歴史をつかむ技法 (新潮新書 541)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105418

作品紹介・あらすじ

欠けていたのは「知識」ではなく、それを活かす「技法」だ。用語の扱い方から歴史学の変遷まで、歴史を実感する入口を第一線の歴史研究者が、最新の研究成果を踏まえて案内。高校生から社会人まで「教養」を求める全ての人へ。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史を学ぶとはどういうことか述べた本。
    歴史小説と歴史学の違いや史観などを簡潔にとりあげてわかりやすく説明されている。

    知識を増やすということに異論は全くないが、「歴史すなわち暗記科目」という認識を変えたいと常々思っている身としてはこういう本に凄く共感する。
    知識をもとにした考える歴史の授業目指して日々精進したいと思う。

  • 日経新聞の紹介記事を読み、タイトルに惹かれて購入しました。
    技法というとノウハウが思い浮かびますが、その様な内容ではなく、世にある史観・考え方の紹介から始まり、文部科学省の歴史に対する学習指導要領と学校でのアプローチ、歴史学者と歴史小説家の違いなど、歴史を学ぶための構えについて、歴史学者の視点で解説しています。
    いま読んだからかもしれませんが、中高生の現役時代にこの様な知識を得た上で学んでいればと、悔やまれてなりません。
    いわゆる知識偏重な学習ではなく、思考訓練により深い洞察力を得られたかもしれません。
    但し著者も主張されていますが、歴史研究にifが厳禁である様に、ある程度の基礎知識がないと理解が進まない以上、致し方ない面もあるでしょうね。少ない知識で、本書の様な学ぶ心構えを解説されても、馬の耳に念仏でしょうしね。要はバランスなのでしょう。現場を預かる教師の方々も大変ですね。
    ただ本書からは、かなりのインパクトを貰いました。
    その一つは、人類は進歩してきたのか 単に歩んできたのかという論です。マルクス主義史観の様な、歴史に法則性が存在するのか。またはブラウン運動の様に、その時の様々な偶然が重なり、今に至っているのか。著者は、その時代背景や価値観を照らした上で、因果関係を読み解くというその時間軸での分析の重要性を主張されています。
    もう一つは、歴史を一連の時代を通貫した通史や、世界史からみた日本史の関係性の様なマクロ的な視点、政治史だけでなく社会史や、気候など自然史などを重層的で多様な視点で俯瞰してみることの重要性も指摘しております。
    まさに"なるほど"でした。
    そう考えると、どの様な学問も、アプローチは公約数かなとも感じます。
    ミクロからマクロ、要素から全体システム。まさに、様々な視点・視野・視座から、深く洞察して最適解を追い求める。
    学びの奥深さを再認識しました。

  • 中学時代に読みたかった。今でも遅くない^_^と思いたいけど。

  • NDC210
    [私たちに欠けているのは、受験などで必要とされた細かな「歴史知識」ではなく、それを活かす「技法」だ。歴史用語の扱い方から歴史学の変遷まで、「歴史的思考力」を磨きあげるための一冊。そもそも「幕府」とは何か?「天皇」の力の源泉とは?歴史小説と歴史学との違いとは?第一線の歴史研究者が、歴史をつかむための入口を最新の研究成果を踏まえて説く。高校生から社会人まで、教養を求めるすべての人へ。]


    目次
    序章 歴史を学んだ実感がない?
    第1章 歴史のとらえ方
    第2章 歴史の法則と時代区分
    第3章 日本史を動かした「血筋」
    第4章 日本の変貌と三つの武家政権
    終章 歴史はどう考えられてきたか

    著者等紹介
    山本博文[ヤマモトヒロフミ]
    1957(昭和32)年、岡山県生まれ。東京大学史料編纂所教授。近世政治史を中心に、武士の社会史から大奥女中の組織論まで、新たな江戸時代像を提示し続けている。著書に、『江戸お留守居役の日記』

  • ただ漫然と歴史に関する書籍を読むのではなく、歴史への向き合い方が大事なことを気付かされた。
    そもそも歴史は後付けであり、歴史の区分は曖昧かつ史料によって変わりうるというのはなるほどと感心。
    基本は日本史のみなので、著者はあえて日本に限定しなかったと書いてはいるものの、日本に焦点を絞っていることは題名で知らせるのが良いと感じた。
    後半は少し分かりづらく感じたものの、概ね歴史好きに勧められる一冊。

  • 本書は日本史の概説書であるとともに、教養としての歴史の学び方について書かれた本であり、とても興味深かった。歴史を学ぶ上では、その当時の価値観や風俗を十分考慮した上で史実を認める必要がある。そういう見方で歴史を見ることで、現在の我々の世界につながる何かが発見でき、今の世界をより深く理解できるのだと思った。本書は近世までの歴史しか詳述していない為、近現代の歴史についても知識を今後手に入れたい。

  • 後半の、日本史を大局的に要約した部分は、まとまり過ぎで面白みがなかった。これではただのダイジェスト。
    歴史の見方を論じた前半は面白かったが、全体的に少し浅い気がする
    やはり通史として日本史をまとめるのはこの規模の本では無理があるかな。

  • 歴史的思考力とは歴史的文脈を踏まえて現代の事象に対して洞察を得るための力。
    学校では習った覚えのない歴史の見方。
    歴史用語は便宜的なもの、この概念は実はこういう意味だ等のtips的な話も知らなかったのでありがたい。
    天皇号は後世のもの。
    成立年代は解釈によるもの。
    実は摂関政治、院政は皇統存続のために都合がよかった。

    その時代の考え方や価値観があることをありきで、現代の見方でミスジャッジをしてはならない。
    等。

  • ●知識からおいてけぼりにされた技法、つまり歴史を学ぶ上で必要な考え方や見方といったものをご紹介したいと思います。
    ●「乱」は軍事蜂起を伴う国家(天皇)への反抗。「変」は時の政権の転覆工作である。
    ●天皇の名前。不幸な生涯を送った、崇徳、安徳、順徳など慰霊のための諡号。
    ●江戸時代は基本的にヒゲを蓄えない社会なので、水戸黄門のヒゲを無くすのは正しい時代考証。

  • 冒頭の歴史に対する向き合い方や考え方の説明が良かったが、その後は単に歴史の浅い要約になってしまった。最後の司馬史観のところなどは毛色が違ったが、特に目新しいことではない。

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著者プロフィール

1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授などを勤めた。1992年『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書は『寛永時代』(吉川弘文館)、『日本史の一級史料』(光文社新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本の歴史』『武士の人事』(角川新書)など多数。NHK Eテレ「知恵泉」を始め、テレビやラジオにも数多く出演した。2020年逝去。

「2022年 『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全16巻+別巻4冊定番セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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