- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106106743
作品紹介・あらすじ
名プロデューサーが初めて明かす「宣伝と広告のはなし」。僕はこうやって映画を売って来た――。『風の谷のナウシカ』『千と千尋の神隠し』『風立ちぬ』等々、この30年間、なぜジブリだけが大ヒットを続けられたのか?
感想・レビュー・書評
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ジブリ作品の見方が変わった。
宣伝とか売り上げの現実的な話はあんまり聞きたくないな~なんて思いながら読み始めたけど、制作~上映するためには当たり前ながら必要不可欠なことで、内容・エピソード等含めて全部めちゃくちゃ面白かったー! -
スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏が宮崎駿監督の長編からの引退を表明したのをきっかけに、ジブリ設立からの30年をまとめた本。
なんてバイタリティと発想力、カリスマ性に優れた人だろうか。
ジブリの名監督二人に目を奪われて見落としがちだがこの人も天才だ。
宣伝の鬼。
こんなに押しの強い人になれるだろうか、いやなれない。 -
ジブリ映画の宣伝なんて「新しい映画、作りました」と言えばそれで済むじゃないか、と思ってた。
でも、『もののけ姫』の時も『千と千尋の神隠し』の時も鈴木敏夫プロデューサーは闘っていた。いつだって闘っていた。面白くない訳がない。そんな1冊でした。 -
映画がヒットするには「作品」「配給」「宣伝」すべてが大事。観たことがある映画で舞台裏が語られて、とても面白い
【感想】
面白かった!とても読みやすかった。読みやすすぎると思ったら、あとがきにこの本を書いたのは柳橋閑というライターさんだった。鈴木氏が書いているのはあとがきだけで、あとは柳橋さんがインタビューしながら書いたらしい。
ジブリ、映画の見え方が変わるから面白い。元々、作品作りがやりたかった鈴木氏だが、製作の立場上、プロデューサーを務めていくことになる。毎回手探りでその方法を生み出していく。面白いのは、作品自体のクオリティにはそう遜色が無いと思えるジブリ作品でも、やはり興業収入は大きく異なっていることだ。作品の面白さと、興業収入は完全に相関しない。影響をするのは配給・宣伝である。その配給・宣伝が「うまくいった」ときは伸びるし、「うまくいかなかった(やり方をしなかった)」ときは、そこまで伸びない。実際、鈴木氏がプロデューサーを務めて、本気で宣伝に取り組んだ「魔女の宅急便」で、観客動員数は一気に増えた。前作で80万人だったのが、264万人になった。
...。話は変わるが、ジブリのような映画製作スタジオが生まれ、隆盛していったのは、ちょうど令和くらいまでなのかもしれない。昔、映画は大衆娯楽の王様だった。それが、テレビが出てきて、ネットが出てきて、ゲームが出てきて、動画サイトが出てきて。趣味・娯楽の細分化が進んできた。大きな映画はマスマーケットに向かって作られるものだが、そのマーケット自体が収縮している。娯楽・エンターテインメントが個別化していく流れは、止められないだろうな。
【本書を読みながら気になった記述・コト】
◆映画がヒットするには「作品」「配給」「宣伝」すべてが大事であること
ヒットした映画は「作品」自体が注目されがちであるが、この本を読むとその裏には「配給」「宣伝」のたゆまぬ努力があると分かる。映画プロデューサーとして鈴木敏夫が有名・すごいと認知されているのは、配給力(配給会社宿とのつながり・交渉)、宣伝力があるからだと再認識した
◆昔の映画に求められていたのは「ラブ」で、今は「フィロソフィー」
そうだ。ジブリの映画が大人が観ても面白いのは、作品に哲学があるからだ。時代性をとらえて「こういうことが大事なんじゃないだろうか」「こういうこともあるんじゃないかな」という人間の性格を、豊かなアニメーションで描いていく。フィロソフィーがあるものが人の心を動かす。
→千と千尋の神隠しが、千尋とハクの恋物語ではなく、「千尋とカオナシの物語」と捉えたのは、鈴木氏が最初だった。
→千と千尋の神隠しが大ヒットしてから、心の問題をエンターテインメントとして描く映画が増えた。鈴木氏は、そのような映画ばかりが増えていくのはあまり健全だと考えていない
◆映画にフィロソフィーを持ち込んだ原典はゲド戦記?
>>ところが、いまや娯楽映画にすら哲学が求められる時代になって、ヒーローでさえ心に闇を持つようになりました。アメリカの文脈でいえば、『スター・ウォーズ』の中で描かれた"ダークサイド"という概念です。その元になっているのは、ル=グウィンが『ゲド戦記』の中で描いた”影”でしょう。そういう意味では、パンドラの箱を開けたのはル=グウィンだった。
◆ゲド戦記では、「親殺し」が作品・製作を貫く一つのテーマになっている
本を読むまで、当たり前のことに気づかなかった。確かにそうだ。これまで、ジブリでは宮崎駿と高畑勲しか監督を務めてこなかったところで、宮崎駿の息子である宮崎吾郎が監督を務めたのだ。製作上の立場としては、宮崎吾郎が駿より上である。吾郎監督は製作時に「親殺し」のストーリーを変えたいと思ったが、鈴木プロデューサーは止めたらしい。吾郎くんが監督をやるなら、「親殺し」は絶対に避けては通れないと。現実と作品の間でそんな二重構造になっていることに、今更だが本を読んで気づいた
◆ジブリ作品がヒットするのは時代を意識した作品作り・哲学を作品に込めているから
鈴木氏は作品を作る際にマーケティング的な考え方をでき、かつマーケティングによって作品を面白く磨くことができる人だ。千と千尋の神隠しの製作進行がす
◆また出た「糸井重里」。この時代の人が書く本には本当によく出てくる。マジですごい人なんだ。多くのジブリのポスターのコピーを手掛けた。「生きろ。」「カッコイイとは、こういうことさ。」「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」などなど
◆電通マンから見て、鈴木氏のポスタークリエイティブがすごいのは、タイトルに縛られないこと。魔女の宅急便という映画なのに、パン屋で受付をしている絵を採用する
→映画ポスターの構成要素は3つ。タイトル、コピー、そして絵。それらが重複しない方が、お客さんに伝えられる情報は多くなるはずだ、と考える
◆「かぐや姫の物語」がいまいちヒットしなかった理由
企画そのものが難しかった。今、「竹取物語」を映画にすることの意味、現代との適応性を詰め切れなかった。映画は企画が大事であり、「なぜ今この映画を作るのか」があやふやでは、宣伝しても効果は出ない。 -
ジブリファンにとっては最高に面白い内容だった。
ジブリは作品自体が素晴らしいのは勿論だけれど、鈴木さんという一流のプロデューサーをはじめ色々な人がいたからここまでの映画になっだということを知ることができた。
鈴木さんも宮崎監督も信念を曲げないで 映画を作り続けているところに感動。 -
ジブリが、ますます好きになる!
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ジブリは大嫌いだけど、ここに出てくる宣伝の話は面白い
著者プロフィール
鈴木敏夫の作品






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