脳が壊れた (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 619
レビュー : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106736

作品紹介・あらすじ

養老孟司さん絶賛! 深刻なのに笑える、感動の闘病記。握った手を開こうとしただけで、おしっこが漏れそうになるのは何故!? 41歳の脳梗塞とその後の「高次脳機能障害」。当事者による驚きのリアルドキュメント!

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りたけど買ってまた読みたい

  • これまで目に見えない後遺症で苦しんでいる方への配慮が欠けていたことを反省。
    妻の家事を奪ってしまっていたことを反省。

    良い気づきを与えていただきました。

  • 「最貧困女子」でブレイクしたルポライター鈴木大介氏が、若干41歳にして脳梗塞を起こした。その闘病記。

    養老孟司先生もおっしゃる通り、私も一気に読んだ。脳梗塞を起こした本人が、具体的にどこがどう辛いのか、どう不自由なのかを克明に自分の言葉で記録したという点で非常に貴重だと思う。

    妻や仕事仲間の大切さに感謝している点は非常に好感が持てる。

    リハビリの内容も詳細が語られいるが、指導する理学療法士の待遇が低いことに著者は憤りを感じ、彼らの待遇改善を訴えている。私も同感だ。

    また、第4章『リハビリ医療のポテンシャル』の中で、イジメの対象となる児童に対して、リハビリスタッフにより支援の必要性を訴えている。これは非常に注目すべき、重要な主張である。世に広まってほしい。

  • 「最貧困女子」「家のない少女たち」のルポライター鈴木大介が脳梗塞になって、高次脳機能障害状態になったという。高次脳機能障害とは、外から見てわかる麻痺や障害ではなく、感情が抑えられなくなったり、注意力散漫になったりといった方面で問題が発生すること。外からは当人の性格や個性の問題のように見えるので、障害として理解されにくく、それがさらに当人には辛い。
    著者はルポライターなので、外から見えにくい高次脳機能障害を自らの経験として言語化しようと試みる。それが本書だ。

    見えているのに左側だけ無視してしまう半側空間無視とは、主観的にはどういう感じなんだろう。感情が抑えられないというのは、当人には自覚があるんだろうか? 不思議だ。知的好奇心といえば聞こえはいいが、ぼくがそういうことを知りたい理由は、つまるところ不思議だからだ。障害に苦しんでいる人に興味本位で聞いたりはできないので、こういう本はありがたい。

    ただ、だいぶ食い足りない。
    鈴木大介は(自分でも本書でそう書いているが)対象に感情的にのめり込むタイプのルポライターだ。だからこそ「最貧困女子」「家のない少女たち」は迫力があって考えさせられたのだが、本書は主役が著者本人で、ぼくは鈴木大介個人には別段興味がない。奥さんや、義母との関係や、生活信条を細かく書かれても、それ脳の話と違うよね。その分薄まった感じだ。

    リハビリを助けてくれる理学療法士たちに感謝し、リスペクトする一方、医師には反感を持っているようだ。それは個人の勝手ではあるけれど、そのせいか著者の脳の状態に関する医学的な情報や所見があまりない。どの程度のダメージだったのかもよくわからない。体験談(それはそれでもちろん貴重だけれど)にとどまってしまい、もう少し客観的な情報がほしかった。ぼくの経験では、今の医師はわかっていることについては詳しすぎるくらい説明してくれる。自分の状態について書く分にはプライバシーの問題も起きないし、はしょっちゃったのか、それとも本当に説明してくれなかったのか(だとしたら、患者としてだけでなくプロのルポライターとしてちゃんと説明を求めなくちゃダメだと思うが)はよくわからない。

  • 著者の貧困に関する記事は東洋経済オンラインで読んでいたが、同連載のほかの二人の執筆者にはない感触、なんというか、暖かい目線みたいなものをいつも感じていた。その記事の一つに、自身の脳梗塞からの帰還と後遺症と、貧困にある人々(取材対象)の昨日不全状態との関連性を書いたものがあり、今までにない視点にハッとさせられた。そこで買ったのがこの本。
    大変に面白かった。自分自身を取材し、状況から心境まで細かく書きつけるのはさすがプロ、しかも奥さん(発達障害気味でいろいろ苦労した方)のチカさんが書いた手記も載っており、併せて読んで涙腺が緩んでしまった。
    自分がなぜ脳梗塞になったのか、までしっかり考えているあたりが素晴らしい。

    鈴木さんに残された後遺症は「高次機能障害」。脳神経外科に行くと、この一見障害には見えないけど深刻な障害である高次機能障害に関するお知らせなどが貼ってある。外から見たら普通だけど、生きてる本人には大変辛い。
    ライターなので取材して書いていかないと生活に困るわけで、鈴木さんのリハビリに対する努力は大変なものである。手を使うこと、考えること、書くこと、感情失禁のコントロールなど、全てにおいて一生懸命である。またそれを支える奥さんもひたすら献身。愛を感じる。リハビリを通してお互いを認め合っていく夫婦の物語とも読める。
    涙なしでは読めない本だが、自身の状態の説明などがユーモア交えて語られており、不謹慎ではあるが笑っちゃうことも多々あった。この絶妙なバランスはやはりライターとして腕だと思う。今までインタビューしてきた人々と同じような問題を抱えたことを「僥倖」と言い切り、とことん書き切る心構えはさすがとしか言いようがない。

  • 41歳という若さでアテローム血栓性脳梗塞を発症した取材記者が、自らの高次脳機能障害を当事者ならではの視点からわかりやすく文書化した。トイレの個室に老紳士(排便紳士)が出現。誰彼問わず相手にメンチを切ってしまうよそ見病。深刻なのに笑えて泣ける。

  • 連載読んでて興味深かったので。http://gendai.ismedia.jp/list/author/daisukesuzuki
    p.54あたり。リハビリとはくじ引きであるがめっちゃわかる。
    アタリを引くまで試行錯誤からアタリの再現性を強化するための反復練習への流れ。
    p.195元アスリートはタチが悪い
    中高の部活などで高負荷トレーニングして10代の頃はスポーツできたというタイプの人の予後が必ずしも良くなさそうな感じが読み取れたような。むしろ、運動苦手な人の方が運動苦手でも続く運動習慣を手に入れたらそっちの方が長続きするかも。うさぎとかめの寓話が思い出される。

  • 脳梗塞、脳内出血、アルツハイマー、脳に関する病気について、病名は聞くけど、その病気がどんな症状を発するのか、どんな治療が必要なのか、そもそも回復するのか、あまり知ることはない。症状を言いたがらない患者も多い。そんな疑問に答えるため、41歳で脳梗塞を患ったフリーライターが自身のこと、家族のこと、リハビリのことをまとめたのが本書。

    著者の場合、視界が極端に狭くなる、発しているつもりの言葉がノイズになる、注意力が信じられないくらい低下する、感情がオーバーになる、といった症状。とはいえ、それは個人差がかなりあり、脳梗塞が一概に同じ症状になるとは限らない。

    が、本書の読みどころは著者の症状についてではない。著者は病に対して不運だと嘆かず、自らの不摂生を反省し、家族や友人を頼り、感謝の感情を大げさに表すことで社会復帰に努める。

    そうして、新たな人生を手に入れた著者だからこそ、今となって「脳が壊れた」とふざける余裕を得ることができた。感情がオーバーになることも時には悪くない。そんな、人生に前向きになれる闘病記。

  • 若くして高次脳障害になった著者のリハビリによる回復の記録は貴重なのではないか。粘土の中からおはじきを取り出すリハビリがいかに難しかったか、両手に荷物を持ってしまうと他のことができなくなってしまうことのはがゆさ、リハビリは感動の連続、やがて著者はこれまでの取材対象者が脳を壊していたことに気づく。老人だけではなく若い人にも作業療法士による脳のケアを、こんなこと当事者にしかなかなか気づけない。
    「音楽で泣ける感受性を失ったらどうしよう?」と心配していた著者だが、レディガガのBorn This Wayを聞いただけでボロボロと涙が出るようになり、妻との関係も自分の性格も前とは変り、「脳梗塞になって良かったと思えるほどの(以前の自分の考え方の)欠落に気付いた」とまで言う。
    「高次脳障害者には助けが必要か聞かずに助けてほしい。”大丈夫?”と聞けば彼らは“大丈夫”と答えてしまう。」著者の友人夫妻は心配して敢えてアポイントなしで自宅に来てくれ、本当に助けになったという。

  • 人生
    病気

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著者プロフィール

鈴木 大介
麗澤大学経済学部准教授

「2018年 『灯台の簿記 簿記初級テキスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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