中華美味紀行 (新潮新書 301)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103018

作品紹介・あらすじ

あるときは「小林秀雄の蟹まんじゅう」を求めて揚州の小路に入り込み、あるときは杭州の高級料理店で満漢全席の至福に身をゆだね、またあるときは変わりゆく北京下町のもつ煮屋で浅草を思う-。中華文化圏がその懐深くに抱く、千変万化の食文化。その魅力にとりつかれた作家が、縦横無尽の食べ歩きを通じて出会った「ホンモノ」の数々を綴る十五章。

感想・レビュー・書評

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  • 2017/11/16 18:55:04

  •  グロバール化とともに、異文化間のコミュニケーションがますます豊かになっていく。その中で、食文化の交流はいうまでもない。中国は日本の近隣の国として、日本との食文化の交流が他国より頻繁である。中華料理がどこまでも見えるほど流行っているといってもいいすぎではない。本書はその魅力にとりつかれた著者が、中国に縦横無尽の食べ歩きを通じて出会った15種「小吃」を伝えようとしている。

     さて、「小吃」は何のものであろう。「「小吃」という言葉の意味するところは、日本語で「軽食」、「おやつ」というのに一番近いだろう。重たい本格的な料理ではなく、ちょっと小腹を満たすため食べるものが小吃だ。」この本の著者はそういうふうに述べる。確かに、少しずつ食べられるという利点がある「小吃」は比較的単純な料理であり、味の変化が少ない。

     しかし、たとえ味の安定性のある小吃としても、異文化伝播の中で、地域によって味や食べ方が多少に変わる可能性もある。中国で小吃と言ったら抜きにして語れない「臭豆腐」は、各地の味がちょっと違う。今まで、塩辛い、甘い、辛いのを食べたことがある。そもそも「臭豆腐」は湖南料理に属し、辛いものである。「そういえば昔、日本でも一時湖南料理が流行ったことがあるが、どちらかという甘口のものが多かった。辛かったという印象はまったくない。」辛いはずのものが甘くなる―異文化伝播の際には、そういう逆説的な現象もしばしば起こっているかもしれない。

     両国間食文化の交流がだんだん増えているのを伴い、味はもちろん、食べ方や料理そのものが理解できない料理もたくさんある。たとえば、生卵をそのままご飯の上にのせて、醤油をかけて食べるのは多くの中国人から見れば不思議なものである。また、近年、中国で普及してきた納豆は大勢の人に嫌われる。

     文化は人が創造した産物であるから、異文化のコミュニケーションの過程でどういうふうに選択するのが人々の自由である。自分の固有意識と違うところは納得を無理しないで、せめて尊敬したほうがいいではないか。

  • (小吃)-日本語では(軽食)(おやつ)に近い。ちょっと食べたい人にちょっと供するもの。中華の本格的な大皿料理以外のもの。点心はその意では
    同じだが、チョット手間ヒマをかけたものが点心。(飲茶)はお茶を飲む行為そのもの。そのものは、(茶点)と言う。
     この人の、中華料理についての博学振りは尊敬するところだが、この本はその実践編。(食いしん坊)のまさに食べ歩き紀行。それも(小吃)が中心。面白いかった。

  • うまそうである。しかし、そのために中国本土や台湾まで行きたいとは、ちょっと思えない。

  • よし、これを読んでさっそく食べにいこう。
    と思うのだが、なんせ中国は広い。
    ほとんど、華北、華東地域が多かった気がするため、
    明日からためそうという訳にはいかない。

    羊肉スープのパンつけるやつ。
    あれなら、家でて左にありそうだが。

  • 小吃を食べ歩く。
    食堂文化というものが日本とは違う進化をしたのだと感じさせられる。
    蟹まんじゅううまそうだ。

  • 食べ歩き自体は楽しそうなのに、一つ一つの食べ物の記述が薄いためか、今一つ食べたい気が起きないのが難点。ただ、自分もこんな風に中国へ食べ歩きに出たくなる気持ちだけは起こってきますが、それはあたしが中国好きだからかも。そもそも中国のこういう屋台料理とか庶民の味ってのは、一般的な日本人から見ると、かなりグロテスクなところがあるので、どんな料理かを事細かに書いてしまうと、却って読者に引かれたかもしれないですね。

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。作家、翻訳家。著書に『酒仙』(新潮社)、『怪奇三昧』(小学館)、『ゴーストリイ・フォークロア』(KADOKAWA)、訳書に『英国怪談珠玉集』(国書刊行会)、アーサー・マッケン『輝く金字塔』(国書刊行会)、M・R・ジェイムズ『消えた心臓/マグヌス伯爵』(光文社古典新訳文庫)、M・P・シール『紫の雲』(アトリエサード)、H・P・ラヴクラフト『インスマスの影』(新潮文庫)などがある。

「2022年 『手招く美女 怪奇小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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