茶: 利休と今をつなぐ (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103926

作品紹介・あらすじ

茶を「礼儀作法を学ぶもの」「花嫁修業のため」で片付けるのはもったいない。本来の茶の湯は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の全領域を駆使する生活文化の総合芸術なのだ。なぜ戦国武将たちが茶に熱狂したのか。なぜ千利休は豊臣秀吉に睨まれたのか。なぜ茶碗を回さなくてはいけないのか。死屍累々の歴史、作法のロジック、道具の愉しみ-利休の末裔、武者小路千家の若き異才の茶人が語る。新しい茶の湯論がここに。

感想・レビュー・書評

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  • 非常に基本的なことをわかりやすく伝えてくれる。結びの、伝統ってのは明治にできた言葉で、そもそもは仏教用語だったんだという話は家元とという立場では言い難い言葉なのかもしれない。伝統にがんじがらめになりそうな立場にありつつもクリアな認識を持っていて、偉ぶる所なく茶の魅力について伝えるところがとても素晴しい。大変勉強になりました。

  • 茶の湯は絵画や彫刻ではくくれないインスタレーションであり、パフォーミングアート

    墨蹟は本来、印可状や遺偈であって、人に見せるものではなく、墨蹟を通して師と対話し、内省するためのものだった

    そういう性格の掛物を茶室にかけたということは、非常にプライベートな性質を帯びている。自分の書斎、ホビールーム、寝室に客を招き入れ、胸襟を開いてつきあうとわけです
    →袈の場をそのまま晴れ化した
    墨蹟をかける場はプライベートな領域だった

    場を主宰する力。私の身体のテンションの変化に合わせなさい、体温の変化、呼吸の変化、細胞の動きのすべてにという指南力

    共同体の再構築の基礎となるような、人間の身体を作り出さなければ。そこに茶の湯が出てきた。

    呼吸が同期し、脈拍が同期し、身体感覚が同期するというのがどんなに気分のいいことか、人間が共同体を作ったときの原点にもう一度戻る

    非常に指南力の強いリーダーが自分の身体感覚をザーッと伝えていって、共同体の全員があたかも一個の身体であるかのような幻想を共有した。

    自分を大切に扱うというところに、自分自身の身体感覚がある

    自分が楽しむことによって客にも楽しんでもらう、同期とか同調ってそういうこと

    自分の愉悦とか、自分の身体の緊張感とか、開放感とか、達成感とかが感染する

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  • 「茶道」に興味ある方は必読です!武者小路千家次期家元が語る「茶の湯」の本質!端的にまとまっているのではじめての方で「なるほど!」と思って読める一冊です。

  • おもてなしが取りだたされ、今や習いたいお稽古事ランキング上位にくるお茶。

    茶道→利休→侘び寂び
    と、こんな感じに短絡的に考えてしまっていたが、その実、かなり深い。
    どうしても、十把一からげに禅に結び付けてしまいがちだが、利休より遡れば、密教の影響も多分に受けている。
    利休自体も、堺の商人出身だし、当時、モンゴルの侵攻を受けた宋の僧侶が日本に入ってるし、港町であった堺には、宣教師も多勢いたわけで、クリスチャンの文化もブレンドされている。

    おもてなしの精神も読みどころだが、日本の美意識が、つまるところ引き算の美学だということを、改めて痛感する。

    良書。

  • 茶道三千家のひとつ武者小路千家の第十五代次期家元の千宗屋が、茶の湯について、網羅的に分かり易く解説している。
    著者はまず、茶の湯の究極的な目標を、「直心の交わり、つまり心と心の交わりを、茶の湯の方法論によって実現すること・・・亭主としては茶事を催し、考え抜いた趣向によってお客様に満足してもらい、そのことで自分も「人を招く悦び」を享受する。客としては修練と教養を積んで、亭主のもてなしを察し、的確に応じることができる」と語る。
    千利休の言葉として、「茶の湯とは、ただ湯をわかし、茶を点てて、飲むばかりなることと知るべし」と伝えられるというが、茶碗を回す作法も、道具も、小さな茶室も、「直心の交わり」のためにあるのだと言う。
    そのほか、茶の湯の歴史や三千家の家祖である千利休についても語られており、茶の湯の全体像を掴むことができる。
    (2011年3月了)

  • 再読したが、記憶の印象よりずっと良いことが書かれていた。お茶の世界の中と、その外との世界とをバランスよくつないでると思う。
    ただ、それは橋本麻里さんの力だろう。若宗匠は絶対にこんな柔らかい表現をしない。

  • 「茶」の入門書。一度茶事に参加したことがあるかないかで,著者が言っていることの感じ方も変わってくると思います。

  • 作法偏重の茶道観を憂い、茶道の正しい理解と普及を意図して著され、実に分かりやすい。が、茶会を真に楽しむには、あの狭い異空間で他者と共にときを過ごし、同席者と同調できるだけの人格なり審美眼なりを備えねばならぬと改めて知った。

  • 茶碗の左右を神経質に言いたてているばかりの芸術では、五百年を生き延びることはできない。遣唐使が持ち帰って以来、お茶/茶の湯は「最先端のクールな習慣」「産地を言い当てるギャンブル」「絵画や器のコレクションを自慢する機会」「明日をも知れぬわが身を振り返る機会」「禅の行をサポートする飲料」「自国の文化を総合的に感じられる機会」など、自分ひとりとの、あるいは心を通わせたい誰かとの、どこまでも奥深いコミュニケーションを取る手段であった。

    魅力があるから、死屍累々の歴史を重ねながら、お茶はこれからも生き延びる。

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著者プロフィール

千 宗屋/せん そうおく
1975年、京都府生まれ。武者小路千家家元後嗣。斎号は隨縁斎。96年、慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学大学院前期博士課程修了(中世日本絵画史)。

2003年、武者小路千家十五代次期家元として後嗣号「宗屋」を襲名。08年には文化庁文化交流使としてアメリカ ニューヨークに一年間滞在。現在、明治学院大学にて非常勤講師も務める。17年にはキュレーターとしてMOA美術館にて「茶の湯の美」をテーマに展覧会を行った。古美術から現代アートにいたるまで造詣が深い。

著書に『茶―利休と今をつなぐ』(2010)、『もしも利休があなたを招いたら』(2011)ほか。

「2018年 『茶のある暮らし  千宗屋のインスタ歳時記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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