続・暴力団 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.28
  • (6)
  • (39)
  • (50)
  • (14)
  • (3)
本棚登録 : 338
感想 : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104923

作品紹介・あらすじ

暴力団排除条例は、新たな恐怖の始まりだった。殺傷される市民、襲撃される企業、私刑される警察官…条例施行後に頻発する兇悪事件。なぜ一般人が狙われるのか?福岡で兇行が連続するワケは?警察はなぜ無力なのか?新しいシノギや殺しの手口とは?組長や現役幹部がその裏事情を激白!有名芸能人との癒着、半グレ集団の肥大化、出合った時の対処法など、誰もが知らないではすまされない「現代極道の最新知識」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 暴力団の基礎情報を伝える主旨だった前作とは方向性が異なる続編。福岡を中心に実際に発生した事件も取り上げ、おもに暴排条例施行の影響で暴力団を取り巻く状況に大きな変化があったことを示す時事的な側面が強い。なかでも全体を通して大きく強調している点は二つ。

    ひとつは暴力団の窮状と、それによる現象としての事件。2011年の暴排条例施行を受けて八方塞がりになり、急激に行き詰まった暴力団が一部で一般人を殺害するなど先鋭化する状況を指摘する。次に恐喝ではなく窃盗のような、本来暴力団がすべきではない窃盗などの犯罪に手を染めるケースが増えていること。そして続出する構成員の離脱。これを裏付けるように、刊行の2012年からレビュー時点最新の報告である2019年では構成員は約1/3までに激減していた。

    もうひとつは暴力団への警察の対応に関する考察。筆者によれば警察は暴力団の絶滅ではなく、本来は共存を望んできた。しかし、暴排条例は暴力団に警察の意図を超えた大きなダメージを与え、そのため派生して起こっている凶悪事件を抑えらず一般人を危険に晒したとする見解が提示される。全体に警察組織の暴力団への甘さを糾弾している点が本書の特色で、前作では抑え気味だった著者の主張が明確になっている。余談だが、警察への批判という意味では『桶川ストーカー殺人事件』が組織に与えた影響の大きさについても触れられている。

  • 法律に対する根本的な勉強不足が甚だしい。一度体系的に法学を学ばれてはどうかと思うくらい、思い込みや勘違いに基づいた説明が随所に見られ、一部ではそれを根拠に、警察は暴力団がなくなると困るなどと陰謀論のようなことを言うのはいかがなものかと。
    前作が好評だったせいか、筆に勢いがありすぎてレベルが週刊誌と新聞の間くらい。

  • 今日の暴力団は、昨日の暴力団とは違います。(中略)ひと言で言えば、暴力団の一部は兇暴で秘密主義のマフィアに近付いています。(P.4)

    暴排除例は直接対象とするのは暴力団や組員ではなく、「都及び都民」、つまりその地域の住民で、「都及び都民の責務」とあるかには、暴力団は「住民の責務」として住民が排除しなければならない(P.58)
    つまり、これまでの対決構図だった「警察対暴力団」を「住民対暴力団」に切り替えることで、暴力団を社会的に孤立させ、利益(資金)やサービスの供与、供給を立つ狙いを持っているといえる。

    結局、日本警察の暴力団政策が破綻しつつあるのではないかと著者は説く。時代も変り、暴力団も変りつつあることを警察は理解していない。警察にとって暴力団は持ちつ持たれつの必要悪だ。

  • 続編。暴対法、暴排条例の抱える構造的問題とは。暴力団の存在を法的に認める国家日本。国家警察が暴力団を温存しようとする動機とは。そして新たに広がる半グレ。暴力団を取材し続ける著者はまた厳しい目で暴力団とそれを温存する仕組みを断罪する。

  • どうしたらいいものか、解決策が見えない

  • 芸能界と暴力団、新しい法律。めまぐるしく状況が変わったと観るのが正しいよう。ではどうするのが一番いいのか答を出すのは難しい。個人的にはもう十分ヤクザ屋さんは潜っていると思う。条例にあるようなフロント企業の名前も本丸は出せずに居ると思う。関係のない中小企業が大ダメージを受けるような仕組みはちょっと考えもの。利益供与のところなんか無茶苦茶だと思う。ではヤクザを医者が観たらどうなんだ?それはよくて、食事やゴルフはだめなのか?その線引はなんなんだろう?暴力団が問題なのは確かだが敵役がいないと都合がわるいと考えている警察にも少なからず問題があるように思う。

  • 第一弾が結構ためになったんで、こっちも読んどかないとってことで。前作からそんなに時間は経っていないけど、暴力団界隈の事情は、結構変化があったんですね。自暴自棄になりかねない暴力団に、対して役に立たなそうな警察組織。怖っ。アカンやん、それ。と思いました。

  • 警察が国民と同じ方向を見ていない。なるほど、でした。
    法律で存在を認め、条例で締め出しを謀るのは、国民に矢面に立たせるため、とはなんとも恐ろしい

  • レビュー省略

  • 清原逮捕や少し前なら餃子の王将事件など、暴力団絡みの事件は多い。けれどもそもそも暴力団という組織がなぜ存在しているのか?彼らはどうやって食っていっているのか?よく「必要悪」などと言われるが、実際のところどうなのか?自分自身が暴力団とかけ離れたところにいるために彼らに対する知識は驚くほど少ない。本書は暴力団にとどまらず、暴力団に対する警察のあり方について知る上で良書である。

    本書は「暴力団の存在は否定されるべきものだ」というスタンスを基本としている(当たり前といえばそれまでだが)。そのスタンスに立った上で法や警察のあり方にも踏み込んでいる。たとえば各地で制定されている暴力団排除条例。なんとこの条例の主体は「暴力団」でも「警察」でもなくなんと「住民、市民」なのである。市民が暴力団と付き合わないというのは分からなくもないが、それじゃあ警察は一体何をするというのだ?

    ただし、仮に暴力団がいなくなったとすれば、これまでのパワーバランスが崩れることも必至だ。それでも「正当な」権力で平和を維持しようとするなら、警察はこれまで以上の働きが求められる。それに本書も指摘するように、警察はその食い扶持を(退職後でさえも天下りという形で!)維持するという意味で暴力団を本気で無くそうとは思っていない。つまり警察は全然本気なんかじゃないわけだ。

    結局、暴力団を減らすためにはそもそも暴力団に入る若者を阻止することしかないのではないだろうか。でも経済状況の悪化、学力の低下、学力の軽視(一部の層だが)などが進んでいると思われる現在、暴力団とまではいかずともそれに近い半グレは増えていく気がする。そしてそれがまた権力を持ち始めて、それに警察が乗っかったりするのだろうな…頭痛い。この本を読むと警察不信もますまふ強くなるよ。個人的には前作『暴力団』よりも面白かったし勉強にもなった気がする。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ノンフィクション作家。ジャーナリスト。1942年、東京都に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、フリーに。著書には『暴力団』(新潮新書)、『血と抗争 山口組三代目』『山口組四代目 荒らぶる獅子』『武闘派 三代目山口組若頭』『ドキュメント 五代目山口組』『山口組動乱!! 日本最大の暴力団ドキュメント2008~2015』などの山口組ドキュメントシリーズ、『食肉の帝王』(以上、講談社+α文庫)、『詐欺の帝王』(文春新書)、『パチンコ30兆円の闇』などがある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞を受賞した。

「2021年 『喰うか喰われるか 私の山口組体験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

溝口敦の作品

続・暴力団 (新潮新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×