易な新書。
    深く掘り下げるよりも ジャーナリスティックに とりあげて、
    1冊の本に仕上げる。

    中国の食品問題は格好の材料だ。
    この本は2008年に出版され、餃子農薬混入事件がまだ解明されていない時で
    中国の食品に 疑惑が一番もたれているときだ。
    日本でも 賞味期限切れの商品をリパックするという事件があったが、
    品質の低下の問題と比べれば、毒物が入っているのが中国で、
    質が違うと 著者は 強調する。

    最初に取り上げられるのは 白い春雨。
    春雨は 緑豆から 作られるのであるが、
    サツマイモ、トウモロコシ、コムギ、雑穀の澱粉が使われていることを明らかにして
    漂白剤を使っていることを追求する。
    ピロ亜硫酸そして 吊白塊 という漂白剤であることを突き止める。
    吊白塊は、日本名 ロンガリット。
    成分は、ホルムアルデヒド硫酸ナトリウム。発がん性があるという。
    コムギ粉にも、過酸化ベンゾイル(砒素と鉛の含有)という漂白剤が入っている。
    それでも 黒い春雨より 白い春雨が売れる。

    ヨード入り食塩が 工業用塩でごまかしていると追及は続く。
    氷砂糖を 亜ジチオン酸ナトリウムで漂白。透明感を出す。

    次は ニセタマゴ アルギン酸ナトリウムでつくる。
    本物は1個 0.3元であるが、ニセタマゴは 0.05元で売っているという。
    それを ニセタマゴ商法で 儲かるよと販売をする。

    人造ぶどう酒 人造クラゲ 人造肉 ととどまることを知らない。

    月餅のアンを 冬瓜で作る。
    ザリガニを 糞便で育て、有機飼育法で販売する。
    工業用苛性ソーダいり パンを作る。鮮やかな焼き色をつける。

    ダンボール肉まんの事件の背景。

    重金属汚染された 食品や野菜。
    環境破壊が進む中で 広がり 癌村と呼ばれる街が出来上がる。
    井戸水が 工業用排水などで汚染され、それが 癌を引き起こしている。

    漢方薬が安全といえるのか。
    アメリカで 中国からの輸入された漢方薬260銘柄のうち
    医薬品が含んでいると表示があるもの 14銘柄
    表示がないにもかかわらず 医薬品が含まれていたもの 17銘柄
    鉛、砒素、水銀が含まれていたもの 95銘柄という。
    ドクダミ点滴で 死亡さえ起こっている。

    漢方薬は副作用がないというのは妄想に過ぎない。
    漢方薬は 科学的な根拠が薄く、客観的検証がなされていない。
    漢方医 23万人 西洋医学の医師が400万人。
    漢方医院が、1万8千箇所ある。

    毒のあるものがまかりとおる 中国の構造的なものと
    それを追求する 健全なジャーナリズムがない。

  • 「2008年日本人が中国産の冷凍キョーザを食べて下痢など中毒した」という事件を背景として、著者は自分の人脈を活かして、中国で数多く食品安全問題がある工場を訪れた。許可できない添加物を使い、きわめて汚い部屋で作り出す春雨、化学物でそっくり作り上げる人造卵、糞便で育てられたザリガニまで、この中には中国のインターネットでも検索できない内容もある。外国人でも中国の食品安全の深刻さを感じられ、中国人としての私どももちろんよくわかる。しかし、中国での食品材料を偽装したり、賞味期限を誤魔化したりことはもう十数年以上続いていた。ニュースでもインターネットでも何度も披露されたが、どうしても取り締まることができない。それはいったいなぜか。
    著者の観点により、発展途上国である中国で、都市部と農村部の差、教育を受けたレベルの差など格差社会の厳しさはだれでも認めなくてはいけない事実だ。こんな格差社会で、経済がよく発展してる地域に対して、すごく貧しい山間地域で、そちらに住んでいる教育水準はともかく、衣食が足りるかどうかも問題である人も数多くいる。こんな驚く格差社会で、脱税、汚職事件までもなく、食品安全問題もそれによって多くなった。著者が「「白いすだれ」はとてもあの汚いカメの水で洗ったとは思えないほど美しい光沢を放ち輝いている」のようなほぼ皮肉めいた言葉で表したい考えはタイトルの通り、中国で食品製造の場所が汚くて、ルールによって加えるはずがないものも入れって、結局、「猛毒商品」となった。
    中国で食品安全は確かに大きな問題があることは否定したくてもできない事実である。しかし、現実の中国は本当に作者が書かれたように「食べられるものはほとんどない」のだろうか。今現実の問題は発展途上国の中国と発達な日本の比較である。中国には発達した地域と発展はまだ不十分な地域があり、作者が訪れた地域はほぼ中国ですごく貧しい山奥で、そちらに住んでいる人たちは教育水準がともかく、衣食が足りるかどうかも問題である。お金をもらうなら、何でもできる人間である。しかし日本は、平均給料は高くて、ご飯を食べられない人もほとんどいない。私から見ると、土地が広い中国で、外国人である作者は一人の立場から見る中国食品問題は確かに不十分だったが、発展途上国中国現状への分析はすごく役立つと思う。

  • 中国で加工食品がどのように作られているか、いくつかの事例を取材して書かれている。読むと中国製の加工食品は一切食べたくなくなる。取材対象の態度など見ても、モラルとかそういう次元の話ではないと感じた。

  • 恐ろしいの一言。
    日本での賞味期限偽装などかわいいものです。
    (でもこの国が関わっての生産地偽装はどうだろう・・・)

    これを読んだらとてもあの国の食品には手を出せない。
    「人が食べるもの」に対しての常識が違うとしか思えませんでした。

    これが全てではない、と思いたいですが・・・。

  • ドキュメンタリーレポートとして読み物としても面白かった。
    内容は想像以上。日本のメディアが報道しているものなぞ、氷山の上のホコリ程度しかないレベルだなと。

  • 読んだのはちょうど色々と問題が起こった後。これは怖い!
    これが本当なら、中国内部の闇とひずみは危険というレベルをとっくに超えています。とりあえずもう春雨は食べられない…。

  • 気分の悪くなるような偽物商品の紹介。
    でも、日本に居ながらにして中国の本当の姿が見えてくる。
    最後に、中国の何が悪いのかがよくわかるように説明されている。
    報道だけでは見えない部分かも。

  • この手の本は、こんな感じなんでしょうね。類書が多いので、何処かで読んだような話が多かったです。でも、それなりに現地で取材をしているんだということは伝わってきます。

  • 2008/8
    毒入り餃子やダンボール製肉まんで一躍中国の食の安全に対して不信感が強まっているが、著者が中国内で潜入調査して、もっと深刻な食の安全の崩壊を明らかにしている。海外に輸出しているものはまだましなほうで、国内で流通しているもの、また毒によって集落自体がおかしくなってしまっていた記述に関しては背筋に寒いものすら感じる。

  • 2008/08/10

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