ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104695

作品紹介・あらすじ

少壮の日本人女性研究者が、ハーバード大学で日本史を大人気講座に変貌させた。歴史の授業に映画作りや「タイムトラベル」などの斬新な手法を導入。著者の熱に感化され、学生たちはいつしか「レディ・サムライ」の世界にのめり込んでいく──。

感想・レビュー・書評

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  • ハーバードにおける授業制度•評価方法についても学べますが、筆者がその環境で人気のある講義を提供できた秘訣が詰まった本でした。

  • ずいぶん前から積読になっていた1冊。
    期待以上に面白かった。
    まず、天下のハーバード大学でさえ日本史講義内容のレベルの低さに驚かされる。人気の無さはクラス受講者が毎年数名レベルだったという事実からもわかるが、そんな筆者もそもそもカナダのブリティッシュ・コロンビア大学の理系大学院生だった・・そこでたまたま手伝った日本史を教える教授の勧めで日本史に進路を変更し、ハーバード大学のサマースクールで受講した「日本史、サムライ」の内容に違和感を持った作者は・・このあたりの経緯も面白い。
    筆者が終始、巡り合う運命に逆らわず、それを目いっぱい楽しもうとする姿勢に好感が持てる。
    本書は、「教科書で読めばわかる内容をわざわざ教室で教える意味はない」、「外国人が日本を知るきっかけとなる大学での日本史講義をもっと充実させれば、優れた民間外交の一助となる」など潜在的に教育のもつ大切な意味を改めて気づかせてくれる。
    教育にかかわる人で未読の方は、新しい発見があるかも。

  • 少壮の日本人女性研究者が、ハーバード大学で日本史を大人気講座に変貌させた。歴史の授業に映画作りや「タイムトラベル」などの斬新な手法を導入。著者の熱に感化され、学生たちはいつしか「レディ・サムライ」の世界にのめり込んでいく―。「日本史は書き換えられなければならない」という強い使命感のもと東部の有名大学に乗り込み、「思い出に残る教授」賞にも選ばれた著者が記す「若き歴史学者のアメリカ」。
    「BOOK」データベース より

    著者のバイタリティ溢れる授業はすごいと思う.海外で教える教員はどのように日本史を語るのか知らなかったので新鮮.サムライ・武士道ばかり教えていたのか・・・
    歴史を学ぶことで、現在の国の関係や自分自身の関係の作り方について学ぶということはとても重要なことだと思う.女性に焦点を当てたことも成功の一つの要素だと思うが、それよりも日本史を通して学んで欲しいメッセージをはっきりと伝えることができたことが、彼女の授業を人気あるものにしているのだろう.

  • 歴史が好きな分、期待していたような内容でなかったので残念に思いました。タイトルからは、NHK白熱教室シリーズのような内容を想像していました。が、実際はまったく違っていました。最初から最後まで、違和感に包まれながら読み終わりました。

    全体を通して、主語が「日本史」ではなく「私」です。私がどんなふうにハーバードで授業をしているか、私がなぜ日本史を専門にするようになったのか、私がハーバードでどう評価されているか。それらについて書かれた本です。てっきり「ハーバードで教えている日本史の内容」の本かと思っていたので、この本はどんな目的で書かれたのかと困惑しました。すると、著者あとがきに「私にとって大切な記録になりました」と。この言葉に、この本の目的が表れているのだと思います。要は、日本史ではなく著者の記録なのです。

    もちろん、著者の日本史観やどのように日本史を教えているかについても書かれています。でも、著者のいうLady Samuraiの考え方は特に新しい視点だとは思えず、白熱教室の名前から想像する斬新さを感じることもなく、内容に入り込むことができませんでした。

    「私がハーバードで日本史を教えるということ」というようなタイトルであれば、こんなに拍子抜けすることもなかったと思います。著者の教え方はおもしろいし、語り口もとても魅力的なので、「教授法についてなのだな」という心構えで臨めば素直に読めただろうにと思うと残念です。

  • 「ためになった」と素直に認めたいのが半分と、同業者ゆえのやっかみが半分。

    本書冒頭で展開される「ザ・サムライ」的日本史観への批判、つまり、従来の日本史は男性の事績だけを記述する「半分史」にすぎなかった、という部分は大いに賛成だが、それは彼女の独創ではなかろう、日本の研究でもそれくらいのこと言ってる人はすでに沢山いるんじゃないだろうか?日本史専攻の方に聞いてみたい。結局のところ、彼女はそれを英語で流ちょうにプレゼンできたから評価されたにすぎないのでは?というのはやっぱり「やっかみ」だな。うん。

    それから授業に学生を引きつけるコツの部分でも、見習いたいティップスはいろいろとあったが、反面、「ハーバード大の学生もそんなの喜んじゃうんだ!」と思えるほどの過剰サービスにやや引いてしまう部分も。やっぱり履修者数の多寡で教員の能力を測るというやり方はそもそも問題があるんじゃなかろうか、と思ってしまうがこれもやっかみだろうか。

    最も印象的だったのは、アメリカの学生にとっては日本史なんてやってもやらなくても同じ、と言い切っていること。日本におけるイスラム史も状況は同じだ。その割り切りは掛け値なしに見習うべきだと思う。じゃあ何のために講義をするのか?という点では、この本の事例は手がかりを与えてくれるものの、すべて見習いたいとは思えないけど。

  • 外国人に教える日本史という点では意味のある学説であり論点かなと。著者の優れているところはひとえに教育者としての面だろう。題材が日本史だっただけであり、数学だろうが生物だろうが法学であっても人気の授業になったと思う。教えるという観点では非常に勉強になった。

  •  先に読んだ「ハーバード日本史教室」が期待外れだったので、リベンジのつもりで(そこそこ評判の良かった)本書を読んでみました。
     が、結果はこれも「期待外れ」でした。ハーバード生活を題材にした“エッセイ”ですね。新たな日本史の視点を提示していると著者は自ら語っていますが、視点の転換という点では網野善彦氏の中世史のインパクトには遠く及びません。

  •  痛快!
    『歴史に、センター試験の暗記教科、就職活動には意味がない文系科目というレッテルを貼るのではなく、生活の一部として位置付けてほしい』。なぜなら、『日本人としてのアイデンティティーを作るのに日本の歴史を知ることが重要』だから。

     学生の頃の日本史って、重箱の隅をつつくような問題でただひたすら暗記力を試されるような授業、試験で、本当につまらなかった。
     歴史の史実である点と点がつながって線になり面となる面白さに四十路を越えてから気付いたけれど、北川先生はそれを立体的に捉えていた!!
     なるほどな~とニヤニヤしながら読んでしまいました。
     例えば。
     北川先生が教える1542年から1642年、”この100年の中にある一定期間を選んでタイムトラベルした経験を書きなさい”…なんて楽しい問題なんでしょ!!
     信長、秀吉、家康に会いたければ信長が没する1582年までに行かなければならない。そんな風に自分の中に歴史を取り込んで、自分なりに構築する作業がたまらなく楽しく思える・・そんな私にとって、読むほどに頭の中がスッキリ整理されていく、そんな爽快感を感じさせてくれる内容でした。
     
     日本の歴史を、もっと知らねば!!

  • 最初は単なる自慢話の羅列のように思えたけれども、中盤以降アクティブ・ラーニングの手法を活用した成功の秘訣が披露されていて、参考になる点が多かった。

  • 日本史を今までと異なる観点から見直して、それをハーバードの大学で授業している人の本
    講義の内容が書かれているのかと思いきや、その日本史の講義内容のページ数は少なく、触り程度だった。本の内容の大半がその
    著者のサクセスストーリーであり、期待している内容とは異なった。

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