- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106104886
作品紹介・あらすじ
「有機栽培」「規制緩和」「企業の参入」等のキーワードをちりばめて、マスコミ、識者が持て囃す「農業ブーム」は虚妄に満ちている。日本農業は、良い農産物を作る魂を失い、宣伝と演出で誤魔化すハリボテ農業になりつつあるのだから。JAや農水省を悪者にしても事態は解決しない。農家、農地、消費者の惨状に正しく絶望する。そこからしか農業再生はありえないのだ。徹底したリアリズムに基づく激烈なる日本農業論。
感想・レビュー・書評
-
絶望することで、希望が生まれると哲学者が言った。そうだ、正しい絶望こそ、希望となるのだ。
ただ、この本を読んで、絶望と言っているのは、単なるボヤキでしかない。
ファーマーコンプレックスの自虐型学者先生のぼやき。そして、たわごとのオンパレード。
これだけぼやけるのも、清々しい。
神門善久先生は言う「いまの日本の農業は、よい農産物をつくるという魂を失い,宣伝と演出で誤摩化すハリポて農業になりつつある」
ふーむ。どうも、そこから、出発しているので,神門善久先生はその視点からしか見れないようだ。
視野狭窄という世界観の中でボヤいてみせる。
「よい農産物をつくるという魂を失った」ということと、「宣伝や演出」をする農業がなぜハリポテ?次元の違うレベルのことをくっつけ、ばっさりやって、どこに今の農業の進むべきを指し示すのだろう。
神門善久先生は「名人は宣伝や演出はしないものだ」という。
あほかないな。その単純な名人論。あきれてモノが言えない。今は情報化時代。何を古臭いことを。
名人にたいする神門善久先生の憧憬みたいなものでいろどられている。
農業の牧歌的なノスタルジアでしかないところがある。名人が物語として登場するがそれが現実の農業をどう打開するのかということは、神門善久先生もよくわからないのである。
実際農業を経験せず,農業政策を研究すると言うジレンマの中で神門善久先生は いわゆる「ファーマーコンプレックス」に陥っているにすぎない。
そして,神門善久先生は、マニュアル農業もしくはチェックリスト農業といって、批判して 農業技能が低下していると断じる。農業技能をどう培うかは よくわからないので,「耕作技能の回復は不可能ではないか」耕作技能の「崩壊のメカニズムを記しておくことだ」と言ってボヤく。
あれあれ、あんたはレポーターかい。
「日本の農業は,耕作技能を失い,マニュアルに依存するばかりのへたくそ農業に席巻されつつある」というのが、この本のいいたいことだったらしい。マニュアルで農業ができたら,ハッピイだ。
それにしても農業に意見を言う『識者』に反吐を吐きながら、自分がその『識者』にはいっていないのが実に奇妙でもある。神門善久先生の自覚症状がないのは困ったもんだ。
消費者の舌が衰え、味覚が鈍感になっていることに対しては鍛えるしかないという精神論でのりきろうとする。それも、けったないな話である。
堆肥作りについて語ろうとするが堆肥が、窒素過剰であると指摘しているが『堆肥の場合は窒素分が固定されていて窒素分の供給を目的としていない』といっているが、窒素分を固定するという意味が分かんない。おい。おい。何を言いたいのだ。
『堆肥もどき』とレッテルを貼るが、それは具体的にどんなことなのだ。堆肥は C/N比というのがあるのだが,そのことも述べられていない。窒素過剰は有機栽培だから慣行法だからではなく
キチンと土壌分析をして対応すれば問題がないことだが。あくまでも科学的根拠がいる。
「尿素系の肥料は化学肥料に分類されているが、内容物は有機物だ」と言っているがめちゃめちゃ面白い。有機物ってなんだかわかっているのだろうか。
どちらにしても学者先生の上から目線で自分の経験を最大限の論証とし、主観的に日本の農業に絶望する様はあわれなファーマーコンプレックスの成れの果てと言えそうだ。
勝手に、絶望=ぼやいていろ。ファーマーコンプレックスの自虐型学者先生のぼやき。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「日本の農業のレベルは高くない」「有機農法だから美味しいとは限らない」「野菜工場の事業化は困難」といった農業の固定観念を覆すようなことが記されている。そして著者は「技術」ではなく、マニュアル化できない「技能」集約型の農業こそが日本を農業を救うと主張する。
若干著者の価値観が反映され過ぎているような感じはするけど、その分インパクトは大きい。僕も有機農法=美味しくて環境に良い、と考えていたけど、どうも思考がストップしていたみたいだと気付かされた。 -
いやぁ、久しぶりにガツンときた1冊でした。
(終章より)本来、「人間社会の愚かさに詠嘆する」というのは、小説とか芸術の仕事だ。小説や芸術に、万人に共通する愚かさが描かれているとき、人々は感動する。その感動のメカニズムをこの新書でやりたいというのが私の意図だ。
・・・(途中省略)・・・自分自身の嗚咽を搾り出すようにして書いた次第だ。
マスコミが伝えないハリボテ日本農業の実態!として、知らなかったお話がいっぱいあって、読んでいる途中には、これもあれもといっぱい付箋つけたのですが・・・最後には哀しみの世界にどっぷりでした。
(2012/12/30) -
有機栽培はまやかし、六次産業化は幻想、「奇跡のリンゴ」は欺瞞―。農業ブームを後押しする、これらのキーワードにことごとくノーを突きつける本書。
読む前に、農業がご専門のFB友達から「そういう見方もあるのだという程度にとどめた方がいい」と助言されたこともあり、いつにもまして冷静に読みました。
ただ、世間一般に流布する農業に対するイメージとはあまりにかけ離れていて、何度もある種の興奮を覚えました。
私は農業に関する知識が圧倒的に不足しているので、ここに書かれていることの大半について当否を判断できません。
それでも、首をひねる個所もあれば、なるほどと膝を打つ場面もありました。
膝を打ったのは、たとえば「日本人の舌は愚鈍化している」「マスコミや識者が農業ブームを過剰に演出している」など。ドキリとしました。
有機栽培だから安心、生産者の顔写真が貼ってあるから安心―。本当にそうでしょうか。自分の舌に自信がないから、こういう「能書き」に従順になってしまうのではないか。そんな著者の問題提起は、まっとうなものだと素人ながら感じました。「おいしいと感じるあなたの舌はまともなの?」と言われたら、多少なりともファーストフード文化に浴している私はぐうの音も出ません。
マスコミ等の問題については、こちらは関係者なので反省もしました。たとえば新規参入者であれば手放しで称賛し、その結果、つけあがらせて、当該の新規参入者の人生そのものを狂わせてしまう愚。肝心なのは、しっかりした農業技能を育むこと、その過程であるはずなのに、しばしばそうした本質を無視ないし軽視するのは、たしかに問題だと感じました。
本書を通じて、著者が何度も強調している「日本農業の本来の強みは技能集約型農業」との主張は、私を含め多くの方の賛同を呼ぶのではないでしょうか。
それにしても「技能不足で低品質で環境にも有害な農業が増えるくらいなら、『嵩』は少ない方がまし」とか、かなり辛辣な物言いが散見され、物議を醸すことでしょう。いろんな意味で刺激的な書です。 -
日本の農業のあり方、政策、世間での扱われ方に対する指摘。
視野が広がるとともに、大変勉強になりました。
手元に置いて繰り返し読みたいと思う本でした。 -
自分は神門さんを支持する。P103の「技能こそが生き残る道」のように、本当にこんなに上手くいくのか、と思う箇所もあるけど、基本的にそのとおりだと思う。
土づくり、本当にしっかり取り組んでいる農業者ってどれくらいいるんだろう。
技能、確かに自分も農業には生産性が足りないなど、規模拡大が必要だなどと考えていた。それも今まで何十年と。反省する。もう遅いかも、この著書が出て10年が過ぎてる。 -
今ひとつよく理解できない文章だった。
-
読むにしては少し古い本だが…
タイトルに惹かれたので。
農業に対する危機感を抱ける。作者の体験した話と親戚の農業に対する考え方が似ていることから、やはり色々問題があるのだなと実感できた。
これらの解決策はそもそも考えるのが難しいと思う。この本にもはっきりとは書いていない。
誰かに言われた通りではなく、これからどうするか自分たちが考えていかなければいけないことはたくさんある。
世界を知るのに良い。