「いいね!」が社会を破壊する (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 235
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105425

作品紹介・あらすじ

そのクリックは、地獄への一本道。「無駄」の排除を続けた果てに、人間そのものが「無駄」になる……。ネットの進化がもたらすインパクトを、「ビジネスモデル小説」の第一人者が冷徹に見据える。

感想・レビュー・書評

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  •  読んだ人のほとんどが思うことだろうが、タイトルと内容に乖離がありすぎ。
     このタイトルなら誰だって、「ツイッターなどのSNSの普及によって人々の悪意が増幅され、社会の息苦しさが増していく」的なネット批判の書を思い浮かべるだろう。

     しかし実際には、SNSの話などほとんど出てこない。「ネット社会化」の負の側面に光を当てた本には違いないが、本書が目を向けるのはむしろネット社会化による雇用喪失の問題なのだ。
     少し前に『コンピュータが仕事を奪う』 (新井紀子)という本があったが、本書は『ネットが仕事を奪う』とでもしたほうが的確な内容である。

     『コンピュータが仕事を奪う』 はじつに面白い本だったが、本書はイマイチ。
     そもそも、著者は小説家であって評論家ではないから、この手の評論ぽい文章は得意ではないらしく、論の進め方がダラダラしていて散漫だ。

     それでも、1~2章はわりと面白く読める。

     1章は、著者がかつて同社日本法人に在籍していたイーストマン・コダックが、デジカメ技術の進歩と普及によって経営破綻するまでの道筋をたどったもの。いま多くの業界で進行している「イノベーションが雇用を破壊する」プロセスの典型例を、そこに浮かび上がらせるのだ。
     著者が最もよく知る業界の話だけあって、この章は内容が濃い。

     つづく2章は、著者がいま身を置いている出版業界の近未来を展望したもの。電子書籍の普及が出版不況の救世主にはならず、「電子出版という新しい船に乗り込むことを許されるのは、ごく僅か」となる過酷な未来を、著者は描いてみせる。
     目新しい論点はないものの、電子書籍ビジネスの世界を舞台にした長編小説『虚空の冠』も書いている(らしい。私は初期の犯罪小説しか読んだことがないけど)著者だけに、電子出版をめぐる冷徹な分析はなかなか読ませる。

     しかし、3章以降はだんだんつまらなくなっていく。
     “スマホの普及は人を幸せにしない”だとか、グーグルなどによって個人情報が収集される危険性だとか、「ネットが拍車をかけた就活地獄」だとか、「何をいまさら」な話ばかりが目立つのだ。

     前半だけなら読む価値はあるが、一冊の本としては中途半端な出来と言わざるを得ない。

  • 「いいね」なのでフェイスブック系本かと思ったら、便利を追求してきたことで今の社会が出来、便利になったがその側面では雇用など色々社会を破滅させてきたという話。便利なもの、安いもの、タダなものに飛びつくのは人のサガとして全くその通りなので、逆に社会が今後もさらに便利を追求していく過程のなかで、自分としてどう接していくか今後のことを考えるきかっけになれたような本でした。

  • タイトルからはソーシャルメディア批判かなと思いながら読んでみたが、なかなかFaceBookもtwitterも出て来ない。
    それよりももっと高い次元から現代の情報社会(?)に警鐘を鳴らしている様な。
    元々不安だったところに、更に不安が増したが、解決法や処方箋はくれない。
    さて、どうしたものか・・・・

  • 情報産業の首根っこを押さえている、米国は21世紀も覇権国として君臨しつづけるのだろうか。

    情報と金とチャンスと権力が集まる、東京はますます栄え、地方はますます疲弊する。

    若い人は、チャンスをもとめて東京に吸い寄せられるが、  WINNERS TAKES IT ALL 


    希望をなくした若者たちで、東京がかってのニューヨークのハーレムタウンのようにならなければいいが。

    というのがこの本を読んでの感想、というより連想です。

  • 便利はいいね?



    1. かつての優良企業イーストマン・コダックが2012年に会社更生法を申請するまで。写真の歴史はコダックの歴史。フィルム市場を独占していた。皮肉にも株主がコダックのデジタル化を妨げた。

    2. 地方書店を駆逐したネット書店のAmazon。クリック一つで購入は便利。電子書籍は必ず本格化する。そして電子出版。出版社の間接部門は削減。

    3. イノベーションによる構造破壊。全ては人手を減らす方向へ。格安航空券の安さは経費削減から。総合スーパーが街を破壊する。工場を誘致しても雇用は増えない。物流企業Amazon。

    4. 3Dプリンターの衝撃。スマホで幸せになったか。サボリが出来ない。LINEはタダではない。個人情報で収益を上げている。Facebookは顔データベース。個人情報全てを把握するGoogle。これらの情報は「官」も利用する。

    5. 勝者なき世界。未来の展望が描けない。ネットで就活地獄に。労働は機械に取って代わられる。

  • コダックの崩壊理論。
    レイイナモトさんの持論とあわせて読んだのでわかりやすかった。

    しかし、筆者がフェイスブックをやっていないのに、いいね!をタイトルに入れるのは、ちょっと看板の上げ方がちがうのでは?

  • 技術革新、特に近年のインターネットの目まぐるしい発達によって雇用が失われ、社会が崩壊するという。

    様々な例を用いて考察しており、たしかにそうだなと思う点も多いが、そうは言っても技術革新は否応なく進むし、それなら明るい未来を想像したいと個人的には思う。

    また、フェイスブックやLINEなどのことは登場するが、「いいね!」についてはほとんど出て来ない。

    他の方の感想にも書かれているが、論旨と表題が合っていないので2点。

  • 良かれと思って進んだ方向が実は自らの首を絞め始めている。という現実を突き付けている。たまには立ち止まってこのようなことを考えるのも良いと思う。

  • 冒頭、フィルムがデジカメに駆逐された例を取り上げ、イノベーションが巨大企業をすら壊すことあることを紹介したあと、ネットの進化によるさまざまな弊害に話が進む。 アマゾンによって流通業が激変し雇用が奪われること。Google検索、Facebokへの投稿や「いいね」によって、個人情報が巨大企業に徹底的に収集されてしまうこと。今後、それらの個人情報を活用したビジネスをGoogleやFacebookが開始した場合、便利さとともに、個人情報が社会に晒される危険性あることを指摘する。
    読んでいて納得できる内容が多かった。今後、IoTによって自動的にさらに膨大な情報が収集されるようになり、しかもAIによってその活用が飛躍的に進むと、知らない間に大きな影響が出てくると思われる。
    技術進化はポジティブにとらえているが、負の側面があることも認識し、その活用を考える必要があることを再認識させられた。

  • 2016/1/15

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著者プロフィール

楡 周平(にれ しゅうへい)
1957年生まれの作家。慶應義塾大学大学院修了。綿密な取材と圧倒的なスケールの作品で読者を魅了し続けている。米国企業在職中の1996年に発表した初の国際謀略小説『Cの福音』がベストセラーに。翌年から作家業に専念し、同作は「朝倉恭介」という人気シリーズになった。
主な著書にドラマ化された『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京』(「有川崇」シリーズ)に『プラチナタウン』(「山崎鉄郎」シリーズ)、『再生巨流』、『ドッグファイト』、『和僑』、『レイク・クローバー』など。

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