都市住民のための防災読本 (新潮新書 429)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104299

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  • 都市住民の安全の確保から書いた防災の本。

     大都市での防災対策の盲点。

    (1)中央防災会議の推計では、首都直下で、高層住宅のエレベーター停止18万基、とじこめ一五〇〇人、オフィスビルは、12万基、11000人。(p53)

     これ、どないするのか。こんなに閉じ込めとエレベーターが停止してしまったら、大変なことになる。そもそもエレベーターからの救出のための業者がすくに到着できるとも思えない。

     これを考えると、高層ビル建設するデベロッパーの責任は重いな。もし助けられないのなら、こんな商品市場にだせないんじゃないか。まじめに考えると空恐ろしい。

    (2)職場で首都直下にあった人は家に帰ろうとして帰宅難民になるのではなく、むしろ職場の周りの被災者の救援をすべき。(p87)

     昨日の帰宅困難者の協議会の提言に対して、安否が心配とか言っていたが、安否確認は別にきちんとやって、しばらくは職場の周りの救援活動を支援してほしい。たぶん、都心の真ん中には、警察や消防、自衛隊がすぐに入ってくれないと思うので。

    (3)政府の機能不全を想定して、実際の現場が決断を下せるような災害対策を立てることが必要。(p144)

     政府の緊急災害対策本部の現地対策本部が、国の出先機関を統率し、知事、市町村長と協議して、連携して救援活動、応急活動をする仕組みを考えたい。

     いろいろ、現場からの発想には考えさせられる点多し。その意味で災害法制の参考になる。

     

著者プロフィール

渡辺 実(わたなべ・みのる):1926-2019年。京都府生まれ。京都帝国大学文学部卒業。京都大学名誉教授。国語学・国文学専攻。言語表現の立体構造に着目し、国語学と国文学の境界を越える研究を目指した。著書に、『国語構文論』(塙書房)、『現代文解釈の方法』『平安朝文章史』(ちくま学芸文庫)、高校生向けには、などがある。

「2022年 『着眼と考え方 現代文解釈の方法〔新訂版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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