「地球のからくり」に挑む (新潮新書)

  • 新潮社 (2012年6月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784106104725

作品紹介・あらすじ

地球の定員は何人か? 石油は宇宙から飛来した!? 地球は謎の塊だ。その塊から人類は何を獲得してきたか? 第一線の地球科学者が最新知見を駆使し、エネルギーから紐解く壮大な人類史。科学と文明史が融合した快作。

みんなの感想まとめ

エネルギーと地球の関係を深く掘り下げた本作は、科学と文明史が交錯する魅力的な内容です。著者は、地球の中に存在するエネルギーや化学物質が常に一定であることを通じて、地球の「からくり」を解明しています。人...

感想・レビュー・書評

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  • うっとりと本書の世界観やスケールに浸る。ナショナルジオグラフィックの世界。いや、世界観とは言ったがこれは壮大かつ悠久の歴史をもつ地球の話だ。また、良い本と出会った。

    30人の奴隷たち。そんな話から本書は始まる。私たち人類は、今や1人で奴隷30人分のエネルギーを使いこなしているという。そのエネルギーはどのように生まれ、地球全体の収支バランスはどうなっているのか。日本に関して言えば、今、その動脈血管が詰まってしまって、バイパス手術かカテーテル治療が必要だ。

    だが本書はいきなり原油を指名しない。太陽光とシアノバクテリア、鳥の糞であるグアノなんかにも触れながら「地球のからくり」に挑んでいく。読み進めながら知的エネルギーも満たされる。

    地球もエネルギーも、人類の暮らしも一人の人生も循環していく。それは消費し朽ちて、また他の肥やしになる事でクルクル回るのだ。人生も誰かの肥やしになる。本書は思想の伏流として、「人類のからくり」をも解き明かしていくようだ。

    石油は炭化水素が多数混じりあったもので、炭化水素の分子量が大きくなるにつれて液体になり、そして固体になる。メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンと。世界平和のために懲罰を与えるかのような口調が石油の争奪に言い換えられ、何が本当かも分からぬまま、大きな争いと滅びの畝りに飲み込まれていく。

    19世紀末以降、人類の発展を根本で支え続けてきた石油は、かつて地球規模で起きた赤潮が元になっている。死の海と化した当時、海に暮らす多くの生き物が絶滅に追いやられた結果だ。それを求めて悲劇は連鎖し、しかし、それは良し悪しを保留し主役不明の戯曲と化す。

    地球は半径およそ6400キロメートルの球体で、その内部構造は、リンゴと似ている。薄い皮が「地殻」、真ん中の花が「核」と呼ばれる部分にあたる。そして、ジューシーな実の部分が「マントル」。この世界に真っ赤なジャムを塗って、いや、この世界のジャムを独り占めして、食べようとする奴がいても、それこそが因果か予定調和だ。だから「からくり」なのである。

  • 古本屋で売られていて購入
    →地質学、化学的視点で生物の起源から考えられて面白い


    動物園に行くたびに考えさせられた。なぜ私がおりのこちら側にいて、私よりも大きく体力もまさるトラやゾウがあちら側にいるのだろうか?と。
    →人類を万物の長にまでのしあげたのが、石油や石炭、あるいは原子核などから得たエネルギー


    人口は、制限されなければ等比数列的に増大する。食糧は等差数列的にしか増大しない。数学をほんの少しでも知れば、第1の力が第2の力に比べて巨大なことがわかるだろう(マルサス「人口論」

    京都から江戸まで
    →昔は二週間かかった

    アフリカに見るエネルギー
    動物は皆、自らの生きるエネルギーを他の生き物に頼っていて、その原点には必ず植物がいる
    →海なら植物プランクトン

    植物は光合成によって太陽エネルギーを有機物の中の化学エネルギーという形に変え、それを糧といて生きている

    要するに、動物は皆、太陽からもたらされるエネルギーによって生きてる

    つまり太陽エネルギーの総量が決まっているため、地球の生き物の店員があるはず

    人は植物が稼ぐエネルギーをあてに暮らす被扶養者

    地球が生み出すエネルギーの1パーセント近くを1種類で使っているのが人間
    →地球上には1000-3000万種の生き物がいる

    ■歌詞
    生命という装置を維持するためには

    シマウマは草を食み、そのシマウマをライオンが襲い、ライオンに寿命が訪れればハゲタカがその屍をついばむ。

    ハイエナ、オオカミ、チーター
    シマウマ、ヤギ、ウザギ、昆虫

    生き物は数十種類の元素から成り立っている物質
    生き物は、物質を単に通過させているだけのシステム

    ピカピカの10円玉が錆びてくすんだ色になるのは立派な化学反応


    植物が生み出したエネルギー100とするとシマウマなどが食べて体に蓄えられるエネルギーら大きく減って10となる

    ■地球のからくり
    一万年前の人類は、300-400万人
    →横浜市の人口くらい

    1万年前に農耕を発明
    →自分たちだけの食糧を育てること
    →自然の繋がりだけに頼った太陽エネルギーの利用法から手を切った

    古代ギリシアローマのときには
    →自然の2-3億人

    穀物の太陽エネルギー変換効率は他の植物に比べおよそ5倍もある

    食べ物は余っているが、均等に配分されておらず、8億人が上に苦しみら数億人が肥満状態にある

    ■農耕文明の歪み

    植物
    →炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リンなどからできてる
    炭素→空気から
    水素→水から
    酸素→水、空気から
    とれる
    しかし、窒素、硫黄、リンは土の中に含まれたものを吸収している
    →どんどん枯渇して行く
    →窒素こそが地球の店員を決める

    窒素は空気にも含まれるが、窒素原子二つが三本の手でガッチリと結びついている窒素ガス、
    植物も動物も、吸い込んでもそのまま吐き出すのみ、剥がせない

    ハーバーボッシュ法
    →窒素を生成できるようになった
    →1918年ノーベル賞
    この発明がなければ、現在の世界の人口は30億人ほど少なかった、らしい

    ■料理
    温度と圧力によって化学反応が変わる
    →料理という化学反応を促進している

    料理とは、フライパンや鍋の中で多様な化学反応が共存した系であり、したという科学センサーに馴染む物質を作り出す過程


    太陽エネルギーを超えるエネルギーは決して生み出せないし、十分な量のエネルギーを生み出すためには広大な面積が必要となる

    ■化学反応
    エネルギーを発生させるもの、と吸収するものの2種類
    →カイロと冷却シートなど

    石油ストーブ
    石油 ➕ 酸素 → 二酸化炭素 ➕ 水
    →狭い部屋で何時間もストーブ焚いていると、酸素が減り二酸化炭素濃度が上がるため、気分が悪くなる。また、水がガラス窓に結露する。

    化学反応とは、まるでレゴのブロックのようだ。
    原子というレゴのパーツの組み合わせを変えることだ。

    ■電力の始まり
    1882トーマスエジソンがニューヨークに火力発電所を作った
    →5年後、日本の茅場町に東京電灯が火力発電所建設

    火力発電の場合、石油が持つ化学エネルギーを電気エネルギーに変換する際の効率は4割ほど

    ■石油
    1バレル=160リットル(140キログラム)
    →第二次世界大戦後からオイルショックまで、2ドルほどだった
    →当時のコカコーラの100分の1の値段

    石油とは
    海底に降り積もったプランクトンの遺骸が熱によって熟成されてできた

    石炭は
    陸上植物の遺骸が泥炭地で、埋没して形成されたもの

    ■メソポタミア文明
    地表に染み出した石油のタール状の成分
    →アスファルト
    →水と混じらない性質、熱すると溶ける性質を利用している

    シュメール人が使っていた(接着剤として)

    ■中国唐の時代(10世紀)
    コークスの発明
    →石炭を蒸し焼きにしたもの
    ・煙の元になる成分が少ない
    ・燃焼温度が高い

    →中華料理が発達した

    ■日本
    石油があったが、燃やす時の硫黄などが酸化する匂いで「くそうず「臭水」」と言われていた
    →江戸の商人が精製して匂いを取り除き、「石油」と名付けた

    ■ペリー
    ペリーは日本人を威嚇するために黒煙を大量に発生する質の低い石炭をわざと燃やした

    スモッグとは、スモークとフォグ(霧)が合わさってできた造語

    ■フォルクスワーゲン
    →ドイツ語で国民の車
    →ヒトラーが多くの国民が購入できる自家用車の開発を命じた
    →ダイムラー社のフェルディナント・ポルシェ(ポルシェの創業者)

    ■石油とは
    炭化水素が主成分
    →水素が炭素化されたもの
    炭素原子は四本腕!水素は一本腕
    →炭素一つ→メタン
    →炭素二つ→エタン
    →炭素三つ→プロパン
    少ないと、気体→天然ガス
    炭素多いと、液体、個体→石油

    ヘドロの生まれ変わり
    →一億年前、有機物が含まれたヘドロが百万年に渡って世界中の海底に降り積もった

    なぜヘドロが起こったか?
    超大規模な赤潮が起こった
    →シマノバクテリア
    →→窒素固定という特殊能力
    →→大気や海水中に溶けている窒素ガスを体に取り込んで、アンモニアやアミノ酸などに変える
    →→ハーバーボッシュ法と全く同じこと!!

    なぜシマノバクテリアが大繁殖したか?

    地球はリンゴのようなもの
    →薄い皮→地殻
    →芯→核
    →実→マントル

    地球の内部では、ウランやトリウムなどの放射性元素が絶え間なく核分裂を起こしている
    →めっちゃ熱い(中心は5000℃)
    →はけ口は火山や地熱

    一億年前、激しい火山活動が起きた
    →地中の二酸化炭素が空気や水に溶けた
    →ひどい温暖化
    →北海道くらいまでサンゴ礁があった

    多くの生き物が死に追いやられた
    →シマノバクテリアの独壇場

  • 石油・石炭・天然ガス・原子力と、今では多くのエネルギー源を使っている人間ですが、これらはすべて地球が誕生してから長い年月を経て生成されたことをどれほど意識しているでしょうか。少なくとも日本では昨年(2011)の震災以来、原子力以外の発電方法が見直されてきている中で、石油・石炭・天然ガスの重要性が増してくることでしょう。

    この本では、化石燃料がどのように形成されたか、及び日本近海に多くあると言われている「メタンハイドレード」や、原子力エネルギー等が詳しく解説されています。類書を読んできたつもりですが、この本が一番わかりやすかったです。

    また、この本で「赤潮」の発生の仕組み、なぜ赤潮が問題なのか(p139)がわかりました。更には、窒素固定技術や黒船来航の原因について歴史の事件も踏まえて解説してあり歴史好きの私には興味深い内容でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・現在一人の日本人が1日に消費する総エネルギー量は30万キロジュール、毎日口にする食物はおよそ1万キロジュール(2400Kcal)なので、その30倍以上のエネルギーを使って生活している(p13)

    ・植物が光合成によって固定化する太陽エネルギーは、0.1%にすぎないが 1000億キロワット(1000億キロジュール毎秒)という莫大な量である(p20)

    ・人口が増えることになった転機は、1万年程前に人類が発明した「農耕」にある、人類が太地の一部を切り分けて自分たちのみの食糧を育てることを発明した(p27)

    ・植物の化学組成を多い順にあげると、炭素・水素・酸素・窒素・硫黄・リンとなる、4番目以降の元素は、土に含まれていたものを吸収している(p29)

    ・窒素こそが地球の定員を決めている元素である、以前はグアノ(鳥の糞や死骸が変質したもの)と呼ばれる肥料を欧州はペルーから輸入していた(p31、32)

    ・19世紀後半になると、グアノは肥料ではなく火薬(硝酸カリウム、ニトログリセリン)を合成する原料として消費されるようになった、グアノがなくなると、チリ硝石(硝酸ナトリウム)が19世紀前半に見つけられた(p35)

    ・ハーバーは高温高圧でオスミウムという触媒とともに反応させるとアンモニアが固定化されることを確立し、それをBASFへ売り込んだ、それを若いエンジニアのボッシュが3年後に工業化させた(p42)

    ・1913年に窒素肥料である硫安(硫酸アンモニウム)をビジネス化したが、第一次世界大戦勃発により、火薬原料の硝酸の合成プラントに変更した(p43)

    ・ドイツは講和会議にて、BASF社の工場閉鎖を免れる代わりに、アンモニア工業生産技術は開示することになった(p45)

    ・電気エネルギーに変身する第一次エネルギーは全体の40%、原子力は100%変更されるが、天然ガスは60%、石油は10%程度(p57)

    ・最初のオイルショックがくるまで、1リットルの石油が1セント、当時のコカコーラが1ドル(p67)

    ・シュメール人は多くの立像を残したが、接着剤としてアスファルトを用いた、水と混じらない性質や熱すると溶ける性質を利用(p70)

    ・コークスとは石炭を蒸し焼きにしたもので、硫黄などの臭いや煙の元になる成分が少ないうえ、燃焼温度が高いという長所がある、中華料理はコークスの火力により発達した(p73)

    ・イギリスでコークスが独自に発明されるのは17世紀、13世紀後半からは石炭の燃焼によって排出される煤煙が人類による初めての大気汚染をもたらした(p73)

    ・ペリーは日本人を威嚇するために、黒煙を大量に発生する質の低い石炭を燃やした(p84)

    ・三池炭田を購入したのは、三井財閥の一角の三井物産、落札価格は455万円、三菱に払い下げられた長崎造船所(9万円)比較でも高値(p92)

    ・ドイツ各地に建設された合成燃料の工場はピーク時(1944初頭)には650万トン(年間)を生産し、戦争で使用する航空燃料の9割以上を賄っていたが、その後に空爆を受けて壊滅的となった(p104)

    ・陸軍は府中市、海軍は大船・四日市・徳山に人造石油工場を作ったが殆どが破壊された(p107)

    ・新潟から秋田に点在する油田から噴出するガスのヘリウム同位体比の測定結果は、明らかに地球深部から漏れ出てくるガスを含んでいることを示した(p126)

    ・19世紀中ごろにスコットランドで開発された方法である黒色頁岩(海底にたまったヘドロ)を乾留してできた油(イギリス:パラフィン、アメリカ:ケロシン)は高価だった鯨油の代替品としてランプ用に使われた(p138)

    ・栄養分が流れ込んだ海はプランクトンが異常に発生する、その死骸が腐るとバクテリアによって分解されるので海水中の酸素が消費されるのが問題となる、他の生き物が生きていけなくなる(p139)

    ・赤潮により海が広範囲にわたって酸欠状態になりヘドロが溜まった、その一部が石油へ変質した(p144)

    ・和親条約により開放された函館では、釧路の西隣の白糠で採炭されたものが使われ、後に積丹半島の茅沼で採掘されたものが使われた(p152)

    ・三池炭田は当初はおもに囚人や外国人の強制労働で支えられて安価で石炭が供給された(p157)

    ・有機物が高温にさらされると、酸素ガスが十分にあれば二酸化炭素と水になるが、そうでない場合はメタンとなる(p167)

    ・日本近海では、静岡県から高知県沖に広がる「南海トラフ」において、ハイドレードが大量に存在していることを確認、新潟沖では海底にまで顔をだしてそこから溶け出したメタン泡が海底から立ちあがている(p175)

    ・当初天然ガスは水分を取り除かないままパイプラインで送られていたので、圧力の高いパイプライン内でハイドレートが形成され、目詰まりを起こして爆発につながった(p180)

    ・東京都、埼玉県南部、千葉県ほぼ全域に、大量の天然ガスが存在している、埋蔵量は日本の天然ガス消費量の5年分に相当、地盤沈下のためガス採掘は禁じられている(p183)

    ・毎年0.4%分の炭素が減っていく(炭素サイクル参照)が、そのを補うのが火山活動(p199)

    ・ウラン238とウラン235の平均寿命は、それぞれ65億年と10億年(半減期:45,7億年)もある(p205)

    ・陽子を繋ぎ止めていた莫大なエネルギーを放出する場合、瞬時に運動エネルギーに変えるのが原子爆弾、ゆっくりと電気エネルギーに変えるのが原子力発電(p209)

    ・核分裂によって生じる中性子の一部を核分裂しない原子に吸収させ、生成される中性子数を一定に保つことを「臨界」という(p210)

    ・広島に投下された原爆は50キロのウラン235が用いられて、1キロが爆発、その時に800億キロジュール(=石油換算で1000トン)が放出された(p211)

    ・1963年に核実験の舞台が地下に移るまでに原水爆あわせて2000発が世界中で爆破された(p212)

    2012年6月17日作成

  • ハーバーボッシュ懐かしい
    学びしかなかった
    エネルギーの良し悪し、歴史について

  • 炭素の輪廻

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    地球の定員/窒素固定の魔術/エネルギーの現実/化石燃料と文明/人工燃料の時代/大論争の果て/赤潮の地球/石炭が輝いた時代/燃える氷/炭素は巡る/第三の火

  • 読んでみてタイトルとは少し違う印象を受けた。どちらかというと歴史好きのためのエネルギー論。

  • 地質学の見地から地球のエネルギーについて書いた一冊。

    海洋無酸素事変、炭素の地球深部循環、メタンハイドレートの成因など最新の地質学の知見を解説しており、とても勉強になった。

  • エネルギーを軸に、地球史・人類史を説明した本です。

    著者の専門からはちょっとはずれた内容のようですが、すさまじいほどの博識ぶりを遺憾なく発揮していると思います。
    エネルギーという一貫したテーマで、ここまで大きなことから小さなことまで広く語れる人は、なかなかいないんじゃないでしょうか。

    とくに、石油・石炭などの化石燃料については、いい勉強になりました。

  • 地球温暖化問題を科学的に分析した『チェンジング・ブルー』を書いた大河内さんの本。各章の前におかれた引用が著者の知識の広さと深さを示している。「地球のからくり」というタイトルだが、そこからイメージされるものとは少し違っていて、化石燃料などを中心とした「エネルギー」の話がメインである。

    あとがきに「改めて実感したことは、科学的な知識を伝えることの難しさと、考えが活字になることの重さである。正直なところ「象牙の塔」に閉じこもっていたい私にとって、気が重い現実を突きつけられた感じだった」と書かれている。「私はエネルギー工学の専門家ではないので、本書に具体的な政策提言があるわけではない。しかし、あまりにも極端な政策が叫ばれる今日この頃、私の専門とする地球科学に歴史科学的な視点をブレンドし、私なりの義務を果たそうとした次第である」と続く。どこかしら、著者のためらいが感じられる。

    『チェンジング・ブルー 』は名作である。一通りエネルギーについて知ることはできて悪い本ではない(よい本だと思う)のだが、前著には熱量含めておよばないという印象はぬぐえない。その前に、義務を果たすというふうには思わなくてもよいのでは、とも思う。



    ---
    『チェンジングブルー』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032803

  • 文系の僕には難しかったが、知ることも多かった。
    植物の成長には窒素が必要で、窒素を取り出すためにアンモニアを作るとか、メタン・ハイドレートがメタンガスが凍ったものだとか。
    「宇宙全体で見ると物質は増えておらず、形を変えて存在しているだけ、つまり我々の体も元は別の物質だった」という話を過去に聞いて「なるほど。そういう意味では輪廻転生もありか」と考えたことがあったが、本書を読んで地球レベルでも物質は回転していることを改めて考えさせられた。

  • 新書文庫

  • この地球上で人類が生きていく上で、エネルギーの確保について再考させられる本。大河内直彦の本は読みやすく分かりやすく楽しい。

  • 「いいから、読んでみろ」と言いたくなる、圧巻の語り口。エネルギーに関する史実、科学的事実を興味深いエピソードを交えながら書き上げた本書は、今年読んだ中ではいまのところ、最も面白かった。特にエネルギーの変遷について、大きな流れ以外について、一応は専門である私も知らなかったことも紹介されており、網羅的に、しかも、楽しく知ることができる(私もこういう授業や執筆ができるようになりたい…)。同じ著者の「チェンジング・ブルー」も評判がよいのでこれから読むのが楽しみだ。

  • 地球物理学のようなタイトルだが、中身は地球上(地球内部も含む)のエネルギー収支のからくりにフォーカスしている。実質的にはエネルギー問題、環境問題の本であろう。最終章を除けば、歴史的・科学的な事実を淡々と散文的に----ただし問題の存在はきちんと指摘している ---- 述べているだけだが、非常に理解しやすい。ありがちな政策提言などはなく、ニュートラルな立場だ。これらを読み、原発再稼働やホルムズ海峡封鎖等の諸問題をどう捉えるかは読者次第である。

  • 大河内さんの新書。

    エネルギーを主軸に人間生活・産業活動の推移を描写。

    控えめながら「あとがき」には科学者論も。

  • エネルギーの収支という面から、地球上の現象や人類の活動の移り変わり、歴史についてトピックス事に考察。
    食物連鎖によりバランスをとっていた地球の中で農耕によりそのバランスを崩した人類。窒素固定によるその回避。
    薪から石炭、鯨油、石油から原子力へとエネルギー利用方法の進展やこれらの資源のエネルギー利用以外の利用方法などについても言及。
    色々と話題を提供するが、惜しむらくはだからどうだと言うような提言は見られない。

  • 科学者,技術者の紹介を交えながら,地球のエネルギー史を俯瞰した一冊.エネルギー開発の歴史(農耕のための固定窒素利用,石油,石炭,天然ガス,原子力)は,人類の歴史(政治,経済,戦争)の背景そのものともいえる.最後に,生物による炭素サイクル(年1回)と地球の炭素サイクル(数億年に1回;分解されない有機物の堆積,火山等による噴出)の差を,人間が活動のために化石エネルギーを使用することによって壊しているとまとめている.

    <キーワード>
    太陽エネルギー,光合成,窒素固定による酸素生成(シアノバクテリア),石油:有機物由来,石炭:植物由来

  • 2014/2/1読了。

    エネルギーの視点から歴史や現代社会を支える仕組み、人間社会と自然界・地球との関わりが表現された一冊。
    震災と原発事故が発生して以来、日本のエネルギー問題はリスクと経済の二面性に政治を加えた形で語られることが殆どであろう。
    大多数の人にとって、エネルギーといえば身近な電気(もしくは発電の為に必要なもの)とガソリン、灯油といった燃料であり、原発の経済性とリスクは家計事情と不安感情だと思われる。
    本書の窒素固定の章では、食糧生産の為の肥料の製造に、大量のエネルギーを消費する事実が語られる。これは、身の回りに溢れる工業製品や食糧もエネルギーを土台としており、その議論から逃れられないことを示唆している。
    本書を読んで、目先の経済と感情、政治の議論に付け加えるべきは、生活の土台としてのエネルギーの存在であり、社会の在り方そのものであると感じた。

  • 書名から想像してたのとはちょっと違って,人類とエネルギーと地球の話。雑誌連載の書籍化で,一章ごとに区切りがつくので読みやすい。内容もしっかりしてる。
    しかし70億人は殖えすぎた感ある。一億倍も周期の異なる炭素の生物サイクルと地球サイクル。この間をバイパスすることで人類はここまで急速に肥大してしまった。食糧生産のための窒素固定に,原発150基分のエネルギーを費やすようなやり方が,いつまで続くんだろうか。ちょっと先行きが不安になってしまう。

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著者プロフィール

大河内直彦 1966年京都市生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。その後、京都大学、北海道大学、米国ウッズホール海洋研究所など流浪の時代を経て海洋研究開発機構へ。現在、生物地球化学研究分野分野長を務めている。

「2023年 『石油のものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大河内直彦の作品

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