世代論のワナ (新潮新書 451)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104510

作品紹介・あらすじ

「バブル世代はヌルい」「ゆとり世代はバカ」「勝ち逃げ世代はズルい」…溜飲の下がる定説には見えないワナが仕掛けられている。はまると互いの不信は募り、断層が深まってしまうのだ。職場を揺るがす「世代間冷戦」はいかに引き起こされたのか?太陽族、新人類から氷河期世代まで、メディアやマーケティング戦略が作ったステレオタイプの怪しさをあぶり出す。不毛な世代間の対立をいま解消するための強力な解毒剤。

感想・レビュー・書評

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  • 世代にレッテルを貼るのはいつの時代も同じであるが、貼るのは必ず年上の側。そしてそれを消費するのは本書で指摘の通り、必ずメディア側。
    そんな情報に振り回される側は、たしかに大変。

  • 三葛館新書 361.64||YA

    世代をひとくくりにして、大まかに理解しようとするのは否定しませんが、人は個々それぞれ。たとえば「若者の車離れ」ひとつをとってもいろいろな視点があることがわかります。それぞれの時代の若者論が面白く、とても読みやすい1冊です。
                                  (うめ)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=63267

  • "〜世代"のレッテルをはがし、「共通する何か」を発見し、それぞれの状況を踏まえて、違いを認め合おう。

    情報過多になって、情報レベルで思考停止。メディアのベースが広告にあるというのも、ゆがみを生じる原因なのか。

  • ビジネスの視点から世代論の功罪について説明した本。世代論の概説には役立つし、学ぶところも多いのだが、引用元が明確でなかったりと、根拠にやや欠けるのが難点。ベター候補。

  • 世代の語られ方に興味があった時に出会い購入。50代半ばの今時の若者は…という安易な括り方にフラストレーションを感じ、バブル経験の無い私たちがどんな風に捉えられているのか知りたいと思っていたので面白く読めた。偏らない着目点や、ライブドアの踏み絵などわかりにくい40代と30代の間にある差などは勉強になった。
    しかし後半は少し先を急ぎすぎてて、引いた目線とよった目線でじっくり見て世代間の冷戦状態をとかして行きましょう、というもやっとした結論が残念な感じがした。

  • ・世代論のほとんど若者論
    ←オジサンたちの溜息の受け皿として受け入れられてきた。
    そこには、「生まれ育った社会の中で様々な影響を受けて、その結果現れる”今どきの若者”」という発想がない。まるで”今どきの若者”が宇宙からやってきたかのように。
    ※自分に責任を感じることもなく原因を他に求める。

    ex)ゲーム・ケータイetcの負の影響を語る際、それに没入する若者に対する批判も語られるが、それを若者に押し付けたのは大人であることを忘れている。

    ・世代論を作り出すのは基本マスメディア
    →しかしメディアは広告として(商売として)それを用いている。ビジネスとして世論を操る
    →消費者として力のある世代(最もメディアに触れる機会が多い世代)が批判のターゲットとなることはない
    →往々にして一方的な、都合の良い見方

    ex)就職難の言い訳として、パラサイトシングルなりニートなりの言葉を流行させ、ダメダメな若者にクローズアップした収録を流す。社会的責任逃れ。
    最近はもうちょいましになってきたか…

    …ビジネスで世論を操っているマスメディアが電波を独占している状況はやはり好ましくない。ジャーナリズムとして機能はしていないよなぁ。

    ・世代論の切り口
    ①文化②消費行動(若者世代の○○離れetc)③資源配分(就職氷河期etc職の需要に関する)
    ←①と②に関しては狭小な見方、浅い議論が多い。
    ←②の○○離れに関しては、広告費が減ってきたマスメディアのいらだち。ゆえに議論も浅く、偽の(買わない若者が悪いという)結論に至る。

    ・仕事上、初めての人とコミュニケーションする機会が増加してきた→コミュニケーション下手な社員が多い→ゆえに就活生にコミュニケーション能力を求める
    という構造あり

    ・メディアからのメッセージ分類
    ①煽り(ベンチャー企業へGO!)②鎮静(都合の良い情報のみで安心させる。ex)まだまだ日本は大丈夫etc)③持ち上げる(様々な意図?)④癒す(現在のビジネスに対する懐疑。経済成長のみを目指すのとは異なる価値観。)

    ①が作用→活き造り系(=ナルシスト)の鮮度を保つ
    ②が作用→煮込み系(=ウジウジ)を煮込みすぎない
    ③が作用→揚げ物系(=今まさにホット!)を焦げ付かせない
    ④を受発信→漬物系(=NPOとかしちゃう人)のタイミングをつかむ

    ・企業の遠心力&求心力
    本来なら、自社の意志で考えるものだが、日本企業の多くが環境(景気)に振り回されている

    ・大家族的仕事場がいいんじゃない?
    ①若手を宝物として面倒をみる
    ②タテヨコ”ナナメ”関係の機能が働く→精神的に参ることが少ない

    ・世代の溝の原因…直接的対話のレベルが浅い
    大人の世代に求められる…粘り強く言葉を紡いでいくこと。これはそもそも簡単なことじゃない。
    ・世代によって、何を経験してきたかをつかむ…鳥の目
    個々人の心情をくみ取る…虫の目
    そのどちらも必要
    ・世代の違いを強調するよりも「共通する何か」を発見する
    →異なる価値観の者が一体となって何かに取り組む
    →大きなエネルギーが生まれる

  • 一度目はクスクス笑って、二度目は耳が痛くて、三度目に悩んじゃった。直人さん、ありがとうございますw

  • 理解できなくても「認める」

    メディアの都合と本能

  • マーケティングの一環として「バブル世代の嗜好」を語ることと、バブル世代に属している先輩Aさん(という個人)について語ることはちがう。
    その世代のおおまかな傾向をとらえようとしたときに、自分がよく知っている「先輩Aさん」だけを基準に考えると、「木を見て森を見ず」となり、逆に、「先輩Aさん」の人となりを考えるときに「バブル世代」の特徴をふまえて考えると、「森をみて木を見ず」ということになってしまう。

    もうすぐ4月。新しい人たちと出会う季節だけれど、「森を見て木を見ず」とならないように、新しい出会いを楽しんでいきたいな。

  • 世代論が及ぼすコミュニケーションにおける”弊害”にスポットを当てつつ、その被害を被ることが最も多い「イマドキの若者」のリアルを著者なりにまとめた一冊。

    視点が興味深かったですね。
    でもこれはマーケターなら一度は感じたことのあるジレンマだと思う。
    ある人間の塊の特定の特徴を強調して、レッテル化する行為は、
    資本主義社会のマスマーケティングでは、ある種、割り切りを前提として、
    絶対にどこかのレベルでやらないと話が帰着しない部分が事実ある。
    「若者も人それぞれですからねー」じゃ、何にもできないわけで。

    それは認めつつも一方で、
    実際、リアルに人と人とが相対してコミュニケーションをとるべき日常で、
    世代論がいかに、相手を直視するうえで妨げになっているか。
    そここそ、この本で一番アラートしたい部分だったのでしょう。

    個人的には、まさに「世代論」を作ってマーケティングに利用せんとする
    職域を担っているので、耳が痛い部分もありつつ、
    ちゃんと生身の人間と向き合って、相手を理解してあげられたらいいな。
    売り手の論理だけではなくて、生活者・一般の方々が、
    何をわかってほしいとこころの奥底では思っているのか。
    そちらサイドに立っているくらいが本質的にはいいんだろう。

    自分なりにいろいろ考えるきっかけになったので、
    本そのものの内容以上にいろいろ学べて良かったっす。

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著者プロフィール

山本 直人(ヤマモト ナオト)
コンサルタント/青山学院大学経営学部講師
1986年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同年博報堂入社。コピーライター、主席研究員、ブランドコンサルタント、人事局ディレクターを経て2004年9月独立。多くの企業にてマーケティング、ブランディング、および人材育成トレーニングをおこなう。2006年より青山学院大学経営学部マーケティング学科非常勤講師としてキャリア開発、マーケティング、メディア等を担当。著書に『グッドキャリア』『マーケティング企画技術』(以上、東洋経済新報社)、『50歳の衝撃』(日経BP)、『世代論のワナ』(新潮社)他多数。

「2021年 『数学的に話す技術・書く技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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