新・堕落論―我欲と天罰 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 136
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104268

作品紹介・あらすじ

列島を揺るがせた未曾有の震災と、終わりの見えない原発事故への不安。今、この国が立ち直れるか否かは、国民一人ひとりが、人間としてまっとうな物の考え方を取り戻せるかどうかにかかっている。アメリカに追従し、あてがい扶持の平和に甘えつづけた戦後六十五年余、今こそ「平和の毒」と「仮想と虚妄」から脱する時である-深い人間洞察を湛えた痛烈なる「遺書」。

感想・レビュー・書評

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  • 会社の先輩からお借りした、初めて石原新太郎の本を読んだ。
    著者の確たる考え方・正義感がストレートに表現されており、歯に衣着せぬ一部、過激な内容もあり、刺激的で歯切れの良い内容。

    各論には賛否両論あろうが、これくらいはっきり物事の良し悪しをいえる人はそうそういないだろうと思った。

    著者の思考軸や評価軸がぶれない背景には、それなりのレベルに達するまでの知識や情報収集等の努力の積み重ねがあろうと垣間見れる。

    それにしても、内容は過激で刺激的だが、文章がうまいというか表現が奇麗というか、さすが物書き。頭も良いんだろうし、感受性も高いんだろう。レベルの高い人って、難しいことを簡単に表現してくれる。

    同著書もものすごく読みやすかった。石原さんという人に興味が出た。時間があったら同著者の小説などにもトライしてみたい。

  • 『文芸春秋』2010年12月号の「日本堕落論 このままでは日本は沈む」と同2005年5月号「仮想と虚妄の時代 援助交際と純愛」を、大幅に加筆、改稿してまとめたものだそうだ。2011年7月の発行であるから、改稿時はおそらく震災後数ヶ月の民主党政権。

    印象だけで嫌うのはバランスが悪かろうと借りて読んだ一冊。
    日米関係における政府のふがいない対応への批判や、性犯罪の氾濫への嘆き節には肯けても、続く意見があまりにも極端すぎて、前の主張もそれらを正当化するためのツールのように見えてしまう。
    終戦時の体験から培われた発想や考え方は、彼にとっては必然だったのかもしれないが、私は共感できない。ここに記されている物事への考え方、捉え方を見ると彼の知事時代の過激な発言も、まんざらスタンドプレーを狙っただけのものでもなかったように思える。

    いろんなことが自由に言える社会であってほしいと思う。
    たとえ、私から見て極論と思えるものであっても、である。

    でも、ペンを以て劍を持てと説くような人に政治的な力を持ってほしいとは、私は思わない。彼についてはもう、今更、ではあるけれど、、、やっぱり、ちゃんと理解して選挙に行かないとネ。

  • 私が抱いていた違和感が文章に表現されていて、心がすっとした。これからの日本を、世界を良くしていきたいと思った。

  • この著作を読んで、益々、石原新太郎という人間が好きになった。3.11の震災を機に「我欲」という言葉で日本人全体に警鐘を鳴らすものの、言葉の意味を理解するにはこの著書なくして語れないと思う。

    やはり戦争を境に日本人が日本人でなくなり、アメリカの妾同然の所業に鉄槌を喰らわせたいと思う同輩にとっては、何度でも読み返したいものである。

    核保有については肯定的な持論を展開する石原氏、日本人への自我の目覚めを強く訴える石原氏。更に、本当の男女間の(命がけの)恋愛というものを説く石原氏。

    この人亡き後の事を思うと、果たして誰がその思想と行動を継ぐ事ができるのだろうか?

  • 僕らのように「戦争は間違っていた」と教え込まれてきた世代は、戦前にプライドを持っていた石原慎太郎さんのような人間の意見は、本を読まない限りほとんど知ることができない。公共性の高いメディアでさえ、産経を除いて左に傾倒しているからだ。
    自身で憲法を作ることをドイツは許されたけど、日本は許されなかった。黄色人種だったからだ。規制緩和の強要にも見られるように、いまだに日本はアメリカに指図されている。安保理。バカにされていることに気づいてすらいないのは、本当に悲しいことだと思う。
    自制心とプライドを持とう。民家に絨毯爆撃してきた米軍機と戦った日本兵を、石原さんは目の当たりにした。

  • 今の日本の現状について語った本。

    若い人の悪口「だけ」でなんら生産性がなかった。
    よくいう「我々が若い頃は」「今の若い人は」の話。

    そんなことを言ったところで何も変わらないと思う。
    一体この本を読んだ人に何を伝えたいんだろうかと思う。

    うーん。やはり、「今の若い人は」ここが素晴らしい、
    などということも言って欲しい。大人に褒めて欲しい。

    そうじゃなきゃ若い人だって、
    「ふざけんなよ!こっちも好きでこんな時代に
    生まれたわけじゃねえよ!」って言うだろうし。


    若い人の悪口をガンガン言うのは、老けた証拠だから、
    気をつけようと思う。

  • 前半部分は日本の問題の根本に言及されていて、歴史認識を要因とする堕落という点が深く胸に刻まれた。長老様はやっぱはんぱねえ。

    ただ、後半はじいさまの時代の羨望と今の時代への愚痴にしか読めなかった。
    グローバルやITの時代への変化をただの否定としてしか見ないのではあまり役に立たない。
    大事なのは自己認識に加えて、変化にどう対応していくかだと思う。そのへんはお前らが考えろってことか。
    賛否両方ある本だけど読んで良かった。

  • これは、石原慎太郎氏が遺書として書いた本だ。石原氏が、時には世間に批判されるくらい過激な?発言のルーツ(根拠)が書かれている。氏は、自分の気分、権力関係etcつまり、”我欲"で行動する人々が近年の日本に多いことを憂いている。私は、この本を通して第二次大戦を通して日本のために命を懸けた先人、戦後の経済成長に寄与した先人たちが創ってきた日本を守り、よりよくしたいという筆者の意思表示であると感じた。
    時間がかからないことが善であるというような風潮のせいか、人々(自分も含めて)の視点も現状だけしかみていることはないだろうか。そんなことを考えさせられた。

    • たつおさん
      面白そう!貸してくれ!ww
      面白そう!貸してくれ!ww
      2011/09/23
  • 石原氏が遺書?として書いたという、戦後戦勝国によりもたらされた秩序に拠る平和に安住してきた日本への憂国論。氏は右と言われるが外交に関する指摘は世界に目を向ければ珍しくない。震災時も東京都の対応は突出していたようにまだ活躍の場がある現実があるのでまだまだ現役を続けるんだろうな。遺書と言いつつ…。

  • 我欲を抑えて堪えてはじめて個々の人生はしなやかでしたたかなものになってゆく。それが国家を支える。

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著者プロフィール

1932(昭和7)年神戸市生まれ。一橋大学卒業。55年、大学在学中に執筆した「太陽の季節」により第1回文學界新人賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞受賞。『亀裂』『完全な遊戯』『死の博物誌』『青春とはなんだ』『刃鋼』『日本零年』『化石の森』『光より速きわれら』『生還』『わが人生の時の時』『弟』『天才』『火の島』『私の海の地図』『凶獣』など著書多数。作家活動の一方、68年に参議院議員に当選し政界へ。後に衆議院に移り環境庁長官、運輸大臣などを歴任。95年に議員辞職し、99年から2012年まで東京都知事在任。14年に政界引退。15年、旭日大綬章受章。

「2019年 『湘南夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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