テレビの大罪 (新潮新書 378)

著者 :
  • 新潮社
3.39
  • (24)
  • (73)
  • (97)
  • (23)
  • (6)
本棚登録 : 659
感想 : 98
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103780

作品紹介・あらすじ

あなたはテレビに殺される。運よく命まで奪われなくとも、見れば見るほど心身の健康と知性が損なわれること間違いなし。「『命を大切に』報道が医療を潰す」「元ヤンキーに教育を語らせる愚」「自殺報道が自殺をつくる」-。精神科医として、教育関係者として、父親としての視点から、テレビが与える甚大な損害について縦横に考察。蔓延する「テレビ的思考」を精神分析してみれば、すべての元凶が見えてきた。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 精神科医として、教育者として、一人の大人として、徹底的にテレビを叩いている。

    内容はテレビよりはよっぽどまともで、一部乱暴なところなどもあるが、あとがきで著者自身が述べるように、意図したものであるらしい。

    受験に対する著書は昔お世話になったが、考え方は今でも勉強になる部分もある。
    特に、テレビに出たがテレビに嫌われている人の立場からテレビについて述べる部分は非常に貴重だと思う。

    本書で述べられていることはテレビに対する改革を要求するものでもある。
    決して難しいことではないが、テレビのそれを変えるのは革命並みに難しいだろうと思う。

    感想として抱いたのは社会的な正義感に溢れている、という点。
    より多くの社会問題を解決するためにテレビを有効に使う、という視点がある。

    テレビに対して全く期待していないため、最近ではテレビに対して何も思わないが、このような視点からいくつかの手段が出てくるということは忘れてはいけないと思う。

  • MOTHER3というゲームボーイのソフト(確か・・・??)があった。
    普通のRPGで、なかなか面白いストーリーだった。そのゲームの中では、ある箱の存在をきっかけに、人々が変わってしまい、奇妙な世界になってしまう。悪者は、その箱をあちらこちらに普及させ、人々はその箱の虜となるのだ。
    その箱が何であるかとは、書いてはなかったが、明らかにテレビのことだった。
    テレビの功は、きっとたくさんあるのかもしれないけど、つまらない洗脳がなされ過ぎ。しかも民放などはタダのようなものだから、性質が悪い。TVの中の世界が、正しくて、格好よくて、基準であると、無意識に祭り上げているたくさんの人が読んだらいいなぁ。

  • 「『ウエスト58幻想』の大罪」
    「『命を大切に』報道が医療を潰す」
    「元ヤンキーに教育を語らせる愚」
    「自殺報道が自殺をつくる」...

    日本の放送局のバラエティ番組の多さにも呆れるが、それ以上に報道やドキュメンタリー番組ですら大きな問題を抱えているという精神科医からの提言。テレビが垂れ流す情報による影響力は強大なのだが、作り手側があまりに無自覚であることが深刻だ。

    そもそも公共の電波をタダ同然で使用し、免許制度によって競争からも守られている放送局には放送法による規制があり、「報道番組」「娯楽番組」「教養番組」「教育番組」の割合が決められている。が、現在ではほとんど形骸化しているらしい。

    政治すらテレビの影響力によって左右される現在、彼らを監視し、改革するためには、まず我々消費者が賢くなって、広告主を通じて行動を起こすことが必要だろう。

  • テレビは二面性がある。テレビは公共の電波を使用し、多くの国民の情報源である。なので、必然的に信頼してしまう物なのに、その内容はテレビ局側の都合の良い内容になって、それがあたかも世論全体の意見のように流されている。
    私達は本当にテレビが伝えてる事が事実なのか、考え直さないといけない。インターネット時代が情報というものを変えてくれる事を信じるばかり。

  • 本書では、テレビを筆頭としたマスコミ報道が以下に犯罪的かという点について、精神科医の和田秀樹氏が大きく8つの論点に分けて説明しています

    今でこそ「テレビはつまらない」「テレビの言うことは信用できない」と言った不信感も漂っていますが、本書は2010年と比較的早い段階での著作であり、著者の着眼点について驚くばかりである
    ただ、そのせいもあってか話が網羅的となっていて深いツッコミが不足している感があるのは残念である。
    また、小見出しとその内容が一致しない部分なども散見されたり、論点がうまくまとまっていなかったりと、内容はいいだけに非常にもったいないと感じた

  • 評論家で小説家で映画監督、そして臨床心理士で管理栄養士で受験アドバイザーという「何でもアリ」の和田センセイの本業は、東大卒の精神科医。自らがテレビ出演の多い立場ありながら、テレビが国民に与える大いなる損害、もっと言えば「数々の偽装や情報操作によって」多くの人々を死に追いやり、その健康を害し、そして知性を奪う「テレビの大罪」を糾弾する。過剰なダイエット至上主義によって若い女性たちを拒食症に走らせ、医療過誤を攻撃し続ける事によって逆に医療崩壊を招き、自殺の方法や有名人の自殺などに関する過度な報道で逆に自殺を増やしているという現実を暴露し、テレビ業界を「知的レベルの高い人たちが、自分たちよりレベルの低い大衆を騙して儲けている」と糾弾する。和田センセイがこの業界に抱く疑念は「テレビは事実を映さない」ということ。伝えたいメッセージに合わせて映像と音声を切り貼り加工するマスコミの「ずるい」手法による情報操作に騙されないようにと読者を啓蒙する。

  • 「テレビでは個人的な体験の一般化が多い」

    「正義とは被害者と一緒に騒ぐことではない」

  • この本に書かれているテレビの罪:
    痩せすぎ礼賛
    反勉強・反エリート
    東京中心
    アルコール依存症放任
    老人を老人扱いし過ぎる

  • 良書ではなかろうか

  • 一億総白痴化
    大宅壮一さんが警鐘をならしたのが
    敗戦後から10年ほどたった1957年だった

    TVという存在はますます
    その度合いを強めている

    TVを観るという習慣が全くない私などでも
    やはりそうなのだ、とつくづく思ってしまう

    この日本という国は
    どこに行こうとしているのだろう…

全98件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わっている。
主な著書に、『80代から認知症はフツー』(興陽館)、『病気の壁』(興陽館)、『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス)、『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『老いの品格』(PHP)などがある。

「2024年 『死ぬまでひとり暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

和田秀樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×