知の武装: 救国のインテリジェンス (新潮新書 551)

  • 新潮社
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本棚登録 : 801
レビュー : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105517

作品紹介・あらすじ

東京五輪、尖閣、CIA、プーチン……全てをつなぐ一本の「線」とは? ニュースを鵜呑みにしていては、その深層はつかめない――最新国際情勢から諜報の基礎まで、「プロの読み方」を徹底解説! 世界と闘うためのインテリジェンス入門。

感想・レビュー・書評

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  • ☆2(付箋4枚/273 P→割合1.57)

    外交インテリジェンス識者の佐藤優と手嶋龍一の対談。雑誌連載で、何冊か出ているようです。
    言語と言葉の使われ方を含めて「朝鮮語=北朝鮮言語」を翻訳できる外交官は外務省に一人しかいない、とか
    写真に通訳が一人しか写っていないのはおかしい、本当の事情通は写っているものだけでなく、いないものから情報を得られる、とか随所の光る知見はさすがです。


    ・佐藤:いま手嶋さんは、「朝鮮語」と言葉を選んで言いましたね。日本の外務省には、韓国語の専門家はたくさんいるのですが、朝鮮語を、その内在理論まで含めて、正確に話し、聞き取ることができる人はたった一人しかいない。その人を同行させたのでしょう。
    >>/> その情報を現在も維持している事が凄い。それこそ余人に代え難い、偶然育った人物なのでしょうね。

    ・佐藤:田中さん自身が明かしていますが、「ミスターX」に自分を信用させるため「総理の動静欄」を見てくれと伝えていたといいます。「あなたと会った後は必ず小泉総理と会って直接報告 している」と話して、相手を信用させたと手の内を明かしたわけです。北朝鮮側は、この経験を通じて、飯島内閣官房参与が総理と本当につながっているのか、その証拠を見せてくれと迫ったことでしょう。

    ・佐藤:中国共産党は、習近平を新しい総書記に選ぶ2012年11月の全国代表大会で「海洋権益を断固として守り、海洋強国を建設する」という表現を大会報告に盛り込みました。中国はこれまで膨大な人数の陸軍を擁する紛れもない「陸の大国」でしたが、このときをターニング・ポイントに「海の大国」を目指すことを鮮明に打ち出したのです。
    >>/> これは、危険だ。お互いに覇権争いをし、自身が有能であることを競って示さねばならなくなる。

    ・佐藤:未曾有の危機に直面して、求められるのは知識などではありません。専門家の言うことをよく聞いて、余計な喧嘩はしない。これはという人に思い切って任せる。物事の判断が的確で、有能な人を嫉妬したりしない指導者が必要なのです。
    >>/> 判断の早さと委譲する権限の範囲の思い切り。知識は不要、人を見る目も。きっと有能な人は話せば分かるのだろうから、むしろ任せられる度量が必要なのだ。

    ※付随して読みたい本
    方法としてのアジア 竹内好
    ウルフ・ホール ヒラリー・マンテル
    城下の人 あれ野の花 望郷の歌 誰のために
    (石光真清四部作)
    インテリジェンスの賢者たち 手嶋龍一

  • 面白かった。メディアでは報じられない裏話が多い。そして自分があまりに無知で恥ずかしくなった。佐藤優さんは、神学を勉強されてて、今尚続けているからこその意見だと思う。話の言葉尻からしても非常に頭のよさを感じる。二重忠誠の考え方は妙に納得。もっと知って欲しい考え方だと思う。

  • 「外務省のラスプーチン」こと佐藤優と、外交ジャーナリストの手嶋龍一の対談。
    国際情勢については、我々は普段アメリカ発の情報を基準に見聞きしているが、佐藤優によるロシア側あるいはキリスト教からの視点で見ると、これまでと違った面が見えてくる。正に目から鱗の対談でした。

    プーチンの話題だけを取っても結構面白い。
    ・プーチンの安倍首相への美しすぎる誤解。
    ・シリア問題でのオバマのお粗末な対応に、オバマを見下すプーチン。
    ・スノーデンに対して「元インテリジェンス・オフィサーなど存在しない」と「裏切り者は敵より悪い」とするプーチンのインテリジェンス・オフィサーとしての倫理観と自己を律する厳しい姿勢等々。

    これまでの怖いだけのイメージだったプーチンが魅力的に語られる。

    佐藤優のような異能の士が外務省のノンキャリアであり、背任罪等で失職させられたこと自体が外務省(日本)の不幸かもしれない。

  • この二人の対談はインテリジェンスネタだけで簡単に一冊の本ができてしまう。時事ネタ、国際ネタに直結するだけに、一般のメディアで報道するものとは角度が異なる。首脳同士で会談している一枚の写真からでも数多くの情報が得られると言う。普通の人にはなかなかここまでできない。

  • インテリジェンスに精通しているお二人の外交、防衛に関する分析と視点が興味深い。

  • ・チェチェン人。「血の報復の掟」により強固な民族な絆。男子が生まれると七代前までの男系男子の名前と、生まれた日と場所、死んだ日と場所と死因を教える。殺害された場合は報復、仇が死んでいる場合は男系子孫に報復
    ・オバマ大統領の「シリアの挫折」は、今後の東アジア情勢に「重大なツケ」となって回ってくる。特に尖閣問題へ深刻な影響
    ・外交官は海外との正式な折衝の場では通訳を使う
    ・安全保障の主戦場は2つのスペースに移りつつある。「サイバースペース」と「アウタースペース」、即ち、ネット空間と宇宙空間
    ・未曾有の危機に直面して必要なのは、専門家の言うことをよく聞いて余計な喧嘩はしない、これはという人に任せることができる、物事の判断が的確で、有能な人を嫉妬したりしない指導者
    ・諜報活動は、工作を通じて、歴史そのものの舵を切ろうとするもの、一方、インテリジェンス活動は、現状を精緻に分析することで近未来の出来事を読み抜こうとする営為
    ・中国に従業員を送ることは、公安当局に眼をつけられる潜在的な危険を抱え込むこと

  • この二人の共著は三冊目とのこと。毎回時代に即したニュースではつかみにくい視座を与えてくれる。中国、ロシア、韓国といった地政学的に無視できない国々との関係などとても勉強になる。

  • 大手マスメディアが信用出来ない。或いは十分な情報でない場合、読み解く力、眺める視座が大切になってくる。右か左かの話でもなく、実際を踏まえてどう考えてゆくかという部分でインテリジェンスの考え方は実際的で課題が具体的で有意義だと思う。広くこういう感覚を備えた人が増えたらなと思うしこれから必要になってくると思う。

  • なんとなく手にとって購入。
    個人的にはあまり政治家の一言一言の発言を取り上げ、その真意はどうか、それがどういった影響を与えたかとひたすら推測するような読み物にはあまり面白みを感じられない。特に独裁者でもない限り、イチ政治家の、それもいつまでもそのポジションにいるわけではない人の発言で一喜一憂してもしょうがない気がする。

    ただそれぞれの国家の成立ち等から読み砕く、国の性質・特性、おそらくそれは中国4.0の著者:エドワードルトワック氏の言うところの国体を把握するというのは非常に興味深いことだと思う。

    P.34 そもそも安全保証分野の抑止力とは、その奥底に力の行使の覚悟を極めていなければ効き目がありません。超大国のアメリカを振り返ってみると、力の行使に踏み切ることは、リベラル派から保守派まで、知識人から草の根の人まで幅広いコンセンサスがありました。

    P.41 チェチェン人の場合には、知の報復の掟があり、民族の絆は強固なものがありました。男の子が生まれると7代前までの男系男子の名前と生まれた日と場所、死んだ日と場所と死因を教え、もしその中に殺害されたものがいた場合はその仇、仇が死んでいる場合は、その仇の男系男子の子孫に対して報復しなくてはならない。

    P.129 私は日本の若い方々と現在のアジア情勢を議論する時、今は亡き中国学者の竹内好さんの著作を読んでみてはと薦めています。戦時中に発表された魯迅をはじめ、方法としてのアジアなどの論考はいま読んでも少しも色あせていないからです。魯迅については阿Q正伝や藤野先生も竹内先生の作品とともに読んでほしいですね。

    P.130 林語堂「北京好日」

    P.238 義和団事件で列強に紫五郎ありと言わしめた。石光真清の精神の師でもあったのですが。

  • メディア出身の手嶋さんと、外務官僚出身の佐藤優さんの、実務派インテリジェンスの両巨頭による対談形式での、時事の安全保障問題に対する論評集です。
    両氏の対談書はこれで3冊目ですが、どの書を読んでも両氏の深い洞察による本質的な議論には、圧倒されます。最もインテリジェンスという性質上、まだまだ真因の部分は秘匿されているかもしれませんが。
    今回も、東京オリンピック招致成功による東アジアの安全保障情勢に対する考察や、スノーデン事件の問題の本質とアメリカやロシアの考え・行動に対する考察、安部政権に対する各国の評価など、かなり参考になりました。
    国家インテリジェンスに関する職業に就くことは、国家への忠誠心は必須であること、そして裏切りはけして許されるものではない。国家転覆につながる思想犯は、国家にとって最も悪であるということを再認識しました。
    特に安部政権に関する考察については、他のどんな政治評論家の所見よりも、かなり精度の高い論評ではないかと、感じました。
    この対談書は、ぜひ今後もシリーズ化して継続していただきたいです。できれば、今後の予測をしていただきたいところです。

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著者プロフィール

外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。近著『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2018年 『米中衝突 危機の日米同盟と朝鮮半島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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