だから日本はズレている (新潮新書 566)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105661

作品紹介・あらすじ

勘違いを生み出す「幻想」の正体とは? リーダー待望論、働き方論争、炎上騒動、就活カースト、クールジャパン戦略……「迷走」し続けるこの国を29歳社会学者が冷静に分析。日本人が抱える「夢」の害悪を鋭く突く。

感想・レビュー・書評

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  • 「リーダーなんていらないし、絆じゃ一つになれないし、ネットで世界は変わらないし、若者に革命は起こせない。」

    29歳の社会学者、古市さんが「おじさん」に贈るラブレター。ただし、ブラックユーモアたっぷり。
    すっきり爽快な古市節満載でとてもおもしろかったです。皮肉がスパイスのようによく効いてますね。

    すべての内容に同意というわけではないけれど、概ね「よくぞ言ってくれた」「そりゃそーだ」というもの。
    目新しいことではないかもしれないけれど、なかなかこういうことって言説化できないし、ましてそれを「おじさん」に伝えることなんて、できない。
    そういった意味で、この本が世に出た意義は大きいと思います。

    人は、今いる場所を疑わなくなった瞬間に誰もが「おじさん」になる。という言葉はとてもインパクトがありますね。
    著者自身が自戒をこめているのもいい。

    リズミカルに読めておもしろいから、思わずもう1度読み直してしまった。
    世界は往々にして迷走してるけど、私たちはその世界で生きなくてはいけないし、他人任せにもしていられない。

    ところで、古市さんのちょっと素直じゃない朝井リョウ氏への親愛さがなんだか好きです。

  • こういう社会学者は活躍して欲しいですね。
    人々が考えるきっかけを与えますから。
    世の中を良くするためには、おじさんが頑張ることだそうです。

  • 先日とある大学のゼミを見学したのだが、若きゼミ生の言葉と本書の見解が見事にシンクロしてて幽体離脱でもしてんじゃないかと思った。
    いわゆる現代社会のはみ出し者達は自分でもそのことを薄々自覚しているようで、着々と「ドロップアウト」する準備を進めているようだ。
    どうか、この国の片隅で良いから、彼ら(私)のために逃れの町を作る場所を残しておいてほしい。

  • 口を挟むではなく、ただただ頷きながら読み進むしかなかった。
    へぇー、ほぉーくらいしか感想はない(爆)。
    いちばん腑に落ちたのは『学問ノススメ』のくだり。
    確かに身分の貴賎は(建前上)存在しないけれども
    大卒かそれ以下か、更には出身大学による
    社会全体での待遇差というようなものは確実に存在する。
    あーだから『学問』ノススメなんだーと膝を打ったり。
    あと、個人的には生活保護を電子マネーで支給するというのは賛成。
    目的外のことに使えなくなるのは理にかなっていると思うのだが。
    どうだろうか⁇?

    2040年に自分は生きているかどうかわからないけれども
    取り敢えず朝井リョウ氏が東京都知事になった世界は見てみたいと思った(笑)。

  •  29歳の社会学者が若者視点から現代日本を斬って斬って斬りまくった本です。

     斬るテーマも多種多様。政治やデモ、企業倫理にSNS、学歴社会に就活と、そこにあるどこかちぐはぐな部分を著者は明らかにしていきます。そこから明らかになるのは何か新しいこと、聞こえのいいものに頼ろうとする著者の言葉を借りれば「おじさん」たちの期待のように思います。その期待が実態とかけ離れてどこかズレてしまっている、この本が言いたいところはだいたいそんなところなのかな、と思います。

     社会は若者に期待しているのかもしれませんが、若者は若者で新たなヒーローの出現に期待だけして自分がやりたいことをしている、というのが自分の印象です。そうしたズレも今の日本のちぐはぐ感の原因かもしれませんね。

     日本の現状に対して一つの気づきになりそうな本だったと思います。

  • 古市ワールド全開で最高!言い過ぎてるんじゃないかって感じの所もあるけれど、刺激的でおもしろかった。

  • 若者からの視点を切り口に日本の社会問題を考察した書。古市氏はテレビで見るような毒舌キャラとして知られており、本書では少々弱めだが、ところどころ見受けられ、独特の視点がかかれていて興味深い。

    「学歴は結局重要」「若者に社会は変えられない」「クールジャパンは無意味」など現実的な立場から持論や批判を展開している。

    「2040年の日本社会」も興味深い推察であった。かろうじて先進国の地位を維持しつつも、少子高齢化や海外への人材流出、東南アジアの発展などによって日本の権威は劇的に衰退する。非常に現実的な内容であった。

  • いまどきの若者の開き直り
    (悪い意味じゃないよ)

  • ズレにつてい知りたくて読書。

    社会学の学者らしい視点で世の中を論じている。

    さすがに事の起こりを調べて込んでいて書かれているので勉強になる。

    共感できる部分と共感できない部分があるが、それでいいと思う。

    文中に引用される曲の例がglobeだったり華原朋美だったりと著者は私と同じ世代かと思ったりもする。

    学歴社会の下りはその通りだと思う。学歴を否定する風潮が一時期あったが、大学進学率が上がるよりブランド力のある大学卒が大きな力を持ってくる。

    フリーランラスやノマドと呼ばれる人たちには、会社員もより学歴や社歴が重要とというのも理解できる。事実、大卒じゃないと労働ビザが取れないシンガポールや香港などが存在する。高卒だとどんなに有能であっても門前払いされる。こんな国は、今後も増えていくと思われる。

    21世紀になり、価値観や習慣、生活スタイルの変化がより激しくなっている。そんな中で、あと20年先も同じくらい収入がある。または、収入が上がっているなんて保証はどこにもない。

    そう考えると、今、何をすればいいのか考えさせれれる。

    勝間和代氏ついての批評は、なるほどと思った。

    最後の、「2040年の日本」は寒々しい思いをしながら読む。人間は、階層化されて自由が制限されたほうがかえって選択に悩まないので幸せを感じるものかもしれない。選択肢が極端に少ない北朝鮮は、生命の危険さえなければ、「こんなものか」の諦めで幸せを見つけられる国なのかもしれない。人間の幸せってそんなものかも。

    「炎上を避ける六つの方法」が面白かった。

    読書時間:約1時間20分

  • 最近メディアへの露出の多い気になる著者の1冊。タイトル通り世間の風潮が現実の進む方向とどのようにずれているかを若干のユーモアを交えながら分析している。リーダーシップのあり方に一石を投じ、就活、ノマド、学歴等の世にはびこる矛盾に納得のできる回答を示している。なるほど、ジレンマのMCに選ばれる訳だ。

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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