人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか (新潮新書)
- 新潮社 (2013年3月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106105104
感想・レビュー・書評
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抽象的思考について。
タイトルが森さんぽくないと思ったら、編集部に一任したらしい。もとのタイトルは『抽象思考の庭』とのこと。
抽象的に考えるための頭を「庭」のように捉える、という発想らしい。分かるような、分からないような…。
あとがきが、読んでよかったと思える、少し嬉しい終わり方。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バールのようなもの
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何か物事を捉える際、思考の余地を残すため敢えて抽象的な枠組みを用いるのはそれなりに有用という事が腑に落ちた。具体化することで物事を把握するのは容易だが、その反面誤った捉え方をしているという危険を常に孕んでしまうのね。(同じようなことをタレブがブラックスワンで散々語っていたみたいだけど、言い回しが冗長過ぎて全然頭に入らなかった)
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面白かったです。抽象的に考えるとはどういうことか、ということを様々な視点から論じられています。かなり読みやすいです。
人との関わり方、発想する、創造するなど
▽以下引用▽
2018/03/28 15:54
p.35
だんだん文章が速く読めるようになる。これは、読む能力が増したように錯覚する人が多いが、そうではない。言葉が表していたはずの元のイメージを頭の中で展開せず、ただ言葉を鵜呑みにして処理するようになっただけだ。こういった状態で読んだものは、次第にインパクトが薄くなるし、スグに忘れてしまうようにもなる。本を沢山読む人、読むのが早い人ほど、この傾向があるように観察される。
p.37
抽象的にものを見ることで、適用できる範囲が広がり、類似したものを連想しやすくなる。
p.52
現実に見えるものの多くは、誰かによって見せられているもので、その人によって都合の良いように加工されているため、そのまま受け取ってしまうと、結果として自分の考えに合わない方は流され、渦の中へ吸い込まれていくことになる。別の言葉で言うと、知らず知らず、他者に「支配」されてしまうのである。
p.61
人間関係においても、「楽しさ」には、ある程度の苦労が必要となる。我慢をして初めて得られる、という関係だ。
個人の行動に対して、「どうしてか」が理解できないから腹が立つのだ。
冷静さに必要なのはこの「理解」なのだ。
人を理解するには、対話だけでなくその人の行動、過去の履歴などに基づいて、仮説を立て、「きっとこう考えているのだろう」と想像することで、理解ができる場合の方が多い。たとえそれが誤解だったとしても、それで自分が納得できれば良い。
p.63
他者を観察する
具体的な個々の言動にあまり囚われることなく、全体的な傾向として、大まかにイメージすれば、その人はどんな風に考えやすいか、どんな行動を取りやすいのか、という一種の「人間の型」が把握出来るだろう。
この全体的とは
・同じような人と比較する
・全く反対の人との違いに注目する
・同一の人であっても過去の別の行動を踏まえて考える
というような広がりを持って、ぼんやりと関連させてイメージする、という意味である
でも決めつけてはいけない
あくまでぼんやりと捉える
分析結果を全面的に口に出さない方がいいし、それはあくまで仮説であるということに留意すること。
p.68
相手の身になって考える
→思いやり
→相手の反応を見越して、より有効な表現方法を選択するという戦術が取れる→自分にとっても有利
p.69
客観的な視点を持つには、まず主観的な自分の視点がどういうものかを把握する必要性がある。←排除すべき具体性とはなにか、を把握する必要があるから。
p.72
抽象的に人を見る人は、好き嫌いで人を判別せず、「この人からなにか自分に得られるものはないか」という興味を絶えず持っているものである。好き嫌いだけで判断していないために、「思慮深く」なる。そしてこの「思慮深さ」というものは、思慮が浅い人にはまったく認識さえできない。
p.122
注意したいのは、芸術を評価する目というのは、裏データを知る必要がないことである。
その作品は誰が作ったのか、どんな経緯で作られたものか、社会でどう受け止められたものか、というデータを知ってから評価するのでは遅い。そういったものを一切捨て去ることが、芸術を見る審美眼であり、まさに抽象である。頼りになるのは自分の感性だけだ。
p.123
これは小説、詩なども同じである。感じたものを言葉にするのは、感じたものの1面だけを表したもので、全体のイメージではない。
「人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか(森博嗣)」 http://amazon.jp/dp/4106105101/ #読書管理ビブリア -
著者が考えていたというタイトル「抽象思考の庭」の方がイメージが掴みやすいかも知れません。
でも、このざっくりしたタイトルも、本書に合っている気もします。端的に言えば、抽象思考のススメ、といったところでしょうか。
ですので、あまり具体例というのは出て来ません。
・余分な枝葉を排する事で本質を掴めるし、本質を掴む事で他の事にも応用することが出来る。
・一朝一夕で身に着くものでもないし、誰かに教えてもらえるものでもない。
・常日頃から抽象的にぼんやりと捉え、決めつけず限定しない。
終始一貫として、仕事だけでなく、人間関係や幸せへの追求において、抽象思考の有用性が説かれています。
ただ、なるたけ抽象的に考えようとしたとしても、なかなか応用までは難しいと思ってしまったのは、自分の思考がまだまだ主観的である事を捨てきれていない証拠なんだろうと思います。。。
具体的なものが悪い訳ではないけれど、はっきりしていて分かりやすい分、そこで思考停止してしまうという指摘には、考えさせられてしまいました。
『もうちょっと考えよう』。自戒の意味を込めて。
図書館スタッフ(学園前):あんりみ0
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帝塚山大学図書館OPAC
https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/762703 -
2016年7月24日購入。
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執筆中の原題は『抽象思考の庭』だったとの事です。そちらのタイトルのほうが素敵だと思いましたが、本の内容が伝わりずらいからかな?
あれこれ考え込んでしまう質が悩みの自分にとっては、考え込むそれ事態は悪い事ではない、問題があるとしたらその手法であるという内容に勇気をもらいました。
考えに行き詰まって困ったときに開き直せば、その都度に、新しい発見ができそうな奥深い内容だと感じました。 -
これは非常に大事なことを伝えている本だ。抽象的に考えることが始り。(主に)ビジネスはそこからPDCAが回るのではないか。自分としては発想はイノベーション的じゃないとっ!て思っちゃって自由じゃないな…と思った。
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理系の研究者であり、作家である森先生のことをつい最近知りまして、強く興味を持ちまして、ここ数年で出版された新書を三冊ほど購入したうちの一冊目。
物事に対する考え方について知ることができたよ一冊でした。
付箋は12枚付きました。 -
新書も結局は好みで左右されるという発見。