「忠臣蔵」の決算書 ((新潮新書))

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 257
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104954

作品紹介・あらすじ

吉良邸討ち入りに費やされた軍資金は「約七百両」-武器購入費から潜伏中の会議費、住居費、飲食費に至るまで、大石内蔵助は、その使途の詳細を記した会計帳簿を遺していた。上野介の首を狙う赤穂浪士の行動を金銭面から裏付ける稀有な記録。それは、浪士たちの揺れる心の動きまでをも、数字によって雄弁に物語っていた。歴史的大事件の深層を一級史料から読み解く。「決算書」=史料『預置候金銀請払帳』を全文載録。

感想・レビュー・書評

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  • 衝動買いしましたが、マニアックすぎて最後の方はついていけませんでした。前半は面白かったです。

  • 昔読んだ忠臣蔵の小説では、瑤泉院が請払帳を読んで、浪士達のこれまでの苦労を思い涙する、という場面が印象に残っていたが、「このことか!」と数年を経て腹落ち。確かに、お金の動きから浪士達や内蔵助の苦労が透けて見える。

    歴史小説とは全く違う切り口で大変面白かった。

  • 最近読んだ新書の中では間違いなくNo.1!
    いやー面白かった。
    歴史に詳しくない人でも面白いと感じられる1冊。
    討ち入りまでのあらゆるお金の動きをまとめた「金銀請払帳」が残っていることもすごいが、
    金一両などを現在の紙幣価値で12万と据え、とにかくわかりやすくまとめているこの本がすごい。

    そして分析に沿って討ち入りまでの葛藤、苦労が見えてくる。現代とそんなに変わらないのもまた面白いんだよなぁ。
    退職一時金として「割賦金」を支払い、残り700両=8200万ほどを内蔵助が抱える。
    最初は討ち入りというより、仏事費などにお金を1200万使ってたりするのも気持ちが見えて面白い。
    そして討ち入り実行が現実的になると
    上方と江戸の往復の旅費や、リストラされて家賃も払えない仲間たちの家のお金を払ってあげたりとお金の出費がとてもリアル(笑)
    討ち入り前の居住地をまとめたマップも面白い。江戸城近くはやっぱり家賃が高い(笑)

    赤穂浪士の話は著者も言っている通り、心情や動きに注目した本は多いけど、
    経済的側面に注目した本はなかなかないので貴重な1冊。いやー面白かった。

  • ことを成すには、やっぱりお金が必要。改めて感じた。

  • 20201124

  • 史料『金銀請払帳』に記された予算支出額と使途内容から、赤穂浪士の動きを分析した一冊。現代人の価値観では武士の倫理観は難解。討ち入りを美談と言われても腑に落ちませんが、浅野家全体に対する元家老・大石内蔵助の忠誠心から辿り着いた結末としては納得できます。美学だけで予算管理はできません。周りから色々言われても、内蔵助に標準以上の統率力と管理能力が備わっていたから成功したのだと思いました。

  • はじめに
    序章   赤穂事件と「決算書」
    第一章  お取り潰しと清算処理
    第二章  軍資金と浪人生活
    第三章  討ち入り計画の支出項目
    第四章  討ち入りの収支決算
    終章   一級資料が語るもの
    おわりに
    主要参考史料一覧
    史料 『預置候金銀請払帳』

  • 映画「決算!忠臣蔵」はまだ観てないけど、
    その原作としての本書を読んでみた。
    小説のような面白味はなかったけど、
    細かな資料が現存していることに驚いた。
    討ち入り直前には、お金がなくなっていたこと。
    赤穂浪士の切腹の意味。
    吉良上野介をなぜ卑怯者とするかなどがよくわかった。
    また、討ち入り浪士の子孫たちが、
    それぞれに取り立てられていることも興味深かった。

  • 幕藩体制下の藩政や武士階級の階層別身分制度、流通貨幣の現在相場換算などが分かりやすかった。
    史料に基づいた研究書となれば、専門用語が多くて苦慮するが噛み砕いた内容解説と金銀請払帳の史料批判が大変面白かった。

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著者プロフィール

1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授などを勤めた。1992年『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書は『寛永時代』(吉川弘文館)、『日本史の一級史料』(光文社新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本の歴史』『武士の人事』(角川新書)など多数。NHK Eテレ「知恵泉」を始め、テレビやラジオにも数多く出演した。2020年逝去。

「2022年 『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全16巻+別巻4冊定番セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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