ギャルとギャル男の文化人類学 (新潮新書)

  • 新潮社 (2009年10月16日発売)
3.08
  • (1)
  • (11)
  • (16)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 190
感想 : 28
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784106103346

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

現代のギャル文化を深く掘り下げた本書は、元「サー人」による自伝的エスノグラフィーを通じて、ギャル男たちの独自の価値観や美学を描き出しています。著者は、彼らの文化が一見成功物語のように見える一方で、社会...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 元・サー人(イベント・サークルのメンバー)=ギャル男による自伝的記憶と取材に基づくエスノグラフィーである。「ギャルとギャル男の…」というタイトルではるが、このような事情により「ギャル男」カルチャーについての記述と分析がメインとなっている。
    本書を読んでいるとどうしてもポール・ウィリス『ハマータウンの野郎ども』を思い出し、比較せずにいられない。どちらも学校カルチャーにおける尺度とは異なる尺度をつくりだしそれに準拠することで一見、彼ら自身の文化でのサクセス・ストーリーを歩んでいるように見えるけれども、その実、マクロな社会全体で見れば、社会の下層階級に向かって身体化されていくというその矛盾。その矛盾がさらに残酷なかたちで、日本社会のなかで現出している…そんな印象を持った。
    おそらくそれは、本書の多くが自伝的エスノグラフィーとして記述されていることと無関係ではないかもしれない。元「サー人」である著者は一見、「サー人」たちのカルチャー独自の美学や価値観を、ひとつの「価値あるもの」として記述しようとしながらもそれに失敗(本書では「中立的」と記述されているが、私はあえて「失敗」だと言いたい)しているように思える。最終章で筆者は、親をはじめとする「大人」たちによる救済を訴えているが、自分たちがはじめに自ら背を向けた「大人」たちに、さらなる救済の手を求めなければならない文化とはいったい何なのか。
    そのような意味で、社会の「悪」の部分に抵触する文化を記述することについて考えさせられる本だった。

  • いやー、すごいっすね、イベサー。
    そんなものになんの接点もなかった僕だけど、
    大学時代にもっと学べることは本当にたくさんあったように
    思えた。なんだろう。
    ほんとうにいろんなものが、
    いろいろ面白いと思えてくるのなぁ。
    渦中にいるとそんなことには気づきもしないんだなぁ。

  • 2000年から2009年くらいまでの話

  • これはなかなかおもしろかった…

    ギャルなんて、バカ、とか、勘違い、とかで一括りにしてたけど、
    とてもわかりやすく解説されていた。

    彼らは彼らなりに、憧れや将来像を持っていた…

    23 BLEA

    188 成功をつかむためには、読み書き算数ができるだけの…良い子ちゃんではダメだ…多少悪いことも出来るほうが出世してる

    209 サー人の理想像
    意外にまともな人が多く挙がってて驚き

    223 参考文献の多さに驚き

  • ホンマに関わりない世界。色々考えてるんやなって思ったけど、意外と就職先しっかりしてることに驚き。

  • カタログ中に見た著者の写真に驚いて、読んでみた本。ギャルとギャル男ってそんな組織化してたんだ!と、読んでさらに驚いた。

  • 課題図書

  • The new classicというブログの「修士論文が元になった瞠目すべき学術書6選」(http://newclassic.jp/archives/157)で見かけ、手にとる。/かつてサークルの代表を務め、その後大学院に進学した著者が、再度イベサー時代の外見を身にまとい、フィールドワークしたもの。/著者がサークルに入ったきっかけは、ここならノリの合う友だちもできるし、武勇伝もできる、と思い酔った勢い。/早く遊んで、早く落ち着く価値観。警察に代表される公的機関に相談することは美意識に反する、アウトローとしての誇り。本音と建前を使い分け、キャラを作ってそれを演じ、実態まではふみこませない、お互い踏み込まないことが暗黙の了解。意外と保守的というか、社会の縮図みたいなところがある。そこにアウトロー風の味付けがされているだけで。中に入れば、厳しい上下関係、対外交渉、内部の結束を固めるための「ナゴミ」、内務的な仕事、少ない時間、かかる費用、上に立つプレッシャーなど、傍から見られるほど遊んでいるわけでもなく、正直割に合わないのではないか、とも思えるけど、若いうちにヤンチャしなかった/できなかった身には見えないものがあるのだろうか、と。

  • 最近バキバキのギャル男をあまり見ない。ギャル男やるのも金がかかるという実態を知り、不景気が理由なのかなと思った。

  • 黒い肌と白っぽい髪とメイク、露出の激しいファッションで夜通し遊ぶ若者たち。そういうギャルとギャル男、中でもイベント・サークルで活動する人々=サー人を、元サー人の慶応大院生が参与観察した修士論文だそうです。

    イベサーの歴史や実態を説明する1章・2章はそこそこですが、その行動原理や価値観を考察する3章・4章は興味深い。彼らの価値観の問題に憤慨している5章は、まあわからんでもないが…うん。

    サー人の価値観・評価基準をサー人へのインタビューをもとに「ツヨメ」「チャラい」「オラオラ」と分析したのは本書の一番すぐれているところだと思う。それぞれ、社会的・性的・道徳的逸脱を示しているのだという。
    それに合わせて彼らの行動やファッションが説明され、彼らの将来設計に対する影響も指摘され、そのあたりはおもしろかった。

    「昔はチャラかったけど、今は落ち着いてる」、「イケイケだけど礼儀正しい」といった人が評価されるというギャップ戦略やその内容はどこのヤンキーや不良文化にも見られるけど、ここで主な対象としている東京の、それも比較的社会的階層の高い若者たちにとっては、話の規模や一般社会からの評価の気にしどころが大いに違う。
    そこが面白いところなんだろうけど、ゆがんだ特権意識のようなものも見て取れる(特権意識に筆者は気づいているのだろうか)。

    サークルの代表まで勤めて、イケイケながらも「落ち着いた」著者近影でサー人本まで出す筆者は、多分、彼らのなかではかなりイケてる人なんだろう。5章が微妙なのは、そういうほほえましい自分アゲがほの見えるからでもある。

  • 筆者がイベサーの元代表で、渋谷サークル界のトップを指揮したというだけあり、様々なギャル・ギャル男たちの声を取り入れることに成功している。

    あたかも学力を競う為により良い大学に入るように、よりいけているようになる為に、イベサーに入るようである。そこは大学と同様に指向性の同じ人間の集団であり、そこで学習できることはある意味ではまっとうに生きる為に逸脱行動を奨励するという、倒錯的な思想がある。
    それでいながら、集団の中で上手くやっていくという技術を獲得していくのだ。

    願わくば、イベサーに入る殆どの人間の親は社会的に高い地位についている、という曖昧な表現ではなく、統計的データを収録して欲しい。数値データが多ければ、より正確な内情を考察する手掛かりになるはずである。

  • イベサーの元代表によるイベサーの紹介。
    知らない世界ばかりだが、視線がフェアなので、イベサー寄りでない分一般的な人の感覚尾わかっているみたい。

  • ギャル・ギャル男というサブカルチャーを文化人類学に昇華?させた一冊。

    何だか、温かい思いと切ない思いが。

    サー人のご発展をお祈り申し上げます。

  • イベサーって大変なんだ。
    醤油とか海水とか飲むのしんじゃうんじゃ...?
    渋谷ギャルの世界も、役割とかシゴトとか交流、会議(?)...

    色々と忙しいようだ。

  • <目次>
    はじめに
    「センター街」デビュー
    都会の不良ってわからない
    一枚の写真がきっかけだった
    都会へのコンプレックス
    フルタンゼミ長・月三十万円
    ビニール袋は耳から提げる
    武勇伝を持ちたくて
    ストリートが社会勉強の場

    第一章 インカレ発チーマー経由イベサー行――イベサーの起源
    イベサーが特別なわけではない
    「傾奇者」から「チーマー」まで
    「インカレ」の歴史
    インカレとディスコ・ブーム
    チーマーの台頭
    ディスコとクラブ
    チームからイベサーへ
    高校生のサークル化
    ギャルかギャルでないか、それが問題だ!
    イベサーのピーク
    ブームの収束
    「スーパーフリー事件」の影響
    「スーフリ」はイベサーじゃない!
    イベサーの変化と「ギャルサー」の誕生
    現在の「イベサー」

    第二章 ギャルは結構忙しい――イベサーの組織と活動
    【I イベサーの組織】
    私たち「サー人」と申します。
    東京と地方のイベサー
    やっぱり学歴は大事
    幹部とパー券要員
    ビジネスと友人の中間
    サークルの切れ目が縁の切れ目
    「ケツモチ」とは何か
    イベサーのキャッシュ・フロー
    警察よりケツモチ
    イベサーに近づく「怪しい大人たち」
    現役メンバーを「労働力」とするOBやOG
    「イタイOB」を演じて調査

    【II イベサーの活動】
    イベサーの年間スケジュール
    単独イベと合同イベ
    最大のイベント、引退式
    イベント運営のためのシゴトと役割
    イベントと納金
    合同イベのシゴト
    ギャルとギャル男を欺く、大人たち
    サー人の地方遠征

    【III 加入と勧誘、そしてナゴミ】
    サークル加入は見た目が九割
    みんな、気づいたらサー人になっていた
    「ナゴミ」と「ミーツ」
    ナゴミはイベサーの生命線
    ナゴミの効果
    ナゴミはつらいよ
    ヤンキーよりも緩いルール
    「ダルイ」「ウザイ」を乗り越えて

    【IV サー人の礼儀と外交】
    サークル界も礼儀作法からはじまる
    サー人の外交
    義理と人情のサークル界
    センター街の縄張り

    第三章 ツヨメでチャラくてオラオラで――サー人の価値観
    【I 逸脱とギャップ】
    ツヨメ
    ヤケとオワッツ
    チャライ
    オラオラ
    パなくオラオラな人とは?
    「昔は俺たちヤバかったんだ」
    なぜサー人は、さっさと落ち着いていくのか
    ギャップ戦略

    【II サー人のファッション】
    目立ってなんぼの世界
    ファッション雑誌なんかいらない!
    ギャルとは生き方の問題である

    【III サー人の恋愛とセックス】
    「テツは熱いうちにウテ」
    「七・五ポイントゲットだぜ!」
    イベサーも草食化?
    幹部クラスの恋愛・セックス観
    女性サー人のタイプ
    「裏チャラ」という上級テクニック
    付き合うならサー人以外

    【IV 危ないクスリとサー人】
    クスリとイベサー
    イベサーがきっかけ?
    「人生を棒に振りたくない」
    マリファナならOKか?
    キャラを作って本音を隠す

    【V パラパラ】
    ジュリアナの遺伝子
    絶滅寸前のパラパラ

    第四章 ギャルだって成り上がりたい!――サー人とキャリア
    イベサーの「シゴト」は将来に役立つのか
    社会人デビューはマジでみっともない
    「オラオラ」は将来のリスクヘッジか?
    サー人のアルバイト事情
    キャバ嬢ダントツ、ホストは不人気
    サー人の夢/サー人たちの進路
    イベサーから「成り上がった」面々
    サー人の明と暗
    成り上がりたい!

    第五章 ストリートが学びの場――サー人たちの視線と課題
    もうひとつの学校
    サー人の理想像
    ただ「逃避」しているわけではない
    彼らの社会観に問題はないか
    「それも個性だから」と突き放す
    煽られる若者たち
    無知がリスクを生んでいる

    おわりに
    主要参考文献

  • 全然知らない世界だったけど、納得感のある説明だった。

  • その時、その時代、流行廃りはあるが、大概日本の文化、特に若者文化は、形は変われど、大きく変わりなく、同じように過ごして行くもんなんだなあ、と読んでつくづく思った。自分も、もう、気がつけば、十数年も前の話しとなってしまうが、こんなことをやっていた。。から良くわかる。ただ、やはり、刑事事件に発展してしまうようなこと、人生崩壊してしまう、というところまで、格好つけても後で後悔することになる。まあ、頭の中ではわかっているが、若いときは、ある意味、怖いもの知らずなところがあるからね。ただ、若い時にやれること、遊ぶだけ遊んだ方が良い、というのは、そうだと思う。しかし、その分、引きずらず、ある段階から、しっかり切り替えて、社会人として活躍していかねばならない。人生は、社会人からが本当の勝負だからね。

  • [ 内容 ]
    真っ黒な肌、奇抜なメイクにド派手なファッション。
    ストリートにたむろし、クラブでパーティー―。
    日本を席巻し始めたギャル文化の象徴「イベサー」を、かつて集団のトップを務めた男がフィールドワーク。
    数百人のギャルの肉声から、現代の「未開の部族」の内面に迫る。
    「やっぱり礼儀と学歴は大事」「いかに早く遊んで落ち着くか」など、その奔放なセックス観から意外に保守的な未来像まで、彼らの素顔を大解剖。

    [ 目次 ]
    第1章 インカレ発チーマー経由イベサー行―イベサーの起源(イベサーが特別なわけではない;「傾奇者」から「チーマー」まで ほか)
    第2章 ギャルは結構忙しい―イベサーの組織と活動(イベサーの組織;イベサーの活動 ほか)
    第3章 ツヨメでチャラくてオラオラで―サー人の価値観(逸脱とギャップ;サー人のファッション ほか)
    第4章 ギャルだって成り上がりたい!―サー人とキャリア(イベサーの「シゴト」は将来に役立つのか;社会人デビューはマジでみっともない ほか)
    第5章 ストリートが学びの場―サー人たちの視線と課題(もうひとつの学校;サー人の理想像 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 都心(渋谷)で名を馳せたイベサー代表が紹介するギャル男/ギャルたちのサークル事情本。彼らの思想や活動内容、組織の様子が示されている。どんな様子なのかざっくりと知れる本としてよかった。文章はかっこよい言葉使いしようとして(偏見?)いるように感じられ、上手くはない。

  • 文化人類学というよりは、深いフィールドワークを通したルポ。ギャルやギャル男の生態についてよくわかります。サー人の評価基準である「ツヨメ」「チャラ」「オラオラ」は、なにも「サー人」のみに限った話ではなく、意識的・無意識的の差はあれども現代若者の多くに共通する部分があると思った。少なくとも、自分の所属するサークルは関西圏だしイベサーではないが、所属しているメンバーや共有されている価値観の中に「サー人」と共通する箇所はいくつかあるし、自分自身の中にも「ギャル」の価値観の一部が存在すると自覚した。情報社会が進んでリアルなコミュニケーションが減少傾向にある現代で、自分の存在をアピールして、存在価値・存在理由が欲しいと思う若者は多いと思う。精神医学や心理学の方面からこうした「サー人」を深く分析すればもっと面白いと思う。

全25件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

荒井悠介
著作『ギャルとギャル男の文化人類学』新潮社など

「2017年 『『社会学理論のプラクティス』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

荒井悠介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×