公安は誰をマークしているか (新潮新書 433)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104336

作品紹介・あらすじ

盗撮、盗聴、徹底監視。必要なら身内さえ尾行する。決して公にしない捜査手法で、公安警察は誰を追っているのか。共産党や過激派が失速し、オウム事件から十六年が経った現在、何と闘っているのか。潜在右翼の増殖、シー・シェパードの横暴、サラリーマンを狙うロシアスパイ、北朝鮮工作員を支援する「土台人」…。特高警察のDNAを受け継ぐ公安最強の組織・警視庁公安部の事件簿から、その実態と実力を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 「公安」と言う言葉はよく聞くが、実際にどんな組織で何をやっているのか?
    右翼、左翼、カルト、スパイと、対象は多い。


    それにしても、いまだに左翼も活動しているのだなあ。

  • 公安部、警備部を担当した元新聞記者が書いている。公安と名がつく組織にも指揮系統によって、その下部は様々な役割が与えられている様だ。誰をマークしているか と言う表題通り、それぞれの相手に対してと言う事がわかり易く書いてあった。

  • 公安警察,特に警視庁公安部(総勢1100名)の組織と業務内容を紹介。このほか都内の警察署には警備・公安担当の捜査員が1200名もいるらしい。
    警視庁公安部は,公安総務課,公安一~四課,外事一~三課,公安機動捜査隊をもつ。警視庁の中の組織にも関わらず,予算や指揮権は警察庁警備局が握っている。他の道府県の警備部公安課も同様に,各警察本部でなく警察庁からダイレクトに指示を受けて動く。
    公安警察は,戦前の特高警察の系譜にある。敗戦後,一時解体された特高だが,共産主義勢力の台頭に対抗する逆コースの流れの中,昭和27年に現在の警視庁公安部に当たる組織として復活する。当初の監視対象は戦後も暴力革命路線を堅持していた日本共産党で,現在も公安総務部が共産党を担当。
    公安総務部は他にも統一教会やパナウェーブ等の新興宗教団体,グリーンピース等の過激な環境団体も対象にしている。また,産業界の内部や官公庁内に隠れる共産党シンパもウォッチしてきた。場合によっては身内であるはずの警察官も監視の対象になる。
    公安一課は,革マル以外の左翼過激派,公安二課が革マルを主に担当。戦後の一時期,一世を風靡した新左翼も,最近では大学構内での若手獲得(オルグ)も難しくなり高齢化している。平成に入ってからもテロ・ゲリラは発生しているが,やはり先細り感は否めない。
    新左翼については,以前ブログに概要をまとめた(http://d.hatena.ne.jp/Polyhedron+diary/20110913/1315922865
    )。中でも公安二課が対象とする革マルは,特に盗聴に長けていて,偽造した警察手帳で警官になりすまし,無線を傍受して警察活動を丸裸にして警察を逆に監視していた(平成十年の浦安アジトショック)。公安三課は右翼を担当。右翼団体の情報を得るために,幹部と食事や酒をともにするなど,相手との人間関係を良好にしている捜査員もいる,というのが公安三課独自の特徴。最近では組織としての活動実態に乏しい潜在右翼なども時々暴発する。それを未然に防ぐ操作はかなり難しい。
    外事二課はパキスタン以東のアジア諸国,外事一課はそれ以外の国々のスパイを担当。身寄りがない日本人になりすます「背乗り」などでスパイは情報を収集するが,それを摘発することを最大の任務とする。外交官の不逮捕特権によって捜査が阻まれることも。不正輸出にも目を光らす。
    外事三課は国際テロ組織を捜査対象にする。日本に潜伏するテロリストや,国内で起きる国際テロ組織による事件を担当。公安警察の活動は,隠密を旨とするなどあまり表に出てこないもので,時々行き過ぎも起こる。国民が関心を持って公安の活動をチェックすることが望ましいと著者は言う。

  • 警視庁公安部各課を、実際に起きた事件などを交えながら解説。
    公安警察の重要性は認めつつ、国民が公安警察の活動を知ることが、人権軽視の捜査防止につながるとする。

  • 吉川英梨さんの「十三階シリーズ」にはまり中。公安を舞台にした小説をより楽しむために手に取った本。
    十三階シリーズの黒江律子は警視庁公安部公安一課三係三班所属。本書中の組織図と見比べる。表の職務は極左担当なのね、だから日本赤軍に関わるのね、なるほどー。

    テレビドラマに出てくる公安の人はだいたい意地悪で、さすがにステレオタイプでは?とは思うものの実態は謎だった。知らなかったことばかりで、とても興味深く読んだ。

  • 【筆者が知る限りでは、公安警察に身を置く人たちには「誰かがやらなければ」という強い正義感を持っている人が多い。一方で、汚れ役を自任するあまり、国と国民を守るためには場合によって手段を選ばなくてもいいという独善に陥る危険性を孕んでいるようにも思う】(文中より引用)

    外目からはなかなか何をやっているかわからない警察の公安部門。警視庁公安部を例に取り過去の担当事件も紹介しながら、その内実に迫った作品です。著者は、産経新聞で警視庁公安部・警備部の担当も務めた大島真生。

    警察ドラマなどを見ていると役職に漢字がやたら並ぶキャラクターが出てきて「実際のところどんな役割を担っているんだろう」と思うこともあったのですが、その疑問の一端をすっきりと明らかにしてくれた一冊。取り上げるものの性質故に一部断片的と思われる箇所もありますが、公安の窓口としてオススメできます。

    新書という手に取りやすい媒体だけど、一体どんな人がこれを読んでいるんだろう☆

  • 警視庁公安部の事件簿から、その実態と実力を描き出す。

  • 新書文庫

  • 文字通り公安というのがどういう組織で、どんな仕事をしてるかを綴った一冊。

    国民から見えにくい公安の活動について知ることができた。

  • こんな本、書いちゃって良いのかな〜。公安警察からクレームが来てないかな〜。。。

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