常識外の一手 (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106217

作品紹介・あらすじ

本筋をわきまえてこそ「プロ」。そこを離れてこそ「一流」。将棋を指し続けて半世紀の達人が、なおも追い求めている境地とは? 注目された電王戦など棋界の話題をまじえて、知恵の本質につながるその思考法と勝負の機微を学ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 谷川九段による自伝。

    日本将棋連盟前会長だけあって(米長九段の死去で会長就任→三浦九段の件で心身病んで辞職)、自身のこともさることながら、将棋連盟の話、コンピュータ将棋の話など色々面白かった。

    面白かったのは、棋士には勝負師、研究家、芸術家と3種類あり、それをバランスよく極めたいととか。
    ちなみに他の棋士の分析は下記の通り。

    ・大山康晴:勝負師(二枚腰)
    ・升田幸三:芸術家(新手一生)
    ・羽生善治:勝負師、研究家、芸術家
    ・森内俊之:勝負師、研究家
    ・佐藤康光:芸術家
    ・渡辺明:勝負師、研究家
    ・糸谷哲郎:勝負師(時間攻め)
    ・豊島将之:勝負師、研究家、芸術家

  • 理路整然としており非常に気持ちの良い文章だった。
    まず第一に、読み手が谷川浩司から何を聞きたいのかを常に意識して書かれている。
    また、棋士の心理などの専門分野は断定で述べており、そうでない部分や他者の心情などは「~と聞いている。」や「~だと思う。」とはっきりしている。
    内容も、獲得タイトル27期の超一流棋士ならではのものとなっており将棋ファンにとって他に比類するもののない名著である。

  • 日本将棋連盟会長となった55歳で現役棋士でもある著者が将棋と年齢について語る。最初は勝負師、次に研究家、芸術家の顔を持ってバランスよく将棋には当たると良い。基本を抑えていなければ想定外のことをコントロールできなく、勝負の世界で勝ち続けることは難しい。
    とはいえ50位になると経験を上回る衰えがきつつあり、それを乗り越えた大山さんや現役を引退したとはいえ会長として連盟を盛り上げた米長さんはすごいという話。

  • 加藤一二三九段に次ぐ史上2人目の中学生棋士(その後、羽生善治、渡辺明が)、谷川浩司の「常識外の一手」、2015.6発行です。常識をわきまえぬ者は「プロ」になれない。しかし、常識に囚われている者(本筋しか指せない人)は「一流」になれない と。谷川さんは、棋士には三つの顔、勝負師・研究者・芸術家の顔があるとのこと。すべて高いレベルの羽生さん、勝負師・研究者が森内さん、芸術家が佐藤康光さん、そして羽生世代を追う渡辺明さんが勝負師・研究者、糸谷哲郎さんが勝負師だとか・・・!羽生さんはやはりすごいんですね(^-^)

  • 本筋をわきまえその上で常識の外を行く。

  • 若くして将棋界のトップに立ち、50代になっても現役棋士を続けながら、将棋連盟の会長に就任した谷川浩司が語る将棋界の現在。

    将棋の戦術は常に進化を続けるものであり、昨日の常識が今日の常識外になるらしい。とはいえ、それは常識を無視するのではなく、常識を十分に理解したうえで、わざと常識から外れて試行錯誤してみる。その結果、常識外の一手は、常識になる。そんな考えで常識外の一手を研究し続けた著者が、今度は将棋連盟のトップとして将棋界に新たな一手を考える。

    と、この話の流れなら将棋連盟にさぞ革新的な風を吹かせているのだろうと期待するが、連盟の経営について、特に目新しい物はなし。棋士対コンピュータの電王戦プロデュースも、前会長の置き土産だし。

    棋士のピークの時代なら、常識外の一手を連発していた著者だが、管理職や経営者となると、勝手が違うということか。

    しかし、自らを含めた個性的な棋士たちを、自身がまとめるという二役を両立させるのは本書だけではうかがい知れない葛藤や困難があると思う。プロ野球で例えるなら、選手とコミッショナーを兼ねるようなものだから。

  • 基本の軸があってこそ常識外の一手が打てる。当たり前だけど心に残った。

  • 存外普通谷川先生の経験談というか。将棋の上での常識外の一手を解説したわけでもなんでもなく、だけど、常識がないとプロにはなれないが、常識にとらわれると一流にはなれないというのは真理だな。実例はほとんどな x

  • 米長会長あたりから、連盟の妙手が続いて将棋ファンが増え始めたようにも思いますが、谷川さんもやはり他の有名人の方の親善大使任命など経営手腕もあることがよくわかりました。

  • 永世名人がこれまでの将棋人生をふり返って、常識を十分にわきまえた上で、あえて常識から外れることが、さらに高みに行く上で必要だと主張している。将棋棋士とコンピュータが対決した電王戦の舞台裏や将棋連盟を運営する会長としての思いなどが紹介されている。

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著者プロフィール

谷川浩司(たにがわ・こうじ)
1962年4月6日生まれ  兵庫県神戸市出身
1973年 5級で若松政和八段門
1976年12月20日 四段
1984年4月1日 九段
 1983年、第41期名人戦でタイトル戦初登場にして名人位を獲得。21歳の名人は史上最年少記録。1997年、第55期名人戦で通算5期獲得で「十七世名人」の資格を得る。2002年、通算1000勝(特別将棋栄誉賞)達成。2012年12月から2017年1月まで日本将棋連盟会長。
 タイトル戦登場は57回。獲得は竜王4、名人5、王位6、王座1、棋王3、王将4、棋聖4の27期。棋戦優勝は22回。
 著書は「月下推敲」、「光速の終盤術」、「光速の寄せ」シリーズ、「光速の詰将棋」、「完全版 谷川流寄せの法則」(日本将棋連盟)など多数。

「2019年 『谷川浩司の将棋 振り飛車篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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