- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106102844
作品紹介・あらすじ
いつ書き始められ、いつ書き終わったのかもわからない。作者の本名も生没年もわからない。それなのに、なぜ源氏物語は千年もの長きにわたって、読者を惹きつけてきたのか?本文を確定した藤原定家、モデルを突き止めた四辻善成、戦乱の時代に平和を願った宗祇、大衆化に成功した北村季吟、「もののあはれ」を発見した本居宣長…。源氏物語に取り憑かれて、その謎解きに挑んだ九人の男たちの「ものがたり」。
感想・レビュー・書評
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あとがきより。
「源氏物語と紫式部の真実に迫ろうとする作業は、鎌倉時代初期の藤原定家から始まった。
時あたかも、源平動乱の最中(さなか)であった。
四辻義成は南北朝の混乱期。
一条兼良・宗祇・三条西実隆・細川幽斎は戦国乱世の時代にあって平和を渇望し、
源氏学の火を守り続けた。
江戸時代に待望の平和が到来して、北村季吟と本居宣長という二人の巨人が登場した。
源氏学から日本史を眺め直してみると、「戦争と平和」が合わさって一つのサイクルを形成していることがわかる。
戦争が起きている時代に、細いけれど絶えることなく燃やされ続けた源氏学の松明が、平和な時代に大きく燃えさかったのだった。」
源氏物語に取り憑かれて、その謎解きに挑んだ9人の男たちの「ものがたり」。
すっごく面白かった。
難しい言葉もあるけど、カナがたくさんふってあって、読みやすいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
源氏物語の研究の歴史を追った本です。
歴代の主な研究者とその研究内容を紹介しているのですが、一番印象に残ったのは、研究者としては最初に出てくる藤原定家。
紫式部の時代から200年後に活躍した彼が「源氏物語の本文を確定した」というのは衝撃の事実でしたし、彼が「源氏物語を古典にした」という点も、かなりインパクトがありました。
源氏物語の内容そのものの理解を目的とした本ではないですが、源氏物語が成立した経緯や、その後の研究の経緯を理解するには、すぐれた本だと思います。
Oさんが紹介してくれた(しかも貸してくれた)理由が、よくわかりました。 -
75
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藤原定家・四辻善成・一条兼良・宗祇・三条西実隆・細川幽斎・北村季吟・本居宣長・アーサー=ウェイリー
源氏物語そのものではなくて、源氏物語を愛した9人の人間のものがたりです。
・・・というと、なにやら堅苦しい本かと思われますが、決して難しい本ではありません。
それぞれの研究者たちの偉業をさらっと各章にまとめられていて、その文章も柔らかく、とても読みやすいです。
時代を追って書かれているので、千年後の今に伝わる「源氏物語」という物語がどのような遍歴を送ってきたのかが見渡せます。
きっと、この本の軸となっている源氏物語を読んでみたくなるのではないでしょうか。
この本は、目次が素敵です。
なにやら気になって早く読みたいと気持ちが急くのです。
それぞれの章については、とても簡潔でわかりやすいものでした。
ただ、たとえ話が多くひとりよがりな印象を受けたので★★★☆☆。
そして、どうしても物足りなかった!
しかし、源氏物語導入としては充分な内容になっています。 -
細川幽斎が源氏物語解釈に遺した功績を読むことができる。
逸話も紹介されていて面白い。 -
この著者の前著『教科書の文学を読みなおす』がなかなか面白かったので購入。
源氏物語の受容史において重要な役割を果たした校訂者・解釈者をたどることで源氏物語の面白さを物語るという凝った本で、著者の源氏物語への愛情が至る所に見え隠れして微笑ましい。
それにしても、新潮新書の全体的つまらなさは相変わらずなのに、日本文学を扱うとそれなりに面白いので評価に困る(汗