経営センスの論理 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.58
  • (45)
  • (145)
  • (113)
  • (23)
  • (9)
本棚登録 : 917
レビュー : 131
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105159

作品紹介・あらすじ

会社をよくしたければ、スキルよりもセンスを磨け! 「よい会社」には根幹の戦略に骨太な論理=ストーリーがあり、そこにこそ「経営センス」が現れる――。気鋭の経営学者が縦横に語り尽くした「経営の骨法」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 読了。戦略は「こうなるだろう」という先読みの仕事ではない。「こうしよう」という未来に向かった意志表明だ。経営には「こうしよう」しかないはずだ。聞きたいのは「こうしよう」という商売の意思表明だ。全てのビジネスマンの必読書だと思う。是非おすすめします!!

  • ”『ストーリーとしての競争戦略』著者・楠木建さんの、軟らかな一面が知れて楽しめた一冊。

    内容的に、気になったキーワードは以下。
    ・好き嫌いの自意識 → センスにつながる。
    ・イノベーションは供給ではなく需要でのインパクト
    ・業界の位置エネルギー
    ・多様性はベースにすぎない → 統合の質が 成果につながる
    ・日本は一意専心の国? ポートフォリオ経営を目指すな!?
    ・注意のフィルターのレベルを上げて情報を絞る → アウトプット・成果を生み出せ

    自分ごととして考えると、「人」と「感情」と「コミュニティ」に関するフィルターレベルを上げ、質・量ともに一段あげたアウトプットへとつなげていきたいなと思えた。もちろん、マーケティングしながら独自の切り口を通じて。


    <読書メモ>
    ★どうすればセンスが磨かれるのか。(中略)物事に対する好き嫌いを明確にし、好き嫌いについての自意識をもつ。これがセンスの基盤を形成するということは間違いない。(p.21)

    ・最近いろんな経営者と話をしていると、よく出てくる言葉が「生き残りのため」。「で、どうするんですか?」と聞くと、「グローバル化せざるを得ない」と返ってくる。ここで僕は全力で脱力する。(略)「ざるを得ない」というけれど、そもそも誰も頼んでいないのである。(p.32)
     #どこかで聞いた話……。「ねばならない」は個人であってもよい結果を生まない。
      → 自信や明るさは「こういうことをやるぞ!」という自らの意志から生まれる。(p.34)

    ・流行を予測するのではなく、すでに流行しはじめたものをいち早く取り淹れてつくって売れれば当たる確率は高い、という戦略だ。(p.39)
     #ZARA の戦略。

    ★イノベーションとは供給よりも需要に関わる問題である。多くの人々に受け入れられて、その結果、社会にインパクトをもたらすものでなければイノベーションとは言えない。(p.44)

    ・アマゾンのコンセプトは「顧客の購買意思決定のインフラ」になることにあった。(p.56)

    ・逆説的に聞こえるが、常に非連続性を追求しているように見えるアップルは、その実、かたくなな連続性の信者でもある。「これまでと違う新種のユーザー」にはまったく期待していない。顧客が「する」ということに関しては、アップルはIT業界の中でずば抜けて「保守的」なのだ。非連続の中の連続、ここにアップルの凄みがある。(p.65)

    ★製薬業界で競争している企業は、ほとんどの場合、景気の善し悪しにかかわらず、航空業界にいる企業よりも高い利益水準を長期的に維持している。業界の競争構造はその業界が持っている「位置エネルギー」のようなものだ。その業界に「いる」ということ自体が利益の源泉となる。(p.69)
     #IT業界の位置エネルギーは?

    ・漫然と森を遠くから眺めているだけではアクションは生まれない。目につく葉を1枚2枚見ただけでわかったつもりになるのも早計だ。木(戦略)に目を向ける。これが戦略思考の原則だ。(p.75)
     #外部環境や業界構造のせいにしない!

    ・追求する競争優位の次元が(多分に意図せざる成り行きで)転換する、その結果、従来の文脈では弱みだったことが弱みでなくなり、あまつさえ新しい強みの源泉になったりする。ここに「攻撃は最大の防御」という論理の本質がある、ということだ。(p.88)
     #楠木さんのH&Dとの戦いw。

    ・英語が必ずしも流麗でなくても、コミュニケーションが上手な生身の人間をモデルにすることが大事だと思う。ここで挙げた方々は、面白いことに、日本語で話しているときと英語で話しているときとで、受ける印象にまったく違いがない。(p.113)

    ★多様性それ自体からは何も生まれない。多様な人々や活動をひとつの目的なり成果に向けてまとめあげなければ意味がない。ようするに多様性の先にあるもの、つまり「統合」にこそ経営の本質がある。経営の優劣は多様性の多寡によってではなく、一義的には統合の質によって左右される。(p.119)
     #多様性はベースにすぎず、そのうえでの統合の質が決定的な差になる!★

    ・複雑性と不確実性、どちらも厄介ではあるが、複雑性のほうがまだましだというのが僕の考えだ。(p.145)

    ★ここで大切なのは政治がきちんとメッセージを発することだ。しかもそのメッセージは骨太の「ストーリー」になっていなければならない。(略)ストーリーこそが合意形成のドライバーになる。(p.146-147)
     #経営のメッセージも。

    ★「『韓国的経営』なんていうものはそもそもないし、シンガポールでも『シンガポール的経営』という言葉を聞いたことはない。『日本的経営は是か非か』とか『日本企業のものづくりは大丈夫か』とか、国を単位にこれほど活発に経営が議論されている国は日本だけではないか」(p.151)
     #韓国人の経営学者で、シンガポール国立大学で教えている楠木さんの友人のセリフ。
     #日本は、やたら自分たちを1つにまとめて安心したがるのかな(同調圧力を自らにかけている?)。★

    ★日本の企業がポートフォリオ経営をあまり得意としないということはわりとはっきりした傾向だと思う。(略)
     これがどうも日本人は苦手なのだ。たとえばリーマンショックが起きると、「これまではなんだったのか」と考え込んでしまう。(略)
     「これからどこに行くのか」だけでなく、「これまで何をしてきたのか」を重視する。事業は、剣道や柔道と同じ「道」なのである。(p.154-158)
     #これ、面白い考察。
     #「一意専心の中小企業」スタイルが、日本人にはあっている?

    ・これほど長期にわたって「有名な会社」が変わらないということのほうが、「ラーメンを食べたことがない人によるラーメン店ランキング」の存在よりも不思議である。(p.188)

    ・日本の若者には「周囲の人(その中心にいるのが親)が喜ぶ」ということを、暗黙裡にせよ、会社選びの基準としていまだにわりと重視しているように思う。(p.201)
     #GPTW のランキングに注目を!

    ★「僕の理想って、『非効率な社会』なんですよ。(略)
     全体の効率化をやるとつまらないでしょう。どの街に行っても同じチェーン店しかないみたいな社会って、効率的かもしれないけど、つまらない。それよりも非効率な社会をもって、効率化を求めてくるグローバル化の圧力に対して拮抗できるような、そういう世界をどうやってもつくりたい。もっと無駄なものを世界中に増やしたいんです」()
     #ドワンゴ 川上量生さんの発言。

    ・ハーバート・サイモンは、「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」という名言を残している。「情報」が増えれば増えるほど、一つひとつの情報に向けられる「注意」は減るわけだ。(p.219)
     #そりゃ、そうだ。で、注意のフィルターの話につながる。

    ★注意のフィルターのレベルを上げて、インプットする情報量を削減することだ。アウトプットに直結した注意のフィルターを通じて情報とつき合う。フィルターを通過してこない情報は、仕事にとって当座は必要ないわけだから、無視するに限る。(p.226)
     #自分の注意のフィルターは? もっと絞る必要ない? で、アウトプットを意識して。

    ・主体的・自発的に勉強を続けるためには、とにもかくにも論理(化)の面白さを経験ですることが大切だ。見たり聞いたり読んだりするときに、いつもその背後にある論理を少しだけ考えてみる。(略)論理の面白さにいくつかのパターンがあることがみえてくる。すると、自分が面白がるツボも自覚できる。(p.233)

    ・どんな分野のどんな仕事でも、優秀な人というのは「面白がる力」の持ち主だ。(p.235)

    <きっかけ>
     2013/7/11 ボスからお借りした5冊のうちの1冊。”

  • 『ストーリーとしての競争戦略』(参考:http://d.hatena.ne.jp/muranaga/20100810/p1)の著者、楠木先生の面白い講演を新書にまとめた印象の本である。一見「経営漫談」みたいだが、先生の洞察力・論理・センスが感じられる。

    たとえばイノベーションについては:
    ・イノベーションの成功について「(技術的に)できる」ことと、「(大多数
    の顧客がかならず)する」ことの違い、を理解しているのがアップルであり、アマゾン。
    ・ユーザインタフェースなど、非連続性を追求しているように見えるアップルだが、顧客がかならず「する」ことに対しては、非常に保守的であり、連続的である。
    ・イノベーションのために取り組むべきは今そこにあるニーズ。

    経営者、戦略、グローバル化、日本、よい会社、思考、といったテーマがとりあげられている。

  • 経営センスの論理 (新潮新書)
    2013/4/17 著:楠木 建

    すぐれた戦略をつくるために一義的に必要なのは何か。それは「センス」としか言いようがない。本を読んでスキルを身につけて、それでうまい戦略がつくれたら誰も郎いない苦労はしない。必要な要素は大半はセンスなのだ。

    本書はそのセンスについて以下の6章により紹介している。
    ①経営者の論理
    ②戦略の論理
    ③グローバル化の論理
    ④日本の論理
    ⑤よい会社の論理
    ⑥思考の論理

    人へ形容する言葉として「センスが良い」という表現は、私が最も憧れる誉め言葉である。恥ずかしながらまだ人様から「センスが良い」と言われたことは一度もないかもしれない。

    元来、センスとは生まれ持った才能がその要素を形作っていると思っていたものの、そうではなく、センスは後付けでも育て上げることができるということが本書からも良くわかった。

    しかし、それは難しく、身につけよう・育てようと思ってはじめてその土台に立つことができる。もちろん生まれ持った才能や他の要素からも形作られるケースはあるものの、それはほんの一握りの限られたスーパーマンでしかない。

    本書では、いろいろな視点で「センス」を切り口とした著者の面白話がちりばめられている。楽しく書いてあり、飽きることなく、かつ想像以上に後味がしっかりと残る特異な一冊。

    今の自分の迷いにも大きく背中を押してくれた。

  • ビジネス

  • vol.203 「スキル」と「センス」はどっちが大事!?あの大ベストセラー著者の待望の新刊http://www.shirayu.com/letter/2013/000410.html

  • 競争戦略の専門家による、経営センスについて記した本。著書「ストーリーとしての競争戦略」が、かっちりした内容であったのに対し、本書は、著者の考えをざっくばらんに述べたものと言える。口語調であり話もあっちこっちに飛ぶが、興味深い箇所が多く、気軽に面白く読めた。
    「(スキルよりセンスの説明)モテようと思って雑誌を読む。「こうするとモテますよ!」というスキルめいたものが山のように紹介されている。そこにあるファッションやデート方法をそのまま全部取り入れたらどういうことになるか。ますますモテなくなる。間違いない」p15
    「好き嫌いを自分で意識し、好き嫌いにこだわることによって、経営者として重要なセンスが磨かれるのではないかというのが僕の仮説だ」p21
    「「ノリがいい」会社ほど、好き嫌いについてコミュニケーションが多い。高度成長期にホンダやソニーといったグローバルブランドが育った背景にも、会社にとって重要な判断ほど、最後のところでは好き嫌いで物事が決まっていたということがあった」p23
    「「何枚もセーターを着て家の中にいると、外の寒さがわからない。寒さを肌で感じないと経営はできない」とウェルチ(GEのジャック・ウェルチ)さんは言う」p25
    「(柳井正)「経営は意志。意志は言葉でしか伝わらない。人が書いた原稿を読み上げるだけの経営者がいるが、何を考えて経営しているのか、不思議としか言いようがない」」p27
    「その経営者が「何をしない」ことにしているのか。これが経営という仕事を深く理解し、その経営者の資質や能力、スタイル、されには経営哲学を深く読み解くカギだと僕は考えている(時間を作るために何を切り捨てているか)」p31
    「(EUの公的支援ガイドライン)「経営不振企業の市場での淘汰は必然であり、経営破綻に対する公的支援の制度化は絶対に容認されない」」p102
    「「手段の目的化」は古今東西の経営の失敗パターンとしてもっともよくみられるものだ」p104
    「昔から「イギリスの最も競争力のある輸出品は英語だ」という」p108
    「人間が何かに継続的に取り組めるとしたら、その理由には2つしかない。「意味がある」と「面白い」、このどちらか、もしくは両方だ」p227

  • 図書館

  • エッセイやね

  • 経営に必要なのはセンスだあ。

全131件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一橋ビジネススクール教授。専攻は競争戦略。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授などを経て、2010年から現職。著書に『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『経営センスの論理』(新潮新書)などがある。

「2018年 『世界を動かすイノベーターの条件 非常識に発想し、実現できるのはなぜか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

経営センスの論理 (新潮新書)のその他の作品

楠木建の作品

経営センスの論理 (新潮新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする