毛沢東 日本軍と共謀した男 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106422

作品紹介・あらすじ

中国共産党に「歴史認識」を問う資格はあるか。「私は皇軍に感謝している」――。毛沢東の基本戦略は、日本と共謀して国民党を潰すことだった。中国共産党が決して触れない「建国の父」の不都合な真実。

感想・レビュー・書評

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  • 毛沢東が国民党を倒すために日本と手を結んでいた、そのため戦後反日を政治的に発信しなかった、という内容が興味深かった。
    別の本では戦後すぐ毛沢東の時代に反日教育が行われていたり、文革のときに日本の孤児も反革命分子として槍玉に上げられていたりするんだけど。
    著者の遠藤誉さんの人生そのものにも興味が出た。

  • それにしても毛沢東はよく分からない。

  • そうか中華人民共和国は日本軍が直接、間接的に建国に寄与していたのか。毛沢東と蒋介石の関係と人間性がよくわかった。

  • コミュンテルン陰謀説で中国建国の歴史を解釈するために、史実を都合の良いようにつなぎ合わせ、真面目に中国研究本として読むにはくだらないが、政治フィクションとしては、まあいいかなぐらいの感じ

  • 東2法経図・6F開架:289.2A/Ma49e//K

  • 20190429

  • 2017.04.25 ニューズウィークの記事より

  • 後付けを承知で言えば、なぜ対米英蘭緒戦時に反共の旗印の下に中華民国政府と単独停戦し、中華民国の斡旋で連合国とも講和できたら、早期に成立する冷戦構造においても日本は影響力を発揮できたはずなのだが。なぜ大局が読めず、夜郎自大になってしまったのか。コミンテルンの省部浸透をどうしても疑いたくなる。

  • 前々から気になっていた同作を読破。
    前半は比較的学術的に何があったのかをオープンにしようとしており、日中双方の資料、共産党が関わった後の出版物の言外の意味を推測しながら真実に迫ろうとしている。現行の中国共産党という団体を見ているとさもありなんという歪曲ぶりではあるが、あくまで推測の域を出られないのが厳しいところかも。国民党・共産党の争いの中で言えば、腐敗というのが一つのキーワードかと思っていたが、蒋介石という人物が大きな絵を描いていたという著者の指摘に非常に興味を覚えた。最終章にて著者本人の体験に基づいた話が展開するが、ご本人の非常に熱い想いが伝わってきた。今の中国という国そのものをネガティブに捉えるとしても、全てではなく、政治システムが生み出してきている物事、並びにそこを牛耳っている人々・思想・思考といったところへの非難があるというように見受けらえる。

    P33.毛沢東のいう現実主義とは、おおむね『人間の一生とは短いものだ。だから現実から離れて幻のような虚ろな理想や価値を追い求めらえる事などやってはいられない。限られた時間内に自己実現を果たさなければならない』ということである。

    P97.中国で生まれ育ち、革命戦争を経験して、新中国誕生後は毛沢東思想教育を受けてきた筆者は、『毛沢東は神のごとく神聖で偉大であり、蒋介石は日中戦争において戦わなかった売国奴だ』ということを体のすみずみまで染み渡るほど教え込まれてきた。まさに洗脳だ。その影響から必死でぬけようと葛藤を続けてきたが、その筆者にとって蒋介石日記は電撃のようなショックを与えた。

    P219.これさえ事実として認める勇気を中国人民が持ち得ないとすれば、それは『歴史を直視する勇気』を持てないということに等しい。日本であれ、中国であれ『事実を直視』する勇気を持たねばならないことに変わりはない。

    P222.8月15日玉音放送の1時間前に、蒋介石は『抗戦勝利にあたり全国軍民および全世界のひとびとに告げる書』を放送した。8年間にわたって中国人が受けた苦痛と犠牲を回顧し、これが世界で最後の戦争となることを希望し、日本人に対する報復を一切禁じた。いわゆる以特報怨と言われる演説である。
    岡村寧次はいたく感動した。トルーマンは『われわれは真珠湾を決して忘れない』と言い、スターリンは『日露戦争の仇を打てた』と言ったのと比べ、なんという東洋的道徳の高さを持っているのか。

    P261.蒋介石は『中国のなかのソ連』で共産党が支配する国家はかならず独裁的になりいずれは覇権を目指すようになると記している。そういう意味では共産主義国家は最終的には必ず滅びると記している。

    P262.1953年、毛沢東は中国にまだ残っている日本人およびその家族を一刻も早く帰国させようとした。1990年代にはいって再開した当時の小学校の教員は、『あの時日本人を帰国させたのは、日本人がこのまま中国にいると中国をきらいになってしまうことを心配した毛沢東の命令があったからなのよ』教科書に書かなくとも、日中戦争時代の中共の宣伝が行き過ぎて、中国人民が日本人の残虐行為を憎み過ぎて居たからだと語った。

  • 毛沢東は、日本に対し歴史問題を持ち出さなかった。汪兆銘の協力者だったからだ。彼は日本を恨むどころか、戦後に何度も「日本軍が国民党を倒したことに感謝する。日本軍がいなかったら、われわれは政権を取れなかった」と公言している。

    毛沢東の敵は蒋介石であり、彼を倒して政権を取るために日本と協力し、国民党軍の内部情報を日本軍に通報した。

    歴史問題を外交の場に持ち出したのは江沢民である。江沢民の父は汪兆銘政権の幹部であり、それを隠すために「反日」の姿勢を強調したのだ。

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著者プロフィール

1941年中国吉林省長春市生まれ。1953年帰国。東京福祉大学国際交流センター長。筑波大学名誉教授。理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『チャイナ・セブン 〈紅い皇帝〉習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(以上、朝日新聞出版)、『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』(WAC)、『ネット大国中国――言論をめぐる攻防』(岩波新書)、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』(日経BP社)など多数。

「2015年 『香港バリケード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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