衆愚の時代 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 365
レビュー : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103537

作品紹介・あらすじ

いつの間にか、この国では偽善的言説が「正論」になってしまった。負担は先送りして「国民のみなさま」にバラマキを約する政治家、セレブ生活を棚に上げて「CO2削減」を訴えるテレビキャスター、「誰もが望んだ仕事につける社会を」と空論を述べる新聞記者…。誰も本当のことを言わないのなら私が言おう、社会人なら心得ておくべき「当然の常識」を。思わず溜飲の下がる、衆愚の時代への鉄槌。

感想・レビュー・書評

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  • 政権交代後、メディアをつうじて「弱者の目線、弱者の立場」という言葉が今まで以上に頻繁に言われている。確かに世の中には子供や障害者、病人、老人、予期せざる出来事で困窮生活を送ることを余儀なくされている方々がおられるし、国としてそうした方々に救いの手を差し伸べる、あるいは再起の機会を設けることがもちろん必要であることに、疑いの余地は無い。「弱者の目線、立場」と言われれば正面きって反対しづらい。しかし、ことさら弱者という言葉を強調してモノを論じ政策を実行するのは問題が多すぎる。それは、衆愚という間違った方向に国を進めているのではないか?というのが著者の基本的な主張。

    「派遣切りは正しい。派遣を求めたのは消費者であり、派遣をなくせば企業は競争力を失い、それは日本経済のさらなる停滞、空洞化を促進し国民に跳ね返ってくる。」
    「世間とのかかわりを拒んで勝手気ままに生きたい無責任なプータローにフリーターという格好いい名前を与え社会的に認知したマスコミは間違っている。」
    「高速道路無料化の公約も、物流の経費削減で経済活性化につながる事業用車両は対象にならず一般車両のみが対象でどうして経済が活性化するのか?」
    「子供手当ても要は「お前らが無事に育つまでに費やした金はくれてやったんじゃない。貸してやったんだ。だから将来ツケはきっちり払えよな」と言っているわけです。」

    著者は、政府の政策やそれに安易に追随するメディア、識者、評論家そして自分の頭で考えずマスコミに判断をゆだねる我々国民の衆愚の流れを指弾する。私にはすべてうなずけることばかりである。

    そして、「次の世代に借金を残すような公約を掲げる政党は、はなから信じるに足りはしない。」と明言する。
    真心もなく無責任な甘言を撒き散らし、歓心を買うために金も無いのにバッグやコートをプレゼントする。そんな男を、まともな女性なら信じはしない。そんな男についていくのは、目先の欲に駆られたあわれな女性だけである。日本人は、そんなさもしくあわれな国民であってはならない。

    与党だけではなく、自民党や他の党も同じ。政治家たちの頭の中は目先の参院選のことだけ。つねに目先の選挙や支持率で頭が一杯であり、長期的基本的な国家ビジョン戦略は無きに等しい。目先の選挙、支持率だけじゃなく、日本の目指すゴールを明確に定め国民に腹を据えて説明し、国民とともにそこに向かって突き進む強い意志を共有する。そんな政府を我々はいつ持てるのだろうか?目先の個人的損得や感情的判断だけで政治を考えない。そんな国民に、我々はいつなれるのだろうか?それにはまず、国民一人一人が衆愚に陥っていないか常にセルフチェックする必要がある。政治家やメディアの言うことを鵜呑みにせず自分の頭で考え判断するしかない。

    昨年「永遠の0(ゼロ)」という史実をベースにした零戦パイロットの小説を読んでから、「客観的冷静に考えたら日本が負けると誰でもわかったはずの太平洋戦争を始めてしまい、数百万の人間が死ななければならなかったのは何故なのか?誰に責任があったのか?」という素朴な疑問から昭和史や戦記を何冊か読んだ。

    私なりに少しわかったのは、個々の状況では特定の個人の考え判断が戦争へと歴史の歯車を回したことはあっても、あの戦争の根本責任は昭和天皇とか東条英機とかの一個人にあったのではなく、軍部を中心とした政治家等国家の中枢部にいた複数の人間(まさに衆)の衆愚、そしてマスコミが国民を衆愚へと導き、戦争への引き金を引いてしまったのではないかということ。開戦に反対だった著名な軍人、政治家も何人かいたが、衆愚の流れに抗することは出来なかった。これが衆愚の恐ろしいところで、日本人は他民族と比べても優秀賢明な民族だと思うが、衆になった時に愚かになる特性は他民族に比べても強いように思う。

    それは企業でもどんな組織でも考えてみればすぐわかることで、個々人は健全賢明な考えを持っていてもいったん何かの流れが出来上がるとおかしいと思ってもまっとうな意見を表明しづらくなり、大勢の流れについつい合わせてしまう。いわゆる場の雰囲気というやつである。そこでまっとうな意見を表明すると、空気が読めないとして存在を排斥される危険性まででてくる。

    政府も国民も、日本はまさに衆愚の時代。
    衆愚は民主主義の宿命とはいえ、我々は、その危うさを自覚する必要がある。

    この政治家、政党は選挙だけではなく本当に国を考えているか?
    このメディアは視聴率や販売部数だけでなく、社会を考えてニュースを流し記事を書いているか?この男はエッチや自分の都合だけでなく、真剣に自分のことを思ってくれているか?(スイマセン!?)
    衆愚の危険性からまず自分を、そして家族と国を守るため、つねに眉に唾つけて目を見開いていることが必要である。



    2010年04月11日 17時15分 [ 閲覧数 26 ]
    2 4 [ 拍手した人 ]
    日記カテゴリ「ニュース・

  • 「マスコミ」を「マスゴミ」だと思っている人が読めば
    特に新しい話ではありません。

    自分が社会に出て歳を重ねたことも影響していると思っていたが、
    いつからだろう。こんなにコメンテーターのコメントが
    不適切になっていったのは。

    弱者とは誰のことか?
    現実逃避して、夢を追い続けて定職につかなかったやつ等が弱者か?
    自由が欲しいと言って派遣社員になってるのが弱者か?

    もちろんひとくくりにはできないが。

    都合のいい情報ばかりが流れるこの社会を確認できる一冊。

  • 1

  • 冒頭から今の日本の政治家、マスコミの批判が炸裂するが、共感する部分はうすかった。著者は作家であることから、文章が読みやすいことはよかった。
    著者の言いたいことで共感できたところは
    ・マスコミの報道する弱者と呼ばれる人たち全員を援助する必要はない(自らなにも行動せず、社会の責任にするものもいる)
    ・勉強する気もないのに大学に行く必要はない(職業訓練を充実させるほうがいい)
    ・先も読めないのにマイホーム購入するのはばかげている
    後半になってくると?という部分もあったが、前半は割りとおもしろかったと思う。

  • 痛快な一冊。必読であろう。テレビなどの安易な論調に流されないために必要。

  • 衆愚という言葉に惹かれて購入。深みがない。親父の愚痴。

  • やたらと読みづらい文章だ俺には

  • 派遣切りは悪くないと言うが、著者は一体誰の代弁者?今の若者は欲望を知らないから車も売れなくなった。だから?就活のネット掲示板は愚痴や面接への不平不満ばかり。だから?サラリーマンは気楽な稼業ではない?それはケースバイケースでは。株は博打?勉強しないで手を出すのはやめた方が良いと思うが。これからますます格差は広がる。手に職を持っている奴は強い。輸入食材に頼りすぎているが、将来、買うに買えない、売ってもらえない時代が来るかも知れない。だから農業漁業には将来性がある。過疎に悩む地方都市に作るプラチナタウン構想。

  • 内部留保 ワークシェアリングの弊害(残業手当が減るなど) 向田邦子「総中流意識を抱くのは学校給食の為」 乳幼児突然死症候群(うつ伏せで寝せるのがよい、と信じられた頃に多発) 泉谷しげる『春のからっ風』 京浜ホテル騒動 AOP(action operation plan) SADA(sales administration distribution advatizment)

  • 見出しに惹かれたけどちょっと違ったな。でも、プラチナタウンは素敵な構想だと思う。

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著者プロフィール

楡 周平(にれ しゅうへい)
1957年生まれの作家。慶應義塾大学大学院修了。綿密な取材と圧倒的なスケールの作品で読者を魅了し続けている。米国企業在職中の1996年に発表した初の国際謀略小説『Cの福音』がベストセラーに。翌年から作家業に専念し、同作は「朝倉恭介」という人気シリーズになった。
主な著書にドラマ化された『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京』(「有川崇」シリーズ)に『プラチナタウン』(「山崎鉄郎」シリーズ)、『再生巨流』、『ドッグファイト』、『和僑』、『レイク・クローバー』など。

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