日本辺境論 (新潮新書)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 4892
レビュー : 611
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103360

感想・レビュー・書評

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  • 自分および周囲の人間に対して、どこか「矛盾」というか疑問のようなものを感じていた。

    それをこの本が指し示してくれたようにおもう。

    日本辺境人は
    「自分が何を欲望しているのかを、他者の欲望を模倣することでしか知ることができない」
    と、タツルは堂々と言ってのけた。

    自分たちは世界の中心ではなく端にいる。
    自分の中にもともとあるものを「資産」と思わず、「資産」は「外から来たもの」に限定される、という潜在的な思考。

    そしてそれは日本固有の考えであると。

    この構造を、わたしたち日本人たちはうっすらと感じとってはいたが、様々な哲学、宗教、地理上の問題、歴史等を全てふまえて語ることは「超複雑」なので不可能だと勝手に思っていた。
    しかしタツルは、丸山眞男から岸田秀、ハイデガーからヘーゲルといった先人たちのエッセンスを引用して解説してくれた。とても分かりやすく。

    ここには何も「新しいこと」は書かれていないのかもしれない。
    しかし、「先人たちのエッセンスを抽出する」という偉業を成し遂げた内田樹氏をすばらしいと思うし、これからも応援して行きたいと素直に思える一冊だった。

  • ★4.5.

    買う前は東アジア論的な本だと思っていたが、読んでびっくり。

    日本辺境の話ではなく、

    日本=辺境、日本人=辺境人 という話。

    えーと、これって日本は中国の一部ですよ、って言ってるように聞こえるんだけどどうなの?という箇所もあるから反中思想がある人は序盤嫌悪感を持つかもしれません。でも、我慢して読んでみて下さい。著者は全然及び腰な感じだから笑

    断言します。

    「日本人ってどんな人間なのか?」「日本人のナショナル・アイデンティティーとは?」という問いが浮かんだとき、これは絶対必読です!

    自分が生まれた国は、辺境なのだという意識を頭の隅にでも置いておいたら、なんか生き方変わる気がします!自分を知った気がする!

    あと日の丸の意味すら分かってなかった自分に情けなくなったりします笑(あ、これに関しても国民的合意はないなぁ)

    日記にも書いたけど、後半の部分は『バガボンド』ファンにはたまりません!




    最高にしびれた名言を一つだけ。


    ”日本人が国益を損なっても守らなければならないものがあるとすれば、それはひとつしかありません。それは日本です。”

  • きっとこれ以上の日本人論はない。昨今の日本国、日本人をとりまく、やるせなさが腑に落ちる。なんども読み返したい恐るべき新書。

  • 内田本は初めてだったが、納得が行く主張だった。というか、この主張は読後に認める認めないどちらを取ってもそれは辺境人だからという事が出来るという処が一番引っかかったが。

  • ここに答えはない。
    でも日本人がどんな人種であるか
    ということを常に理解して望めば、
    解ける問いがある気がする。
    国民ひとりひとりが解を考え、持つべし。

    日本人は比較をしなければ生きていけない。
    それは世界標準でないということに
    劣等感を感じているから。
    アメリカ人が先人の戦いを、
    いまある世界のために血を流してくれたもの
    と考えるのに対して
    日本人は関ヶ原の戦いなど過去の戦いを
    いまある世界のためにとは考えない。
    アメリカ人には失敗したときに
    戻るべき原点があるが
    日本人には原点は最初からない。

  • 日本人とは
    その場の空気に流さる
    新しい文化に飛びつく
    主張するよりも協調する
    なんとなく落ち着くところに落ち着く

    他国、他者の存在があって
    辺境に位置するのが日本人

    日本人は外からの
    先進的な考え方や事例
    言葉や環境、新たしいことを
    日本的に変えること
    それが日本

    良くも悪くも
    それを受け入れようってこと



    辺境人にとって
    独自に学ぶことは得意で
    効率がいい

    なんだかわからないけれど
    この人についていこうという
    態度で学ぶことは大切

    師弟関係で言えば
    技術を教えてもらう前に
    掃除や雑用をすることは
    価値と意味を持つ

    もしも送り手のメッセージが
    「ゼロ」だとしても
    受け取る側が
    これには意味があると考えれば
    自己学習のメカニズムは働く

    新しいものに飛びつく気持
    なんとなく良いかもしれない
    というような根拠の無い確信
    ただただ師を尊敬する心
    “学び”の理論には大切


    勉強する前に
    それが何に役に立つとか
    わかるわけない
    勉強してからこそ
    はじめてその意味がわかる

    要するに
    しのごの言う前に
    学んでみろ、動いてみろ
    ってことかな

    これは仕事でも一緒
    ヘリクツ言ってないで
    とりあえずやってみる
    動いてみないと
    何もはじまらない
    わからないってことか


    とりあえず、
    何か読んだほうがよさそうな
    本だなぁってことで
    『日本辺境論』読んでみた
    それでいいってことかな

  •  年末年始にかけて。

     なんとなく色んな本を読んでいて、
     (あれ、この展開に既視感覚えるぞ?)と思い、
     たくさん読んでいるにもかかわらず、似たようなことを堂々巡りしている感じがしてしまうこと。

     これってきっと、「日本人とは何か」を姿かたちを替えて幾度となく自分に、日本社会に問い給う人たちの作品を読んでいたんじゃないかと思う。




     知識が上滑りしていく感覚。
     何も深まらないような気がしてしまう感覚。
     そこから抜け出したいと願うが何か抗えないものを感じてしまう感覚。


     私がやはり「日本人」だからなのだろうか。

     辺境魂故の利点を生かしつつ、
     どうしようもない血肉化してる「行為のパターン」から生まれる悪しき点に抗ってみるのならば、

     私はこの本を最後に、「上滑りしていく感覚のない本」を意識して選ぶようにしなくちゃならんだろう。

     それはどんな本かって言ったら、ちょいと昔の本であり、今までお目にかかったことのない分野の本であり、海外の本であったりするのかもしれない。

     「上滑りしていくような本」は、「読んでいて頭がすっきりするような気がする本」であり、「何だか安心する本」なのは当然なのだ。


     「私も同じ気持ちよ!」って気分が味わえるのだから。
     
     そんな本、もういいか。なんてこの本読んで思ったり。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「似たようなことを堂々巡りしている」
      だって、そうでないと足元が覚束無いでしょ?泥濘に立つ時はね(偉そうにスミマセン)。
      「似たようなことを堂々巡りしている」
      だって、そうでないと足元が覚束無いでしょ?泥濘に立つ時はね(偉そうにスミマセン)。
      2012/10/23
    • noireさん
      nyancomaruさん>コメント、ありがとうございます。…偉そうではないです、だから平気です。ですが自分の書いた感想への無責任さに呆れてま...
      nyancomaruさん>コメント、ありがとうございます。…偉そうではないです、だから平気です。ですが自分の書いた感想への無責任さに呆れてます。こんなこと、自分書いてたのか…とw
       コメントの言葉、察しかねるところも多く申し訳ないですが、「本を読む目的」をどう自分自身で捉えているか、によって「堂々巡り」の受け止め方が変わってくるのかもしれません。
       足元の覚束なさ、うーん。確固たるものへの疑いや、揺らぎや、自分を疑うものに出会うために、本を読みたいと考える自分がいます。とんちんかんな返答だったら、ごめんなさい。
      2012/10/23
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「自分を疑うものに出会うために」
      安心したい自分と、驚かされるコトを欲している自分が居て、背伸びしても足が届かない本の海に溺れかかっています...
      「自分を疑うものに出会うために」
      安心したい自分と、驚かされるコトを欲している自分が居て、背伸びしても足が届かない本の海に溺れかかっています。。。
      「とんちんかんな返答だったら」
      いえいえ、トンチンカンなのは私の方ですから。
      2012/10/31
  • ・君が代の起源・日の丸の起源について。
    ・日本という国を語るとき、他国との比較で語ってしまうのはよくない。
    ・人間が過剰に断定的になるのは、たいていの場合、他人の意見を受け売りしているときが多い。・・・なるほど。

  • 内田樹が、世に知られることになった一冊。
    2019年、泥沼のような安部晋三政権を変えようという参議院選挙
    前に、「美しい国」の嘘っぽさ、背後の「日本会議」の危うさを見つめ直すために、
    10年ぶりに再読しようと思う。

  • 「日本辺境論」内田樹著、新潮新書、2009.11.20
    255p ¥777 C0233 (2019.05.19読了)(2019.05.16拝借)(2010.08.10/20刷)

    【目次】
    はじめに
    1 日本人は辺境人である
    「大きな物語」が消えてしまった
    日本人はきょろきょろする
    ほか
    2 辺境人の「学び」は効率がいい
    「アメリカの司馬遼太郎」
    君が代と日の丸の根拠
    ほか
    3 「機」の思想
    どこか遠くにあるはずの叡智
    極楽でも地獄でもよい
    ほか
    4 辺境人は日本語と共に
    「ぼく」がなぜこの本を書けなかったのか
    「もしもし」が伝わること
    ほか
    終わりに


    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本人とは辺境人である―「日本人とは何ものか」という大きな問いに、著者は正面から答える。常にどこかに「世界の中心」を必要とする辺境の民、それが日本人なのだ、と。日露戦争から太平洋戦争までは、辺境人が自らの特性を忘れた特異な時期だった。丸山眞男、澤庵、武士道から水戸黄門、養老孟司、マンガまで、多様なテーマを自在に扱いつつ日本を論じる。読み出したら止らない、日本論の金字塔、ここに誕生。

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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