「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104572

感想・レビュー・書評

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  • 1TWhあたりの発電方法別死者数は、化石燃料に対して原子力は圧倒的に低いので、安全、としていますが…。
    原発だけでなく、中間貯蔵施設や再処理施設で何かあった場合にその土地が使えなくなるというのはいいんでしょうか?そこに住んでいる人はどうなるのでしょうか?

  • 膨大な人が避難するマイナスは考慮されないの?など、むむっと思うところもあるけれど、①原発を止めても必ずしも安全性は上がらないこと、②耐用年数に達しない原発を止めると利益なく制御コストと減価償却のみ必要なこと、③火力発電での代替えは化石燃料の負担を生むこと、④そのコストを自分たちで払うこと、⑤高価なエネルギーは貧しい国では使えないこと、⑥蓄積されてきた原子力に関する知識や技術が失われること について、覚えておこうと思った。2012.06

  • これはひどい。
    エネルギー密度の話で強引に正当化しようとするのは
    おかしい。ヒューマンエラーこそが問題でそれに対してno thank youだということがわからないのか。

  • 久しぶりにまともな原発論を見た。

  • 著者であり、人気ブログ「金融日記」の管理人の藤沢数希氏は理論物理学の博士号を取得しているというのは、著者のプロフィール欄で初めて知った。
    本書では、原発以外のエネルギーでの発電の方が、実は死者が多く出る、低線量被ばくの危険性というのは、科学的にはほとんど根拠のないものであるなどの反原発派にとっては不都合な真実を膨大なデータをもとに証明して行く。一つ一つの主張を数々のデータや研究論文にもとづき、丁寧かつ非常にわかりやすく解説する。
    また、後半の原子力発電の仕組みに関する解説も非常にわかりやすかった。

    特に印象に残ったのは、原発が原爆にならないということの例えとして、ろうそくをどんなに集めてもダイナマイトにならないといったのは非常にわかりやすく、しっくりきた。

  • 3.11の東日本大震災後、反原発が正義となり、原発推進派はそれだけで邪悪な存在となってしまった。
    マスコミでは、反原発のデモが繰り返し垂れ流され、科学的知識を持ち合わせた専門家の意見は一切取り上げられなくなった。
    こんな風潮に警鐘を鳴らす一冊となっている。

    そもそもの前提として、絶対安全、人間社会に全く害のないエネルギーというのは存在しない。また、現代社会において、私たちの生活にエネルギーは必要不可欠な存在となっている。
    この前提をはき違えた感情論が先走りしているのが昨今の反原発論調である。

    全く無害のエネルギーが存在しない以上、どのエネルギーがよりましなのかという議論にならざるを得ない。
    今の日本では、火力発電が主力で、石炭・石油を燃やしてエネルギーを作り出している。
    しかし、火力発電というのは、大気汚染の影響が凄まじい。火力発電・車の排気ガスによる大気汚染が原因で亡くなっている人の数は全世界で、年間100万人もいるというから驚きである。

    翻って、東日本大震災の原発事故による死亡者はゼロである。
    非科学的な風評被害が深刻なだけであって、実は科学的に危険なレベルの放射能漏れは起きていない。
    しかし、当時の民主党政権が原発の稼働をストップさせてしまったために、原発や電力会社への風当たりは一層強くなってしまった。
    原発を稼働できないことにより、電力会社は古い火力発電所を稼働せざるを得ない。

    しかし、火力発電というのは深刻な大気汚染を発生させるため、原発を稼働させていれば亡くならずに済んだ人が、年間で推定5千人ほど出ると言われている。

    環境、人体への影響はもちろん、経済的に最も合理的なエネルギーの選択肢は原発なのである。
    電力会社も国もそれを理解しているから、原発を推進してきた。
    惜しむらくは、国民の反発を恐れて絶対安全という神話を作り出してしまったこと。
    リスクとリターンを当初からきちんと発信するべきであった。

  • タイトルは「原発推進派」を思わせますが、「反「反原発」派」による本、と捉えた方が、より的確な気がしました(結果的に、原発推進派と捉えてよいとは思いますが)。

    第1章(発電方法の違いによる死亡者数の違い)、第2章(放射線のリスク)、第3章(再生可能エネルギーの現状)あたりは、『ファクトフルネス』を思わせる内容で、的確な数値を用いて、「反原発」がいかに非現実的な考えであるかが、勢いよく述べられています。

    しかし、地球温暖化の話である第4章あたりから、定量的な話が減り、定性的な話が増え、前半で見られた歯切れのよさ、それにともなう小気味よさが薄れているように思います。

    また、第6章の「原子力」に関する説明は、わかる人にしかわからない内容だと思われ、この章だけ、文章の質が著しく低いように思います(対象となる読者の設定がおかしい印象。この章だけ、編集者が機能していないのかもしれません)。

    とはいえ、原発推進派の本として、この本はかなり説得力のある、よい本だと思います。

    ちなみに、少し前に読んだ『それでも原発が必要な理由(わけ)』も、おそらく、本書と同じ思いで、原発推進の主張をしたかったのだと思いますが、原発を推進する理由を述べた本としては、本書の方が圧倒的に優れていると思います(本書は、『それでも~』よりも5年も前に出ているにもかかわらず)。

    今のところ、原発推進派の本としては本書、原発反対派の本としては『原子力の社会史』を読むのがよいと思っています。
    原発に関する技術を理解する上でも、この2冊を読めば、基本的なところは押さえられるかと。

  • メルマガ金融日記で有名な藤沢和希さんが、日本のエネルギー施策および世論を批評したもの。2012年出版。定量的な事実および科学的なメカニズムから、原子力発電・火力発電・再エネ発電等の各種エネルギーの経済的合理性および環境負荷を説明され、合理的な選択肢を記載されていた。この書籍が出版されていた頃は、3.11の影響が大きく、世論が原子力発電に対して圧倒的に否定的で、このような意見を述べられるのは勇気があると思った。その後、原子力発電はウクライナ危機による資源価格高騰で、経済的な負担が大きくなるまで受け入れられず、心理的な損益分岐点が明らかになったかも。

  • この本は日本人の「正義」である「反原発」をアナドル極めてアクシツな言論である。
    曰く「原子力をやめて化石燃料を使うと大気汚染で多くの人が死ぬ上、温暖化防止に寄与しない。しかも燃料費だけで年間4兆円余計にコスト負担が生じる。」
    曰く「閾値なしモデルを使ったとしても、年間100ミリシーベルトの放射線を浴びると0.5%死亡率が上がることになるが、原爆で被爆しなくても日本人の半数は癌になり、日本人の3分の1は癌で死亡するので、統計上は検出が困難。従って100ミリシーベルト以下の被爆による人体への被害は無視できる。」
    曰く「原発1基の電力を生み出すための太陽光発電には山手線の内側の面積が必要で、風力発電ではその3.7倍の面積が必要。それも天気まかせであり、安定供給のためには火力発電とセットでなければ使い物にならない。」
    曰く「電気自動車はCO2を出さない原発とセットで考えるクリーンなシステムであり、化石燃料で作った電気を使うとなると、電気を作るためのロス、送電中のロスを考えたら自動車が直接ガソリンを燃やした方が効率がいい。」
    等々と極めてケシカラヌ「真実」を例示しているので、マスコミが折角煽ってくれている「反原発」の風潮が崩れそうな勢いである。なんとかムシできぬものか。

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著者プロフィール

金融日記管理人。恋愛工学メルマガ発行。

「2017年 『ぼくは愛を証明しようと思う。(2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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