- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106104817
作品紹介・あらすじ
なぜ検察の不祥事はかくも続いているのか。その背後には、属人的な問題では片付かない「構造問題」が隠れている。司法取引などの手段を擁さないまま、自白を引き出すための「取り調べ」に全力を傾けるという捜査モデルが時代に合わなくなってきたのだ。特捜検事の犯罪が生まれる理由、メディアとの関係、「国策捜査」が行われる事情まで、検察取材経験三十年以上の第一人者が徹底解説。
感想・レビュー・書評
-
検察について記者の立場から分析した一冊。
検察の恐ろしさについて、これまで以上に深く知ることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
レビュー省略
-
『江戸時代の罪と罰』を読み、現代の司法制度について学びたかったので、読んだ。
まず、著者の村山治氏がどれほどの人なのかは分からない。検察関連の著書が多いが、実際に検察の内部にいた人間ではない。
しかし、検察という組織の概要はつかむことができた。
検察は起訴をする権利を持つ、巨大な権力である。そして、権力には必ず腐敗がある。法を扱う権力ゆえに、他の権力に比べて腐敗は少ないかもしれない。しかし、現実に腐敗があった。保身もあった。
司法制度改革が進んできた昨今ではあるが、さらなる改革が必要だ。
この辺りは別の本も読んで、勉強しよう。 -
供述調書で99%有罪になっていた検察と裁判所の密着、利権政治家から大蔵省を守る大魔神の役割が時代に合わなくなった。検察は国民の大切な共有資産、不祥事批判ではなくあり方の議論を。
CSIでさんざん聞かされた「証拠が語る」当たり前と思っていたのですが、日本ではそうではなかったことに、今更ながら驚きです。 -
検察の不祥事が何かと取り上げられるけど、それは捜査モデルが破綻しているからなんだって。
著者は検察取材の第一人者と言われているだけあって、取り上げる内容は含めて説得力がある。いろいろ配慮して、あえて伝聞を装っている部分もあるんだろう。
被疑者を検察のストーリー通りに供述を固める「割り付け」という手法なんて恫喝もいいとこ。強力な利益誘導も当たり前。
取り調べと調書を偏重するのが検察モデルの破綻につながると著者は指摘しているが、わが国も海外諸国に倣って刑事免責や司法取引を導入するなど刑事司法が大きく変わるようなことはこの先あるのだろうか。82点。 -
前に読んだ「冤罪と裁判」に引き続き、検察の不正などについても調べてみた。…闇は深い。
-
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:327.13//Mu62 -
「最強の捜査機関」とされる「検察」は一般にはあまり知られていない世界だと思うが、その詳細な内容を紹介した本書は興味深く読めた。
「警察」や「裁判所」は、目に見える存在であるし、その仕事もわかりやすい。
それに対して「検察」は、注目されるときは「ホリエモン事件」や「厚生労働省局長の無罪事件」「小沢一郎事件」のような時ぐらいで、日常的には何をしているのかよくわからないようにおもえていたが、本書でその活動の仕組みと「司法」での位置が改めてよくわかった。
しかし、本書で読む「厚生労働省村木局長無罪事件」や「小沢一郎事件」における東京地検検事の対応を読むと、これは「組織の腐敗」そのものではないかと思えた。
検事が証拠を勝手に改ざんしたり、取り調べでやり取りしていない内容を勝手に調書にすることは、明らかなる「犯罪行為」であるが、その理由が東京地検の取り調べの構造的問題にある以上、個別の検事がはじめて手を染めたとは思えないし、普段からその手法が組織内で蔓延していたとしても不思議はないと思えた。
これはやはり本書のテーマにあるとおりに「検察」の「破綻した捜査モデル」によるものなのだろう。だとしたならば、今後も同じような犠牲者がでるということなのだろうか。
「検察」のような「法律」と「司法的思考」により成立している組織ほど、硬直性が強く、状況の変化に組織の改革が追いつかないのだろうと思えた。
本書を読んで「権力は腐敗する。絶対権力は絶対腐敗する」という言葉を思いおこした。検察もその一例となるのだろうか。
本書は一般に知られていない世界をわかりやすく紹介するという意味では興味深いが、では検察はどうあるべきかという点のツッコミが浅く思える点がちょっと物足りなく思えた。 -
検察の操作方法への批判、特に取り調べ中心への批判や組織や制度の在り方についての批判が書かれているが、
検察への期待や尊敬といった著者の想いが行間に表れている。
一度はなりたいとおもった検察だから、これからも頑張って欲しい。 -
猫だまし(44ページ)って、本当?