人間の覚悟 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.38
  • (32)
  • (66)
  • (103)
  • (26)
  • (7)
本棚登録 : 660
レビュー : 81
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102875

作品紹介・あらすじ

そろそろ覚悟をきめなければならない。「覚悟」とはあきらめることであり、「明らかに究める」こと。希望でも、絶望でもなく、事実を真正面から受けとめることである。これから数十年は続くであろう下山の時代のなかで、国家にも、人の絆にも頼ることなく、人はどのように自分の人生と向き合えばいいのか。たとえこの先が地獄であっても、だれもが生き生きした人生を歩めるように、人間存在の根底から語られる全七章。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 生き方についての哲学書。
    古典的なニュアンスを持つが、現代の若者から共感されそうな生き方を説いていると思う。
    現代の若者とはいっても、自己啓発していつか成功してやる、という野心的な方ではなく、時代の流れに任せて、自分の裁量を自覚して今を生きる方。
    1日1日を大切に、1歩1歩自分の頭で考えて生きる、そういう考え方を学べた本です。

  • 読み終えたのは震災前だったが、こうして震災後にこの本を考えると「国家をあきらめる覚悟」というのに胸を打たれる。人の絆も昨年は光ったかもしれないが今年はどうだろうか?震災特需はあったが日本の産業全体は明らかな赤字を抱えた。今後の成長は望めるのか?それらに対してあきらめる覚悟があるかどうかではなにかが違うとこの本は気づかさせてくれる。

  • 人間は情動で動くもの、知識や言葉としてではなく、人間に内包され蓄積されたルサンチマンなるものを非常に重く見ています。

    とりあえず生きているということで、人間は生まれた目的の大半は果たしている。存在する、生存して行くこと自体に意味がある。

    生きることの大変さと儚さを胸に、この一日一日を感謝して生きていくしかない。そう覚悟しているのです。

  •  「覚悟」ということについて、仏教的視点から解説した本。「覚悟」とは「あきらめる」ことだが、ここで言う「あきらめる」とは今使われるような「途中でやめる」というネガティヴな意味合いではなく、「明らかに究める」という意味。

     著者曰く、現代は「鬱」、「下山」といった言葉で括られる時代。何だか寂寥たる感じがするが、これは「あきらめる」しかない。こういう苦しい時代では「おれが、おれが」と我を張って独善的になるよりも、「他力」を頼って行きていく方が安楽なのだと思った

     本書で言うとおり、憲法で保障されているような権利も、安心も安全も実は儚いものなのかもしれません。聖徳太子の言うとおり「世間虚仮、唯仏是真」なのだということを考えさせられる。でも、そういう視点に立って初めて見えてくるものもあるのだと思う。

  • 「大河の一滴」を読んだことがあるので、特段新しいことが書いてあるという印象はなく、それをベースに新たに付け加えられたという印象。
    この時期だからこそ冒頭の「国家に頼らない」という覚悟を決めること、身をもって感じるところである。
    第2章の鬱については、鬱状態を経験し、克服したことのある著者ならではのうわべだけではない内容。どの人の中にも鬱となりうる「ふさぎの虫」を飼っている、しかしそれを抱えて生きていくもの、という考えは鬱を恐れる人にとってそれを和らげるものとなりそう。
    第3章は第6章とつなげ、老いに向かう状態と老いた状態についてまとめて述べてほしい内容。特に第6章では、老いることもその上で認知症の症状を発症することも怖れるものではないと思わせてくれる。自分が老いる前に上の世代の人が老いてくることを見届けるのに私も覚悟が少しは備わった気がする。
    第4章については、西洋文化は根本的にキリスト教に基づいているので、そうではない人にとっては完全に理解できない部分があるとはずっと感じていたことなので、書かれている内容には納得。以前はそれを自分の勉学の不足からだと思ったこともあったが、それはそれで仕方がないもので、それが自分たちの文化との違いなのだと思ってよいのだと改めて思わされる。
    最終章は特に重い。しかしこれだけでも読む価値のある濃い内容。私も今まで生きてきて直接であれ間接であれ悪に無関係であったわけではない。それを覚悟の上、人には期待をしすぎず生きなければならない。長く付き合いたいと思った人と縁が切れてしまい、悔やむ思いをすることもあるが、人の縁も水のように流れ移ろぐもの。それをしっかりと受け止めて生きていきたい。

  • 五木寛之さんの三冊目。日本人・経済に警鐘を鳴らし続けてきている。「鬱の時代」まさしく今はそれに、あてはまると思う。「覚悟」とはあきらめることであり、「明らかに究める」こと。希望でも、絶望でもなく、事実を真正面から受け止める事である。「覚悟」を決める大切さ、「老いる」ことの自覚。人間は「死」と言う病のキャリアで、いつ発症するかわからない、そんな考え方ができるんだと再認識し、納得できました。ボランティアは「石もて追われる」までやれ。
    「子供を叱るな、昨日の自分。年寄りを笑うな、明日の自分」重過ぎる言葉で、肝に銘じます。

  • 『世間は「あきらめない」ことを賞賛しますが、「あきらめる」は決して弱々しい受け身の姿勢ではなく、正しい覚悟をきめる上では不可欠なのだと思います。』

    あきらめる覚悟かぁ

    なんか重石をとってくれる本でした。

    #人間の覚悟

  • 人生の岐路に立っている自分にとって、この本の如くどかにいても這いつくばって地獄に縋るように生きると覚悟すれば、なんとでもなるのかもしれないと思った。今も昔もあまりこの世は変わらない。

  • 「あきらめる」→「明かに究める」
    に全て集約されているような気がする。

    今の日本人にとって大事なのはいかに「あきらめる」かが問題なんだろう。

  • 人生を登山と下山になぞらえて語る五木寛之さんです。頂上目指して希望に燃えて歩を進める登山、歩いて来た道の景色を眺めながら達成した満足感と心のゆとりを持ってゆっくり歩を進める下山。戦後50年、特に平成の世になってからは日本の社会全体が下山の空気に。自殺者年3万人超、生活保護世帯100万超、病気の氾濫と鬱の医学・・・。そんな時代を生きるには「覚悟」が必要と。健康、安全、安心はあり得ない。死を見つめながら一日一日を充実させていくよりほかはないと。著者は悲観的に考えているわけではなく、覚悟の必要を説いてます!

全81件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2018年 『人生百年時代の「こころ」と「体」の整え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

人間の覚悟 (新潮新書)のその他の作品

人間の覚悟(新潮新書) Kindle版 人間の覚悟(新潮新書) 五木寛之

五木寛之の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
デール カーネギ...
湊 かなえ
J・モーティマー...
有効な右矢印 無効な右矢印

人間の覚悟 (新潮新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする