寂しさの力 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106118

作品紹介・あらすじ

成功はさみしさから生まれる。ディズニー、ジョブズ、坂本龍馬、酒井法子、山口百恵……世界を変えた偉人やスターは、いかにして精神的「飢え」を生きる力に変えたのか。人生の原動力を示した著者の新境地。

感想・レビュー・書評

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  • 『寂しさの力』(中森明夫)
    読後、しばらく「寂しい」という感覚を思い起こしてみた。
    私はひとりでいることが多い、けど、孤独感を感じることはそれほどない。もう慣れたからなのか、人間はそういう者だと思っているからなのか、わからないが。でも、とてつもない「寂しさ」に襲われることはよくある。

    繋がりの世の中と言われてSNSがそれを支え、網の目を巡らせているこの現代社会であっても、決して人「寂しさ」を埋めることはできない。
    モノを大量に生産して、それに囲まれていても、彼女を作って心身ともに繋がりを持てたとしても、あるいはそれら全てを叶えられる巨額の富を抱えても「寂しさ」から逃れることはできない。ということも経験してきた。

    なのに、人間はこの「寂しさ」から遮二無二逃れようとして色々と奮闘する。そのために生きてるようにも思えてしまうくらいに、そこから逃れるために死を選ぶ人もいる。
    「人間が社会的動物」である故がこんなところに現れている。

    この「寂しさ」に焦点をあてて、人物を見つめ、描いた作品。
    こうやって、人間の逃れられない小さな感情をもとに世の中をひっくり返して見つめる作品は想像力を豊かにさせてくれる。

    身近なアイドル・芸能人・著名人の寂しさが宿る「影」を紹介しながら進んでいくので読みやすい。

  • 芸能ライターの著者が、文字通り「寂しさが生み出す力」について語った一冊。

    芸能人などは寂しいが故に発する光があり、孤独が故に妥協せずに努力するなど、まさにその通りだと思う反面、そういう人はたとえ成功しても安住の地を見出すことができず、たとえ社会的成功を手にしても気の毒だと思った。

  • 父に始まり、母で終わる。

  • 人間を追い詰め狂わせるもの。
    それにはいくつかあるけど、大きな要因の一つは「寂しさ」だと私は思っている。

    たとえば、寂しくて、家出する。
    寂しくて、不倫する。
    寂しくて、アルコール依存になる。
    寂しくて、人を殺す。
    寂しくて、自殺や自傷行為に及ぶ。

    寂しさは人をおかしくさせていくと思う。

    その「寂しさ」という感情について知りたくてこの本を読んだ。

    しかし、読み終えると本著で著者は「寂しさ」を精神的飢えとして前向きにとらえている。
    「寂しくてもいいんだよ」という寂しさ肯定の姿勢の本として読みたい人には良さそう。

    それに「飢え」が成功や表現の原動力になるのはすごく同感である。

    「飢え」があるからハードなことにも耐えられるし、表現や理想実現に突き進んでいける。

    わたしは若手バンドが好きなんだけど、それは彼らの音楽に「満たされなさ」を持つもの特有の切なるパワーを感じるからだ。
    そのため、ある程度売れてしまったり、バンドメンバーが結婚して子どもが生まれるとその「満たされなさ」に由来する切実さはなくなっていくので、私は好きだったバンドから経年で離れしまうことがよくある。
    「飢え」る者特有の切実さとパワーが好きなのだ。

    中森氏が「飢え」と評するものは確かにパワーだ。
    でも「寂しさ」と「飢え」は似ていて重なる部分が多いとは思うけれど、そうじゃないものもある気がする。
    個人的にはその辺りについてもう少し深めて欲しかったなあという物足りなさも。

    著名人の成功と「寂しさ」の繋げ方に多少の強引さを感じたり、著者自身の自慢話も入っていた気がするけど(そこはきっとご愛敬)、読みものとしては面白かった。
    著者のお母様に向けた本だったのね。

    ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』に父がいなくなったことこさみしさを自覚させられた、というエピソードがとても良いし、大杉栄やモンテーニュ、ルソーも読んでみたくなった。

    ちなみに、個人的な寂しさに関する金言は、いがらしみきお先生の「ぼのぼの」の中で「さみしくないのか?」という疑問に対してフェネギーくんが答えた一言。

    “だってみんなひとりだろ‘

  • 思索

  • アイドル評論家の著者だが、50になって突然さみしさを自覚し、このさみしさってなんだろう、でもそう言えば偉人やスターはさみしさを原動力にしていなかったか?と。
    母親を見送る時を迎えて書いた本だという。
    人間を他の生物と分けるのは、さみしさの力じゃないか。
    さみしい人ほど、より生きている。
    「悲しさ」が終わった時から「さみしさ」が始まる。

  • スティーヴ・ジョブズやウォルト・ディズニー、アドルフ・ヒトラー、坂本龍馬といった歴史上の人物たちから、山口百恵や酒井法子、中島みゆきといった芸能人にいたるまで、さまざまな人物の肖像をえがきながら、彼らの抱え込んでいた孤独にせまっている本です。同時に、著者自身の両親との思い出を振り返り、50代になった自身がふとしたときに訪れる「寂しさ」を、ありのままに見つめようとしています。

    けっきょくのところ、著者自身が「寂しさ」の意義や本質をどのようにとらえようとしているのか、最後まで明瞭にさていないように感じました。とりとめのない感想を綴っているだけの本だという印象です。

  • 平易な分析、文章。流行りのAC系を著者、芸能人を例にとって書いた本。「寂しい」感情の暴力性。確かに、受け入れることで薄まる気がする…自分の祖母も寂しい、寂しいと言って亡くなったが、側からは何もできなくて、つくづく「寂しさ」の扱いには困り果てる。
    自分も寂しくてたまらないから、寂しくて結婚したけど結局より寂しくて離婚した話、気になる。愛してない相手との結婚はそりゃ寂しいだろうけど、愛しててもそうなのかな。

    2018/4
    初読から一年くらい経って、寂しいから人と繋がれるといのは詭弁だと思った。むしろ寂しいと人と繋がれない、寂しさはただのPTSD。芸能人と一般人は違う。

  • 寂しさがどんな力を与えるかではなく、寂しさを抱えた偉人たちの功績が書かれている。
    毀誉褒貶という言葉を知った。

  • 悲しいとはちがう「寂しさ」という感情は、自分に置きかえてみてもよくわかる感情だ。人は寂しさを抱えて生きている。たぶんだれもがそれぞれの寂しさを抱えて生きている。その寂しいという感情をどうにかしようとして、もがきながら生きている。そう考えると、少し勇気がでた。少し楽になった。寂しさは消えないけれど。

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著者プロフィール

1960年生まれ。作家・アイドル評論家。著書に、『アナーキー・イン・ザ・JP』(新潮社)、『学校で愛するということ』(角川書店)、『アイドルにっぽん』(新潮社)など。

「2013年 『午前32時の能年玲奈』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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