カラオケ秘史: 創意工夫の世界革命 (新潮新書 292)

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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102929

感想・レビュー・書評

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  • レジャー白書によると2005年に「一度でもカラオケに参加した事がある人」と回答した人は4540万人。
    余暇活動の中では1)外食、2)国内旅行、3)ドライブに続く第4位に位置する。


    対して音楽鑑賞は同チャートで9位、参加人口は4040万人しかいないという。

    評者のように音楽を聴いてもカラオケをしない人もいるが、単純に考えて500万人が音楽は聴かないがカラオケで歌うのである(最も売れた宇多田のアルバム800万枚に迫る数字だ)。

    そして音楽会、コンサート参加人口は2460万人。
    市場規模は聴く事:歌うこと=1:2=3333億円:7431億円。


    何故これほどまでに日本人は歌うことが好きなのか?

    本書はカラオケを誰が考案し商業化したかに焦点を絞っているので、その点には軽く主観的な感想が述べられているに過ぎない。

    魏志倭人伝まで遡るとすれば日本人が好んできたのは宴であって、音楽ではないのではないかという思いも浮かんでくる。

    事実、カラオケの成立に関わった人は"ミュージシャン"ではなく、酒場を視点として酒場の為に動いている人たちだった。

    宴と芸能の相関について論考した本があれば是非読んでみたい。

    カラオケのMIDIデータに関して日本の品質が一番細かく世界的な評価を得ているというのはかつての技術立国を思い起こさせるいいエピソードだった。

  • カラオケの発明は、世界に誇る日本の発明かもしれないが、その発明者は何人もいると言われている。

    そんな疑問を多くの人にインタビューの形で正史を造ろうとした試みの本。秘史とはあるが、どこかで聞いた話が多いが、インタビューを通じてカラオケに携わった人の苦労がわかるような本である。

    結局のところ、「流し」と呼ばれる人たちが全盛時代の頃、機械で演奏するハード部分と曲のソフト部分を誰が発明したのか、コンテナでカラオケを始めたのは誰か、通信カラオケという形はどのようにして始まったのか、今も曲を作る人たちの現状という4章をベースにコラムで関係の深い人や話を紹介している形である。

    カラオケといえども侮りがたし。

  • 逗子図書館で読む。この図書館の新書コーナーは充実しています。蔵書数では、この図書館よりも充実している図書館もあるでしょう。しかし、一箇所にまとまっているので、便利です。正直、期待していませんでした。予想外の面白さです。いつものことですが、著者の文章は読みやすいです。興味を持った点を整理すると、以下のようになります。第1に、カラオケの発明者はいない。発明者らしき人は複数存在する。その定義により、誰が発明したのかが異なる。そして、ビジネスの成功は技術だけではない。ここら辺が面白い。第2に、通信カラオケの開発プロセスが面白かった。通信ゲームソフト販売システムの応用なんですね。かなり無茶苦茶なことをやっても許されるんですね。名古屋企業の底力を感じました。最後に、カラオケボックスも偶然なんですね。再読の価値はありませんが、本当に面白い本でした。

著者プロフィール

1963年1月京都市生まれ。
1986年、京都大学経済学部を卒業し朝日新聞社に入社。名古屋本社社会部などを経て1991年からニュース週刊誌「アエラ」編集部員。
1992~94年に米国コロンビア大学国際公共政策大学院に自費留学し、軍事・安全保障論で修士号を取得。
1998~99年にアエラ記者としてニューヨークに駐在。
2003年に早期退職。
以後フリーランスの報道記者・写真家として活動している。
主な著書に『ヒロシマからフクシマヘ 原発をめぐる不思議な旅』(ビジネス社 2013)、『フェイクニュースの見分け方』(新潮社 2017)、『福島第1原発事故10年の現実』(悠人書院 2022年)、『ウクライナ戦争 フェイクニュースを突破する』(ビジネス社 2023)などがある。

「2023年 『ALPS水・海洋排水の12のウソ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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