キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)

著者 : 久松達央
  • 新潮社 (2013年9月14日発売)
3.99
  • (38)
  • (69)
  • (35)
  • (1)
  • (1)
  • 本棚登録 :540
  • レビュー :65
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105388

作品紹介

日本農業は「誤解に基づく神話」に満ちている! 有機が安全・美味とは限らない。農家イコール清貧な弱者ではない。有機野菜を栽培し、ゲリラ戦略で全国にファンを獲得している著者による、目からウロコの農業論。

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • タイトル通りの、非常によくできた農業論。

    農地という税制上優遇されている環境が、農家の発展を
    妨げているという指摘。
    旬のものは旬の季節に食べるべし(冬のほうれん草は、おかしい)。
    有機でなくても、安全な野菜は作ることができる。

    著者自身ストーリーマーケティングと言っているように、
    卵一つでも、鶏の姿や生産者の顔が浮かぶようなものを
    提供することで、値段以上の価値をあげる、などは見事。

    感心した箇所は、今回の震災の放射能問題について。
    農業経営者として、風評被害で支持が落ちるようでは
    経営者として負け。
    個人と個人が、強くつながっている関係を築くべし。

    こないだの小ざきの先代社長の言葉、お客の信頼があれば
    問題が起こっても商売は再開できる、につながる
    商売道ですね。
    久松農園、必ず生き残る農家でしょうね。

  • 新規就農を考えている人にも・・ 食に対して 不安や疑問を抱えている人にも読んで見て欲しい・・
    消費者の目も経営者の目も持った著者だから こんなにわかりやすいのかもしれない・・

  • 有機農家が語る、有機野菜の実態と農業論。

    うんうんと頷きながら一気読みしました。

    消費者には普段口にしている野菜の実態を知るために、生産者(特に小規模農家)には農業経営の指南書として、一読の価値ありです。

    『キレイゴトぬきの農業論』特設ページ
    http://hisamatsufarm.com/news/988.html

  • 個人的な感想ではあるが今まで読んだ農業の本のなかで一番現場サイドのことが分かりやすく、読みやすく書いてあると感じた。
    特に、有機のこと、農薬のこと、そして放射能のことなどが色んな人にわかってもらえるように書いてあると思う。
    農業はいろいろな側面があり、一概に農業で括ってはいけないと私は常々思っているが、この本を読めば農業のほんのさわりがわかってもらえるのではないか。

  • 「有機農法だから安心」という論理は、ハッキリ言って2周遅れです。

    無農薬・無化学肥料の有機農法野菜を少量多品種で手がける久松農園から、このような意見を聞けて膝を打つ思いだ。有機野菜じゃなければならない、という原理主義は論外としても、未だに新規就農するに際して自然農だ、無農薬でやるのだ、という人たちに欠けている戦略性、それについて書かれている本である。

    無農薬・無化学肥料とは美味しい野菜をつくるための手段であって、そこに至る手段としては別に慣行農法だろうが水耕栽培だろうがどれでも良い。一方で、新規就農という土地も資本もネットワークもない状況で採るべき戦略として、無農薬・無化学肥料というニッチな分野を狙うのはアリだと思う。

    自分自身、田舎に住んで有機農法で野菜を育ててみたが、虫や雑草との戦いは半端なものではなかった。そのような痛い経験を踏まえて、様々な農業資材を活用しながら、顧客選別をするマーケティング戦略として無農薬・無化学肥料を実践する久松農園のやり方は合理的に感じた。

    農業の素人で、漠然と有機農法が身体に良いのだと思っちゃっている人たちに是非読んでもらいたい内容である。

  •  これは読む価値がある本だ。久々に目からうろこが落ちた。ロジカルな思考と有機農業にありがちな過剰な精神論の徹底した排除、さらに農業という職業やその周辺の政策・農村社会・消費者に関する客観的な分析力。その辺の経営学の事例研究の何倍も面白い。

     最初の段階で「有機だから安全」「有機だから美味しい」「有機だから環境に良い」を嘘だと言い切るあたりは、まあ農学部にいれば常識のレベル。とはいえ、有機農業を実践している人自身が言い切るのはなかなか「勇気」のいることだと思った。おそらく、著者はこのスタンスで論戦をし慣れているのだろう。

     自らの経営方針を「土の生き物との共生」「とれたての鮮度を徹底追及」「ニッチを探る多品種栽培」「顧客・小規模飲食店との濃密なコミュニケ」においていて、これも極めて明快。つまらない精神論ではなく、経営資源の投入として、冷静に農法を選んでいる点も極めてわかりやすい。

     最後の「新参者の農業論」にある「清貧でエコロジカルな善人」という”職人”農家像を捨てよ、ビジネスツールとして開拓する能力を磨け、農村は特殊なのではなく、まだまだ困っていないのから変われないのだ、というメッセージは、思わず電車の中で「おおー!うむー」と叫んでしまった。行き帰りと乗り換えで計4回。

    これは読む価値がある本だ。

  • 著者の久松氏はちょっとした知り合いなのだが、以前と変わらない論理の明解さと歯切れの良さで楽しませてもらった。
    やや刺激的なタイトルなのだが、本書の内容は至って常識的である。逆に言えば、これがある意味衝撃を以て受け取られていることは、世間一般の有機農業に対する理解の低さをよく表している。農薬だけでなく、堆肥や有機肥料に対する誤解、誤用についても触れてほしかったが、新書という媒体の制約上専門性に踏み込み過ぎるのも難しいのかも知れない。
    次作にも期待したい。

  • 有機農業とは、、、とモヤモヤ思っていたものが言語化されている。分かりやすい。第1~3章は一般人へ、第4~7章は農家としての思い。


    「有機農業三つの神話」の勘違い
    1、有機だから安全
    ・適正に農薬を使った普通の農産物”も”同程度に安全
    ・安全=客観的なもの、安心=主観的なもの
    ・力を借りるべき生き物を減らしてしまうので農薬を使わない、という選択(安全とか、環境に良いから、ではない)

    2、有機だから美味しい
    ・野菜の味を決める三つの要素=旬、品種、鮮度

    3、有機だから環境に良い
    ・環境保全型農業=有機農業ではない
    ・有機農業という方法が、”あらゆる側面”において環境負荷が少ない、ということではない


    有機農業とは「生き物の仕組みを活かす農業」
    有機野菜と一般の野菜の違いは「健康」かどうか…有機だと病気や虫に弱い個体は淘汰される

    旬が消えた&昔の野菜は美味しかった
    →美味しい野菜三つの要素「旬、品種、鮮度」を満たさない野菜が出回っている
    →栽培技術・輸送技術・品種改良が進んで、周年栽培が可能になったことが理由
    →出荷量の少ない時期に生産するか=いかに旬を外して作るかが生産者の腕の見せ所!=上手な農家ほど美味しくない野菜を作っている

  • 刺激的題名だ。外資系の杉山氏とは違うが、輸出関連のサラリーマンから有機農家に転身した著者。どちらにも共通するのが営業・営農に通底する利益につながるノウハウを持っているということ。既存の農家の常識にとらわれない思考と共に、大規模農業ではなく小さな農業に商機があるという論調も共通していて面白い。「二流の超一流」という引用も良かった。東日本大震災での風評被害(放射能汚染)をどう乗り切ったかの記述は生々しく、考えさせられた。国や自治体の農業施策批判は当を得ていると思う。

  • 読みやすかった。書くの上手!
    まともで素直で、納得できる意見だった。
    そして、やりたいことをやろうとしている新規就農者の足をひっぱらないで。挑戦させて。多様性を認めて。改革をさせて。と言っていた。
    これを阻むことに何のいいことがあるだろう?

全65件中 1 - 10件を表示

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)のその他の作品

久松達央の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
ヴィクトール・E...
佐々木 圭一
有効な右矢印 無効な右矢印

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする