- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106106248
作品紹介・あらすじ
会話重視、早期教育、公用語化――“英語信仰”が国を滅ぼす! 気鋭の言語学者がデータにもとづき徹底検証。「日本英語はアメリカ英語より通じやすい」「企業は新人に英語力を求めていない」等、意外な事実も満載の画期的考察。
感想・レビュー・書評
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『会話重視、早期教育、公用語化…
バイリンガル化は奴隷への道だ!』
という帯の衝撃的なキャッチコピーに惹かれ購入。
これまで私達学生は、否応無く英語を学ばされ、大学入試でも文系理系問わず英語は重要になると教師陣から吹聴され続けてきたので、現代の外国語教育反対派の著者の意見は非常に興味深かかった。
確かに、私の学校のALT(外国語指導助手)も皆白人で、アジア系の先生には会ったことがない。
これからはアメリカに代わり中国などのアジア諸国が世界覇権を握る可能性が高いため、私たちの英米英語偏重の考え方は見直した方が良いだろう。
また、日本人にとっては中国を筆頭に、アジア諸国との商談やビジネスが多いにも関わらず、アジア英語を軽視していたのにも反省した。
加えて、現代の社会人でも英語をあまり使っていないという事実には驚愕した。
昨今の世の中、グローバル化が騒がれ、英語偏重になっていき、さぞかし世の大人達は英語を使いこなし外国の会社と商談をしているのだろうと思っていたが、よくよく考えてみたら私の学校でも外国語教師以外で英語を話している先生の姿は一度たりとも見たことがない。
これらのように、この本はこれまでの英語の常識を覆すような新たな視点からの主張ばかりで、とても新鮮に感じた。
が、この本は英語学習のやる気を見事に喪失させてくれるので、学生が読むときには注意が必要。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本には「英語ムラ」という言葉が出てきますが、日本の英語学習を取り巻く構造は、「原子力ムラ」に大変よく似ていると思います。この国の英語教育の最大の問題点は、教育とは無縁の者が、己の利となるよう思いついた案を、英語を真剣に学んだことなどない権力者が言われるままに採用し、それが教育現場で強力な強制力を発揮していることにあります。その結果、英語教育は急速に、教育ではないものに変容してしまっています。
戦争と平和、環境問題等、しっかり考えるべき重い話題の課ですら、「質問ゲーム」等で、軽く、楽しく扱われることが奨励され、こうした題材には別の教え方が相応しいかもしれないといった発想自体、授業者は持てなくなるようにされています。同じく言語の教科書である「現代文」の、例えば夏目漱石の「こころ」を、こんな風に教えることなどありえないでしょう。
こうした状況のもと、読むに値する文章は教科書から減っていき、教科書は内容、量とも、薄っぺらなものになってしまっています。その結果、英語とは楽しくなければいけない、或いは、利益を生むためのものといった狭く歪んだ言語感が、隠れたメッセージとして学ぶ側に伝わってしまい、それが拡散していきます。
本書の最大の意義は、英語を取り巻くそうした構造を、データを用いて明らかにしたことです。本当に真剣に英語の学習に取り組み、現在も学習している者、教育の一環として英語の学習を捉えている者は皆、会話重視、早期「教育」、外部試験偏重など、考える力、高度な英語力の養成、ともに期待できない現在の英語「教育」に危機感を抱き、なんとかしなければという思いを持っています。しかしそうした、現在の流れに異を唱える意見が、英語教員向けの研修会できちんと取り上げられ、まともに議論されることは、ほとんどありません。
実情は、英語ムラの要請に沿った「模範授業」なるもののDVDが現場に配られ、多忙の中、それを視聴しないでいると、なぜ見ないのかと理由を問われ、教員は、英語ムラに沿った授業がどれだけできるかを日々測られています。
本書にもそうした記述がありますが、大手メディアがほとんど信用できなくなっている現在、本当に誠実な意見は書籍でしか表明できなくなってきています。本書が、英語教育関係者のみならず、多くの人に読まれることを、心から願います。
最後に、一見あまり関係ないようですが、「本当は憲法より大切な日米地位協定入門」(前泊博盛)、「ナガサキ 消えたもう一つの原爆ドーム」(高瀬毅)等との併読をお勧めします。 -
よく、英語とグローバル化が関連付けて論じられている。しかし、本当は、今の英語教育の行く先にあるのは、フィリピン化ではないだろうか
母語話者、第2言語者、外国語話者
旅行会話の音声翻訳 NariTra, VoiceTra+ 話して翻訳
今後20年で仕事のなくなる確率 翻訳者、通訳者 38%
交渉時、英語民族は相手が歩み寄ってくれることを、非英語民族は自分が歩みよらなければならないことを、それぞれ当たり前にようにおもってきた。機械翻訳を挟んで交渉すれば、両者が同じ程度にやりとりに支障をきたすことになる
2つの言語能力 会話言語と学習言語(その言語で高度に抽象的な内容を伝達・理解できる能力)
会話言語=話し言葉、学習言語=書き言葉というわけではない
会話言語能力 2,3年 学習言語能力 5−7年(個人差が非常に大きい)
バイリンガル プロフィシエントバイリンガル(少ない、どちらも学習言語能力十分)、パーシャルバイリンガル(どちらか一方学習言語能力)、セミリンガル(どちらも会話言語能力のみ)
シンガポール 中国語と英語の新聞が読めるプロフィシエントバイリンガルは12%にすぎない
キャッチアップ戦略 よその人々の規範を理想化し、その人々に近づくことを目指す戦略。我々はキャッチアップ戦略を取る限り、二級の市民に甘んじなければならない
島国日本は、外国に攻めこまれたことがほとんどない。外国に占領されたのは、戦後の約7年間だけだ。そのため、外国の文化を無理やり押し付けられた経験がなく、遣隋使・遣唐使や出島などで、自発的に外国の文化のいいとこ取りをしてきた。そのため、外国の文化や言語をいいもの、ありがたいものと考えやすい
物の価値 道具的価値、装飾的価値 英語に装飾的価値をもとめていないか
世界中の人々が英語を国際語と思い、英米英語を学んでくれれば、彼ら(米英)は膨大な利益が得られる
ケニアは英語が出来ないと国会議員になれない。 国会での議論も英語 英米に筒抜け
英語のみ かたよった世界観
UKUSA協定 イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド エシュロンという通信傍受システムを運用、情報共有
チャーチル ベーシック英語を普及させることは、イギリスにとって広大な領土を併合するよりもはるかに永続的に実り多い利益になる
TPP ISD条項 外国企業が、ある国に規制のために、その国での企業活動をその国に企業と同じ条件で行い得ないと判断される場合、その国を訴えて規制をなくさせることができると定めている
アメリカ人が日本人に求めることは
日本を外国から守っている日本語の障壁を低くすること、英語の会話言語能力を持つこと、ただし学習言語能力はいらない
英語教育への提言
読み中心の原則、小学校英語の停止、母語話者至上主義からの脱却
ガンジー インドを奴隷化したのは我々英語をつかうインド人だ -
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「英米のネイティブが話す英語が世界のお手本という認識は間違い」「小学校から英語を教えても身につかない」「日本人の話す英語はアメリカ人の英語よりも世界の人々に通じやすい」「英語が出来る人を優遇することで本当に優秀な人材を埋もれさせてしまうのは社会にとって損失」.....。 日本における英語教育の隆盛をアメリカによる植民地化と捉え、その脅威に警鐘を鳴らすのは、日本と同じモンゴロイド人種の少数民族であるエスキモー語を専門とする言語学者の永井忠孝。英語を母国語として話す英米やカナダ・オーストラリアなどの人口より、インド・中国・東南アジア・そして日本など英語を第一外国語とする人口が圧倒的に多い点に注目して、英語を学ぶ日本人の「英米コンプレックス」を覆し、アジアンイングリッシュの優位性を唱える。「ジャングリッシュ」しか話せない日本人にも自信を与えてくれる一冊。
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なぜ英語を学ぶのでしょう? この答えによく使われる国際的、グローバルになる為があります。 ”英語ができれば国際人”といった考えが多い日本人。
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英語化はアメリカの陰謀。日本人の奴隷化。
そういう危険性もよく認識しておくべき。
バイリンガルは、日本語も英語も中途半端というのは、話を聞く限りそうなんだと思う。 -
5章が提言。
それが妥当であるか、実現するにはどういう障害があるか、具体的な話を読みたかった。 -
40年間の会社生活である程度英語を使う仕事をしてきたが,普通の会社で英語が必要な人は5%以下だと思う.従って,日本人が英語を学びたがることに疑問を持っていたが,本書はそれを完全に裏書きしてくれる.p59のバイリンガルの分類でセミリンガルになることのデメリットがよく分かった.第5章の提言,すべて大賛成だ.英語以外の言語に目覚めさせる意味で,p179の3群は刺激になるだろう.近所の公民館で子供に英語を習わせているお母さんがたがいるが,自分である程度英語ができる人は,絶対にやらないことだと思う.日本語がうまくしゃべれない人に英語がしゃべれるはずはない.
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昨今の英語教育や社会の英語偏重に対して、英語の必要性やどの程度のレベルまで学ぶべきかなど具体的、理論的に反論している本。
英語本のなかでもおすすめ。 -
目からウロコです。
賛否両論いろいろだと思われますが、私は賛成です。
ただ、ここにかかれていることに対抗する術は持ち合わせていないから、どうするべきかなーと。
恐るべし、ゆとり教育、英語教育、TTP!TTPについてはあんまりよくわかっていないので、また別に調べてみようかと。
個人的には英語よりスペイン語の方がカッコよくて好きです。全然しゃべれませんけど^ ^ -
日本の加熱した英語教育は、アメリカの差し金であり、日本人が英語をしゃべれるようになることは、アメリカの利益になるのだ、ということを様々な例を挙げて説明している。
かなりこじつけに聞こえる。
いちいち反論しながら読み進めてしまった。
一理はあるが、著者の説を全て納得はできない。
ただ、最後の章だけはうなずけるところがあった。 -
たしかにアメリカ英語だけ限定する理由も、必要性もないと思うし、英語で学習できるスキルまでは明らかに國は考えていない。
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物事を多角的にみるのにこの本を知るべき
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英語の本はよく売れるそうだ。英語民族は相手が歩み依ってくれることを当たり前のように思ってきた。
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英米ネイティブ発音じゃないと英語じゃないと思っている日本人。国際語としてはニホン英語で十分通じる。英語公用化で得をするのは、メディアや教師を売れる英米、日本市場を支配したいグローバル企業。
英米ネイティブ、白人への異様な追従をやめて、使えるツールの一種。