言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

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  • 新潮社
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レビュー : 415
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106637

感想・レビュー・書評

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  • 『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』を読んだために、本書の読み出しは既視感があった。しかし、遺伝や美醜に関する残酷な研究結果、性の雌雄差は興味深く読めた。中野信子著『不倫』とも共通するので、理解も進む。最終章では、親子関係、特に子育てに及ぼす親の影響が少ないことに驚いた。遺伝と、親とは違う集団=友だちの世界という非共有環境が、子どもの成長に大きく影響するなんて……我が家を振り返ってもにわかには信じられないのだが。

  • 先の衆院選では十代有権者に媚びてか「教育の機会均等」を訴える政党が多かったが、おそらく公的学費補助は学歴格差社会分断を是正出来ない。「富裕者はふつう賢く、財産を保全し子孫に有利にする術を見つける」、一夫多妻制をとるなら別だろうが(イスラムの優位?)。利己的な遺伝子の巧妙な策略(ヒトも含めた動植物は遺伝子の容器にすぎない)、類人猿研究から見える卵子を持つ側の性の不利、社会学的調査結果の分析などを勘案すると。恋愛感情は不合理であり、一夫一婦制は資本主義のもとで不安定。が「結婚前に大いに迷うことが満足につながる」

    小説『グループ』でレスの相談の夫人に医師は「(出産を希望してないのであれば)無問題」と言う。P184「十六世紀半ば、ヴェネチアで解剖学研究したマッテオ・レアルド・コロンボは女性患者の脚の間に小さな突起物を発見した『このボタンを触ると…』…女性全員に共通することを確認…数日のうちに異端・涜神・悪魔崇拝の嫌疑で逮捕され投獄。草稿は没収。発見は数世紀間不言及」「1858年、婦人科医&英国医師会会長アイザック・ベイカーブラウンは女性自慰は有害として予防にクリトリス切除手術を提唱、数え切れないほど実施した」文明人が敵視する女子割礼を百五十年前にはキリスト教社会で当たり前に実行していた。

    男女の経済力格差が存在しない社会(肉体労働から精神労働、さらに想像力アピール力とコミュニケーション能力が仕事の主要部分となれば)では女は男に媚びる必要もなく、売春の存在も例外的となり「モテナイ男はカネがあってももてない」。女性の【美貌格差】もさることながら、≪日本社会に潜む『最貧困層』≫の項では「精神障害、発達障害、知的障害」属性者が地方地域社会からスピンオフして都会の疎遠社会に暮らしていたが、p70「風俗市場は大きく縮小」という。訪日外国人観光客が急速に増加している一因は非店舗型風俗の合法化ではないか?

    生物学的視点で見れば、オスは闘争して淘汰し(殺人者人格が生まれるのは、戦国=動乱時代には英傑英雄となり混乱を修収させる機能であろう。平時には犯罪者)子は人口維持水準以上の数人生まれて淘汰されるのが摂理だろう。しかし!NHK『ダーウィンが来た!』で猫の島では猫密度が高いため、メスは「子育てに協力的な(強力ともいえる)オスを選ぶ」すなわち「ネコ科には従来見られなかった『オスが子育てに協力(主に他のオスの乳児への襲撃を撃退するため)』」が見られるという。ヒトの都市生活もたかだか千年以内(ローマ帝国からは不連続、サラセン帝国から数える)、本能を変更する余地はある

  • 2017新書大賞受賞作。
    真実はいつも残酷と言いますが、どこにも忖度せずに真実を伝えることで、人の夢や希望を打ち砕く驚きの内容となっている本。

    進化論、遺伝学、脳科学の最新知見をもとにした、努力は遺伝に勝てないとする根性論の否定や、〝見た目″重視の「美貌格差」の記述は確かにショッキング。「依存症や精神病は遺伝するのか」という、センシティブすぎるテーマも登場します。

    人間は平等だというのはまやかしである、というのは確かに真実。みんな実はわかっていながら、平等に近づけるように骨を折ってきたのが近代思想とも言えます。

    そんな中であえてなんとなく人々がわかっている真実をあえて公言するのは、年々加熱する子供への英才教育にストップをかけるという意味においては非常に意味があることですが、いたずらに人々を幻滅させ、絶望する人を増やすというデメリットを生まないかと思います。
    見た目が裁判に影響を与えるというデータが出ているということは、驚きでした。

    遺伝に関しては、身長の高さの遺伝よりも、精神病の遺伝の確率の方が高く、サイコパスの遺伝率は81%とのことですが、物議を醸すレベルの内容となるので、詳細な参考データを出してきてほしいところです。

    センセーショナルで賛否両論を招く本。医師や科学者ではなく作家である著者のアプローチ法が内容にどう反映しているか気になるところです。
    遺伝は決定的で、変更できないというのは確かに真実ですが、生まれより育ちの方が意味がある、つまり環境や本人の意思を持った生き方は、単なるDHAである遺伝を超える力を持つというような反論本も出てしかるべきではないでしょうか。

  • 皆うすうす分かってはいるけれど、口に出すのはためらわれるようなタブーを、データの裏付けをもとに書いてある本。非常に面白かった。
    例えば、頭の良さや犯罪性はどの程度遺伝するのか、性格や能力に子供時代の家庭環境はどの程度影響するのか双子を違う家で育てて検証したり、美人とブスの生涯経済格差や幸せ度比較など。興味深かったのは、企業の社長の顔を見ただけで、その会社の収益がある程度予想できるというところ。自分の実際に知っている範囲で考えてみると、確かにある顔の特徴を持った人が企業トップについているケースが多い。また、反対の特徴の人は心優しく、悪く言えば向上心が少ない。この現実は男性のもつ(社長の多くは男性である)あるホルモンの量に関連するそうだ。
    書評は酷評が多いようだが、一読の価値はあると思う。

  • 面白かった
    不愉快な現実として、タブー視しているモノについて、エビデンスを示しながら明らかにしていくものです。
    行動遺伝学という学問から遺伝子ベースでの主張の組み立てとなっています。

    さまざまな論文をエビデンスとして引用して、主張を組み立てています。
    述べられている事は、特に不愉快な現実とも思いませんし、日頃自分自身も思っていることだったりもするので、違和感感じるところはそれほど多くはなかったです(もちろん、違和感感じる主張もあちこちありましたが)
    ある意味、炎上狙って、きつめに主張しているのでは?と思います(笑)

    本書では
    運動神経は遺伝だから知能も遺伝
    統合失調症などの精神障害も遺伝
    反社会的人間も遺伝
    知能格差はそのまま経済格差につながる
    美貌格差はある
    人は見た目で判断する
    子育てや教育は子供の成長に関係ない
    などなど

    そのなかでも一番興味を持ったのが、やはり子育て!
    子供は生存競争の中で生き残るために、友達の世界のルールを優先する。
    その友達の世界の中で、生き残る・目立つ為に顕著な違いをより顕在化させることで、性格や出来ることが明確になっていく。
    子供のコミュニティの重要さが分かるコラムになっています。
    友達選びは重要です(笑)

    ということで、いろいろ面白い、興味深い主張が語られている本でした。

  • うーん。売れているので読んだのですが、退屈でした。すでに知っているのか、内容が重いからなのか、なかなか読むのが進みませんでした。橘さんのほかの作品はおもしろいのだが。

  • 進化生物学・進化心理学に基づく残酷な真実(と紹介されている)。

    知能や精神病、犯罪でさえも遺伝する
    美貌格差の金額
    子育てや教育は子供の成長に関係ない
    など

    不愉快な内容と著者は繰り返すが、日常語られない、しかし学者の中では常識だったりする情報自体には個人的に嫌悪感は抱かなかった。とは言え「真実」として語られる内容は論文を基にしたものであり、サンプルデータに信頼がおけ、一般的に認められる事実だとしても、それを解釈する仮説でしかない。と同時に「不愉快な内容」にフォーカスした著者のメガネにかなった偏向情報である可能性も大いに感じられる。
    そうした見解があること、一定の説得力はあることは認め、興味深く読みつつも、鵜呑みにしてはならない内容だと感じた。
    子供の教育では反省点の多い自分にとっては、なぐさめの情報ではあった。
    18-7

  • つまみ食いならぬ、つまみ読みしました。
    最初はまじめに読んでたのですが、
    なんだかうまくハマらず。
    でも、途中でやめるのももったいないので、
    読みたいところだけ読みました。

    特にそうなのか!とはならなかったですが、
    そういうものなのかなあと思う部分もあり、
    いずれにせよ、これしかないという価値観に
    振り回されてはいかんと自分を戒めた次第です。

  • いろいろなことが遺伝で決まると言うような話だった
    アイデンティティーは周りの集団(友達)によって形成されるところも納得だった
    知能についても遺伝による影響が大きい
    男性と女性で得意な分野(空間把握等)が違うのは分泌されるホルモンの違いである

    遺伝によって影響が受けるものと友達によって影響受けるものこの2つしかない
    家庭の影響はないとのこと

  • 生物学や心理学の成果の中から、社会の根幹をなす価値観を揺るがすような事例を紹介している本です。

    一部のラディカルな社会的構成主義/構築主義の立場からは本書の内容に対して厳しい反論がなされるだろうと思いますが、個人的にはおおむね興味深く読みました。ただ、いくつか気になる点が目に付いたのも事実です。比較的小さなところだと「エディプスコンプレックスはフロイト理論の根幹で、それがウソだったのだから、精神分析は疑似科学でしかない」と書かれていますが、アドラーとポパーの間で交わされた有名な対話のエピソードを思い起こせば明らかなように、「ウソ」だと明瞭になったのならそれは「疑似科学」ではなく単に「誤りであることが判明した仮説」にすぎません。もっとも、科学的には反証されたフロイトの説を継承していると称する現代の精神分析が疑似科学だという意味であれば間違いとは言えないでしょうが。つまらないことではありますが、本書のようなテーマを扱う本でこの類の瑕疵があると、全面的に信頼してよいのか不安になってしまいます。

    「ヒトの本性が男も女も乱婚だとすると、……純潔や純愛などという「迷信」はさっさと捨て去って、妊娠可能な女性はどんな男でも喜んで迎え入れるのが自然だ、と主張するひとたちが現われるだろう」というのは、言うまでもなく自然主義的誤謬ですが、むろん著者は、そうした主張に与しているわけではありません。また、本書の議論に対して自然主義的誤謬を金科玉条のように振りかざすことにも問題はあるでしょう。本書が明らかにしているのは、古典的なリベラリズムにおける「自由」のように、自然主義的誤謬から守られるべき文化的価値の根幹が、生物学的な事実の解明によってその有効性を掘り崩されつつある、ということだからです。しかし、「自由」のような根幹的な価値が有効性を失うのであれば、いうまでもなく「社会の安寧」といった文化的価値も金科玉条に掲げることはできず、等しくプラグマティックな比較衡量の場へと引きずりおろされることになります。それゆえ、たとえば社会の安寧を確保するために遺伝的スクリーニングを主張する人びとが現われるかもしれないといったようなディストピア的な未来予想に対する反論は十分に可能でしょう。

    もっとも気になるのは、著者が決定的な誤謬に踏み込むことを慎重に避けているように見えることです。ここで指摘したようなことを著者は当然に承知していながら、いたずらに読者をおびやかすような叙述を意図的におこなっているように思えてなりません。

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著者プロフィール

作家。1959年生まれ。2002年国際金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラー、『言ってはいけない残酷過ぎる真実』(新潮新書)が45万部を超え、新書大賞2017に。『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)など著書多数。

「2019年 『2億円と専業主婦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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